- Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065236468
作品紹介・あらすじ
告白に返事ができないままだった健吾との再会を果たした喫茶ユカリのマスター・紫都香(しづか)と、その再会のあと押しをした高校3年生の波多野貴樹(はたのたかき)。貴樹の存在が紫都香にとって少しずつ大きくなっていくなか、迎えた貴樹の高校の文化祭で二人の関係を揺さぶる思いもよらない出来事が!? 男子高校生と和服の年上女性が織りなす8歳差の恋と成長の物語、第4巻!
感想・レビュー・書評
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前マスターが倒れた事で揺れる紫都香。前マスターの存在は今の紫都香にとって大切な寄る辺となっているから、そんな人物が倒れれば様々な不安が去来するのだろうね
そのタイミングで同じように家族に対して寂しさを感じているさやなを登場させる構成は上手いね
紫都香が自分の存在を支えにしていると理解しているから、これまでに積み上げてきた他の何かを支えにしろと諭す前マスター。鍵がないから家に入れないけど、かといって人に頼る事も出来なかったさやなに寄り添った紫都香
これらはどこか通じる寂しさを持っている。
だからその二つの寂しさを癒やすものが「おかえり」と「ただいま」になるのだろうね。昔の紫都香の言葉を今の紫都香に届けてみせた高樹の行動は良かったね
高校3年生の夏休みに入ったことで本格的に意識するようになる進路、そして文化祭での喫茶店
それらはこれからの自分の姿形を想像する行為に繋がり、時には想像を自分事にする為に実学を求める場合もある
そんな心境の貴樹にとって喫茶店で提供するコーヒーがインスタントになってしまったのは口惜しいこと。それを察したのか、貴樹に実地研修の場を提供した紫都香には驚き
貴樹と紫都香は再び客とマスターの垣根を越えて、カウンターの中に並び立った。そして貴樹の淹れたコーヒーを紫都香は「美味しい」と言ってくれた
この経験があったから貴樹は制約のある文化祭の喫茶店であろうと少しでも良い場を作ろうと奮闘出来たのだろうし、人に何かを捧げる事で得られる幸せを改めて実感できたのだろうね
というか、貴樹が中心になって作り上げた喫茶店は本当に素晴らしいものになっているね。予算を抑えつつも客に何を喜んで貰いたいか、何を楽しんで貰いたいかを追求した喫茶店になっている点が伝わってくる
その中で紫都香の目を引いた二つのアイテム。ダルゴナコーヒーは紫都香の知らないコーヒーとして新たな驚きを齎すもの。そしてコーヒーを描いた壁の絵画は旧い繋がりを齎すもの
紫都香を慕う貴樹にとってどうにも穏やかに対応できない紫都香と健吾の繋がり。少しずつ大人になりつつ有る貴樹だから遠慮してしまうという哀しさ……
そこを本当の大人である健吾が更に察してとんでもないアシストをしたね!
紫都香は自分が8つも歳上であること、客とマスターの間柄である為に自分と貴樹の間に線を引き過ぎてしまっていた。それが健吾の言葉、そして最後のコーヒーを誰に淹れたいかという問い掛けによって、変わるのだろうか?詳細をみるコメント0件をすべて表示