サイコーの通知表 (文学の扉)

著者 :
  • 講談社
4.16
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本棚登録 : 296
感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (178ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065226759

作品紹介・あらすじ

1年生のときからずーっと通知表に「できる」とだけ書かれてフツーなことにコンプレックスを感じている朝陽(あさひ)も、「よくできる」がいっぱいの優等生の叶希(とき)も、体育以外は「もうすこし」ばっかりの大河(たいが)も、みーんな心の中では思っている。
「通知表なんて、ただの紙切れじゃん。あんなので、ぼくらの何がわかるの?」
「通知表があるから、よけいにやる気がなくなるんだ」
「あたしだって、通知表なんて、いらない!」
たしかに、そうだ。思えば通知表って何であるんだろ? あれを見たって、どこをどう直せば成績が上がるのかなんてわからないじゃないか!
そういえば朝陽のお父さんが言っていた。会社では、部下が上司の成績をつけることがあるんだって。
「ねえ、先生の通知表をつけようよ」
朝陽の一言から、クラス一丸となって担任のハシケン先生の通知表作りが始まった。でも、人に成績をつけるって、こんなに難しいことだったのか!?

感想・レビュー・書評

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  • 2024.03.29

  • 通知表っていったい誰のためのもの?なんのためにあるの?貰って嬉しいのは誰?
    なんてことから先生にも通知表を付けよう、と考え始めて、クラス全員で担任の先生の通知表を作ることになった朝陽達。
    そう言われれば通知表って何?って考えさせられた。
    未来へ繋がる評価でなくてはならないはずのものなのに、本当にその機能を果たしているだろうか?
    数字で表せない評価は個人的な感情が混ざり込んで来ないものなんだろうか?なんて色々考えさせられた。
    子ども達にも読んでほしいけど、通知表をつける先生達にも読んでほしいなあ。

  • 通知表の判断の仕方は先生によって違うということにはたしかにーと思った。話の内容もよかった。でも生徒が先生に言い過ぎなのではないかと思った。

  • 成績表の評価、ホントによくわからないよね。なのに、受け取る本人も親もあれで一喜一憂させられる。あの結果は、その本人のごくわずかな部分の、他人が思っている評価でしかないんだと、親になってはじめて気がついたから、この本には共感しかなかった。
    この本のテーマは、とても具体的で、鋭いところをついている。

  • 小5息子が読んでましたが、最近「中学受験したい」とか「学校なんて子どものこと考えてない」とか言い出すのは、こういう手の本に影響されてのことなのかなと思いました。
    当たり前とされていることに一石を投じる。常に疑問を持つ、考えることの大切さも教えてくれます。
    みんなの意見を聴きながら、より良いを求めていくことはエネルギーいります。それを放棄すると何も変わらないということを子どもが感じ取ってくれるかな。ハートウォーミングな内容です。

  • 4年生の朝陽の通知表は全部「できる」。1年生からずっと同じだ。
    友達の大河は体育以外は「もう少し」も多い。でも朝陽は、大河の通知表の方がいいと思っている。全部「できる」はふつうの証明書みたいだからだ。
    ある日クラスで通知表をもらってうれしいのか、内容がよくわからないのに意味があるのかという話になる。
    そこから担任のハシケン先生にサプライズで通知表を出そうということになり…。
    自分達が通知表をもらって感じたことをいかして通知表を作って渡す場面は感動的です。
    学校の先生にも読んでほしい。

  • 令和6年光村4年下の巻末この本読もうに掲載される本なので、読んでみました。
    主人公は一年からずっと「できる」(ふつう)の評価しかない、真ん中の四年宮永朝陽。担任は橋本健太(ハシケン)先生。朝陽が通知表のことを考えはじめ、友達や何人かで先生の通知表をつけようと考えたり、そもそも評価って何だろう?と悩んでいたら賢い姉から絶対評価と相対評価を教えてもらったりします。途中まではわりと予想通りな展開ですが、最後にいよいよ通知表の発表のあたりは、色々考えさせられたり、大人目線だからかもしれないけど、かなり共感して、心動かされました。
    工藤純子さん、恋する和パティシエール位しか読んでない。ぐるぐるの図書室なども読まねば。

  • R4年度卒業選書
     通知表って、項目がよく分かりにくいし、いらないと言う人もいるけれど、こんな愛がこもった通知表ならもらいたい!と思わせてくれる、4年生のあるクラスで担任の先生に素敵な通知表を作るお話。

  • 1年生からずっと通知表が真ん中の「できる」ばかりの4年生 朝陽(あさひ)

    〈通知表が、「宮永朝陽は、ふつうの人間です」という、証明書みたいで……〉

    「よくできる」叶希(とき)も「もうすこし」がある大河(たいが)も、それぞれの事情で通知表に不満があるという

    「通知表なんていらない」と3人で悩んでいるとき、朝陽が思いつく

    「ねぇ、先生の通知表をつけようよ」

    担任のハシケン先生の通知表をつけようと動きだした3人は、クラスのみんなを巻きこんで項目を考えたりつけ方のくふうをしたりして……

    「……通知表なんて、なくていいよ」

    「だ、だってさ、通知表なんて、ただの紙切れじゃん。あんなので、ぼくらの何がわかるの?」

    「通知表があるから、よけいにやる気がなくなるんだ」

    炸裂する子どもたちのホンネがたどり着いたのは、やる気が出て役に立つ“サイコーの通知表”

    『セカイの空がみえるまち』で第3回ペン賞少年小説賞(2017年)を受賞
    『となりの火星人』『あした、また学校で』などリアリティある学校を舞台に子どもたちを描いている著者による“通知表版”小学生のホンネの物語

    2021年3月刊、「くもんの児童文学」から

  • 成績、全部普通。何も長けていることがないと言われているようでいや。という主人公。
    成績表の見方は子どもにも大人にも、ごほうびや叱責の基準として扱われることが多いけど、変化してきている基準の仕組みや「評価すること」の難しさ、相手を見る観点など、本人の気づきや周りを巻き込むことで見えてくるものがある様子が興味を惹いた。

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著者プロフィール

『セカイの空がみえるまち』で第3回児童ペン賞少年小説賞を受賞。『となりの火星人』、「恋する和パティシエール」シリーズ他作品多数。日本児童文学者協会会員。全国児童文学同人誌連絡会「季節風」同人。

「2023年 『リトル☆バレリーナ  きらめきストーリー☆3つ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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