対岸の家事 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 213
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065237120

感想・レビュー・書評

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  • 凄く面白かったです。

    それぞれ事情を抱えた母親の視点から表現される物語。
    この"事情"が本当にリアル且つキャラクターも個性的。
    朱野先生が5年を費やした緻密な取材が生かされてます。
    本当に"家事"の事を分析されていると読んで思った。

    更にこの本を読んで思った事は、夫婦(家族も含む)は
    お互いに尊敬しあって支え合う事が大事と分かった。
    あと、"助け合い"も大事ですね。
    詩穂の行動はお節介に見えるかもだが、
    周囲を巻き込む力と絶妙な連携がコミュニティを生む。

    スポイトなんかで、命の誕生は嫌でしょ!
    目の前で言ってやる!
    「そこに愛はあるんかっ??」と(笑)

    僕も結婚したら家事を一緒にやりたい。
    最近、そこに幸福を感じる。
    ま、相手がいたらね(笑)アハハ!

  • みなさんは、子供の頃に親(または祖父母など)が家事や育児をしている姿をきちんと見ていたでしょうか。私もそうですがそれは親として当たり前のことだと子供ながらに認識して、その毎日の光景をおぼろげにしか憶えていないのかもしれません。お母さんが作ってくれる毎日のご飯、いつもキレイに折りたたんでタンスに入っている服、気付くと空っぽになっているゴミ箱、お花が綺麗に咲いている小さなお庭、どれもこれも誰かが手を掛けないとそうはならないですよね。

    ”たまに”ゴミ捨てに行く。”たまに”ご飯をつくる。”たまに”草むしりをする。ひとつひとつを気が向いたときだけやるのは誰でも出来るし「ぜんぜん楽勝」。でもそれをすべて、毎日やったことありますか?

    たわいも無い話しをする相手もなく、愚痴を言う相手ももなく、相談する相手もなく、幼い子供を抱え一人で悩み続けている気持ちは理解できますか?想像だけでもしたことはありますか?

    主人公の詩穂が夫・虎朗に言った「昼間の私のことなんて何も知らないじゃない」。みんな想像の中で相手を都合良く解釈していませんか。

    家で可愛い我が子と楽しく過ごしている、ストレスなんて何もない、手を抜きたければ手を抜ける、子供が寝たら一緒に昼寝する。

    「専業主婦」=「生産性の無い職種」と思ってませんか? 抱えている悩みは人それぞれ環境によって違うと思いますが、共通しているのは家事と育児が下に見られていて理解されていないということ。

    外で仕事をすることももちろん大変、でも家事や育児を断片的にしか知らず、本当のことを知らないことを想像だけで「楽なんでしょ」と思うのは無知すぎる。

    ・・・・・と自分自身に言い聞かせたい胸に色んなことが響きました。

    世の中には色んな人がいる、色んなことを思い・発言する人がいる。でも世の中ってそんなに悪いものじゃない。

    希望するすべての人が、安心して子供を生み、育て、成長を見守ることができる社会になってほしいなと心から思える作品でした。

  • 『いつか笑って話せるから。あなたの寂しかった日々が、誰かの役に立つ日が来るから』まさに今、私はその真っ只中に居る。『リュックの中身が全問正解だったことはない。でも、失敗しちゃった、と笑いあえる相手はいないので、なるべく落ち込まないようにする』20頁目。そうなんだよ、本当に。子育て家事は本当に『孤独』だ。あぁ、もうどの頁もわかりすぎてグサグサ、グサグサ刺さってくる。そして『独り』じゃないと思わせてくれた。『いつか笑って話せる』そんな日を思って読み終えた。

  • 子どもを持ち、そして今後職場復帰する身としては
    現実的で大変面白かった。
    育児と仕事、その他に奮闘するママさんの姿、色々な家族の形が描かれている。

