「顔」の進化 あなたの顔はどこからきたのか (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065222317

作品紹介・あらすじ

「顔」とはなんだろう。そもそもなぜ顔はあるのか。どこからどこまでが顔なのか。なぜそこに顔があるのか。何がついていれば顔なのか。顔は何をしてきたのか。顔がない生きものと顔がある生きものの違いとは。人類の顔はなぜこうなったのか。東洋と西洋、男と女、大人と子供の顔はどう違うのか。これから顔はどう変わっていくのか。
顔についてのあらゆる疑問に、人類形態進化学の大家が答える!

感想・レビュー・書評

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  • 植物には顔がない。
    動物には顔がある。だが、顔がない動物もいる。

    「顔」って何?
    光を感じる目と、音を感じる耳と、匂いを感じる鼻と、味を感じ物を飲み込む口が集まっている部分?

    子どもの描く絵から判断すると、目と口があれば顔?
    昆虫の擬態などは、目玉の模様だけなので、目がある近辺が顔?

    などと考えながら読んでいると、答えが書いてありました。
    「顔として認識されるための最低限のアイテムは、輪郭と二つの眼である」と。

    馬の顔はなぜ長いか。
    猫の顔はなぜ丸いか。
    人の顔が人種や性別で違うのはなぜか。
    など、
    いろんな話題がぎっしり詰まっており、ブルーバックスとしては情報量が多い。

    頭骨から復元したヒトの顔の変遷が描かれているが、どの年代の顔も基本的な雰囲気が似ていて、復元した人の好みが出てしまう気がした。
    ホモ・サピエンスの代表として、アラン・ドロンが選ばれるか三遊亭小遊三が選ばれるかで大分イメージがかわってしまう。
    ネアンデルタール人とか縄文人とか、一部の復元サンプルだけで当時のヒトの姿を鵜呑みにしない方がよさそうだ。

    最後のページに、やわらかいもの好きで歯がだんだんと弱くなる未来の日本人を予測し創造した顔があるが、ちょっと嫌だな。

  • 生物学や人類学の、「顔」をテーマに据えた広く浅い入門編……な感じの内容なので、正直ちょっと物足りなかったかなぁ……。
    この本を足掛かりに興味を持ったジャンルに知識を深めていくなら、ステップとして良い本だと思います。
    ファンタジー系創作物に出すクリーチャーや亜人の設定作りなんかにも役立ちそうではあるかも。

  • 他の動物の顔についてや進化、性別、人種について最後の方は日本人の弥生系や縄文系の顔の話など漏れることなく説明してくれる。

    特になぜ顔はこのような形になったのかが面白かった。良いテーマだった。

  • テーマは興味深いし、著者にも不足はないのに、内容の質は高くなく、若干期待外れだった。

    まず、図の掲載意図が不明確。凡例がついていないので、何の数字を示しているのかよく分からない図や、ふつうに記載ミスではと思えるような表がある。
    また、なぜ一重瞼と二重瞼の人類がいるのか、なぜ人類は体毛が薄いのか、肌の色の違いはどこからくるのかといった疑問に答えているようで答えていない。示される答えがいくらでも反証できる程度なのだ。素人に指摘されなくても学会で議論があっての説なのだろうから、なぜその答えが確からしく、一定の支持を得ているのかということまで踏み込んでほしかった。「アフリカは暑く、日差しが強いから縮れ毛の黒人なのだ」といっても、縮れ毛が汗を蒸発させやすいというのも、実証されているのか怪しいものだし、アフリカは南北に長く、赤道付近の地域はごく一部だし、地球規模の地理(ほかに暑い地域、日差しの強い地域はいくらでもある)や進化当時の気候の検証はないし、読んでいて疑問が残った。

    豆知識の集大成といったていで、新しい知見が得られるわけでなく、好奇心は満たされなかった。

  • とても学術的な内容なのに驚いた。
    「進化」は必要性があって、そして、意味があってなされるもの。

    「ウマはなぜ馬面? ネコはなぜ丸顔?」
    「世界で最も歯並びが悪い日本の若者」
    など、知ったら楽しいし、学びになる。

    「学校では、各教科の勉強で頭の脳を鍛えている。また、体育で身体を鍛えている。しかし、頭と身体の中間にある「顔」の筋肉と骨を鍛えることを忘れているのは、大きな問題である。言っておくが、いくら硬いものを食べさせても、顔の美的要素が損なわれることは決してない。むしろ、口元が整って端正な顔立ちになるのだ。」

    たくさんの人達に読んで欲しい本です。

  • 「日本顔学会」は知らなかったけど、その昔上野であった「大顔展」は記憶にあるなあ。確かに「顔のある動物」と「顔のない動物」がいる。

    著者の師匠、香原志勢氏の著作からの引用がちょいちょいあるのだが、コレが面白い。「はじめに口ありき」「顔は見るもの見られるもの」の名言、動物の顔を建物に見立てた「間取り」(一般的な陸上脊椎動物の顔は二階建てでヒトは四階建て)、人種ごとの顔の構造の構成図や寄木細工に見立てた模式図など、この本のことは忘れても(スミマセン)ずっと脳裏に残りそう。著者オリジナルとしては「イクメンのアファール猿人家族モデル」が張るかな。

    著者は国立博物館やNHK特番で生体復元を監修したり、座間市の学校給食に鯵の干物素揚げを導入したりと、リアルに活躍されています。

  • 青い目は、レイリー拡散と同じ原理。色素がなく、黒い側膜で他の波長を吸収している。

    一重は寒い地方の特徴

    硬いものを食べる動物は顎が横長。

  • 顔について、人間だけでなく他の生物との比較をしている。最後は顔に示される人間の進化である。顔について調べるときの基本書となる、

  • こんなに面白い本は滅多にお目にかかれないかもしれない。笑えたし、学んだ。見識が広がったよ。

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著者プロフィール

1945年東京都生まれ、神奈川県育ち。
現在、国立科学博物館名誉研究員、日本歯科大学客員教授
主な著書 『レジリエンス人類史』(共著、京都大学学術出版会、2022年)、『顔の進化』(講談社ブルーバックス、2021年)、『NHK スペシャル人類誕生』(監著、学研プラス、2018年)、『顔の百科事典』(共著、丸善出版、2015年)、『東叡山寛永寺徳川家御裏方霊廟』(共著、吉川弘文館、2012年)など。

「2022年 『復元イラストでみる!人類の進化と旧石器・縄文人のくらし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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