    ワーママでも専業でもどちらが凄い偉いは全く無くて、就労の有無を含め自分で働き方を選べる社会になってほしい。
    どんなに育児に取り組みたいパパが増えても、それを受容する社会にならないと何も変わらないと思う。
    地域の親子サロンはママばかり、保育園や区役所でもママの方を見て説明。世はまだまだ育児=女性がやるもの、という概念が根付いているような気がする。

  • 専業主婦で育児をする詩穂の周りにいる、色んな家庭を描いた話。育休をとる男性や姑関係に悩まされる女性などが出てくるが、個人的には3ヶ月で育休を切り上げて職場復帰した二児のワーママ(ほぼワンオペ)の描写がつらすぎて涙が出た。
    仕事も家事もどっちも大変だし、夫婦でどっちが疲れてるかなんて本当に水掛け論。夫婦だって分かり合えないことあるのに、他人の家庭の大変さなんてより分からないよね。ワーママが、専業主婦の大変さを理解できなかったように。
    家事や育児をすることが、産んだ女性の責任だし当たり前だと思っている人はぜひこの本を読んでほしい。家事育児は、仕事と同じようにお給料発生するべき!本当に大変です。そして、家事や育児に大切なのはやはり「心の余裕」。焦ってイライラしたときこそ詩穂のように「ゆっくり、ゆっくり」と心の中で唱えたい。家事育児を頑張る人たちが心の余裕をもって過ごせるように、サポートしてくれる社会でありますように。

  • 自分以外のお母さん達はみんないつも優しそうだなあ と常日頃思っていました。

    育児ができることは幸せなはずなのに、何かの修行なのかと思う日々が続いて、辛かった

    誰かに助けてもらっても、一時。その一時を感じたらもっと辛くなる 

    そんな日々もありました
    だから、読んでいて涙が出ました

    私だけじゃなかったって
    今は子供が大きくなってきて、あの頃の辛さはないけれど、真っ直ぐに育てられるか不安な気持ちはある

    でも孤独ではなくなって、素直に助けてって言える人たちに巡り会えた

    自分と違う環境の人を羨んだり、悩みがないと思ったり

    そうじゃないんだよって。みんな同じ。
    目の前の幸せを感じられるかどうかが大切なんだよって言われた気がしました


  • 印象に残る文章がたくさん散りばめられていた。
    子育て中の閉塞感、すごく伝わってくる。みんな必死。世の中みんな生きやすいようにしていこ。まずはひとにやさしく。

  • タイトルに惹かれ図書館で。昨今子育て事情のフルコンボ。子が保育園の間はワーママしか居なかった。小学校に上がって専業主婦が一定数居ることを実感していたのでリアル。20代シングルワーママの鼻からマイノリティ設定なので周りと比べるラインが少なく居心地は良い。

  • それぞれの女性の立場が書かれている小説。
    お互いの立場を理解し合えることで、助け合うことができるってことかな。
    子育てはしたことないけど、ひとりで育てようとする人たちがいろんな悩みを抱え、頼れる人がいない人が追い込まれる世の中かもしれない。
    みんながもっと簡単に他人に頼れる世の中になればいいなぁ。

  • 専業主婦であることの辛さ、共働きの辛さ、専業主婦である主人公の目を通して、子育て世代にのしかかる世間の矛盾を描いているような作品です。
    私は主婦でもなければ子供もいませんが、改めて見るとこの国は子育て世代に優しくないよね。老人福祉よりも子育て支援が先だと思う。いろいろな世代の人に読んでほしい小説ですね。

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著者プロフィール

東京都中野区生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。2009年、『マタタビ潔子の猫魂』(「ゴボウ潔子の猫魂」を改題)でメディアファクトリーが主催する第4回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞し、作家デビュー。13年、『駅物語』が大ヒットに。15年、『海に降る』が連続ドラマ化された。現代の働く女性、子育て中の女性たちの支持をうける。主な作品に『賢者の石、売ります』『超聴覚者 七川小春 真実への潜入』『真壁家の相続』『わたし、定時で帰ります。』など。

「2022年 『くらやみガールズトーク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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