余命一年、男をかう

著者 :
  • 講談社
3.67
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本棚登録 : 2970
感想 : 270
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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065238141

作品紹介・あらすじ

幼いころからお金を貯めることが趣味だった片倉唯、40歳。ただで受けられるからと受けたがん検診で、かなり進行した子宮がんを宣告される。医師は早めに手術を進めるも、唯はどこかほっとしていたーー「これでやっと死ねる」。
趣味とはいえ、節約に節約を重ねる生活をもうしなくてもいい。好きなことをやってやるんだ! と。病院の会計まちをしていた唯の目の前にピンク頭のどこからどうみてもホストである男が現れ、突然話しかけてきた。「あのさ、おねーさん、いきなりで悪いんだけど、お金持ってない?」。
この日から唯とこのピンク頭との奇妙な関係が始まるーー。

感想・レビュー・書評

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  • 未来屋大賞の入賞作品ということで、図書館予約。
    けっこうあっさりと順番来ました。

    タイトルどおり、がんで余命宣告されてホストを買う(飼う?、タイトルはダブル・ミーニングなのかも)女子(といっても40)の話。

    主人公・唯の貯金だけが趣味、収支トントンで人生を終えたい、という極端なキャラ設定が、とてもいい。

    それなりに資産形成ができている唯だが、誰にも迷惑をかけず死を迎えるためには、看取りと死後処理をしてくれる者が必要と感じる。
    だったら好みの顔のホストを思い切って買っちまえ!、という話。

    なるほど。

    まあ、結婚なんてしょせん契約ですから。
    ひとつの形としてアリだと思いました。

    ただ、この結婚によって、唯の目算は微妙に狂っていく。金で買ったホストとはいえ他人が絡んでいると、何事も思いどおりには進まない…

    主人公ががんだけど、それほど暗い雰囲気にならず淡々とストーリーが進んでいく。そこもまたいい。

    評価は、血が出るところが痛そうなので3点にしました。

  • 唯の考え方が徹底していて面白い。
    できれば最後までそのまま突っ走って欲しかったなぁ。
    ハッピーエンドもいいけど、あのまま持論を貫いていたらどうなっていたかな。
    そっちの展開を期待していたので、前向きな終わり方に拍子抜けしてしまった。

  • 倹約家で貯金が趣味の唯は、子宮頸がんにより余命一年を宣告される。そんな折、貧乏ホストである瀬名と偶々病院で遭遇。「お金持ってない?」と声をかけられ、70万円で彼を買い、1時間1万円で瀬名との時間を過ごすことになる。

    一章は唯の視点で、二章は瀬名の視点で描かれる。
    タイトルと表紙の感じから、なんとなく察することができるとは思うが、闘病シーンが出てくるお涙系ではなく、むしろサラッとしていてすごく読みやすい。

    "他人と生きるということは、不確実性が増すということだ""どれだけお金を貯めたところで不安は消えなかった""人生を損得勘定でとらえたら、シンプルなほうが私には合っている""なにかの間違いで生き延びてしまう可能性が1%でも残っていたら、心おきなく金を使うこともできない。私は安心が欲しかった。 もう老後の資金を残しておかなくていいという安心が思うぞんぶん浪費していいというGOサインが"
    唯のこうした考え方、めちゃくちゃ共感。

    癌になっていなかったら、死ぬまでこうした考え方と生活を貫き通したであろう唯が、癌の宣告を受け、瀬名と出逢い、言葉を交わす中で、"カテゴライズする"自分の考え方にに気づき改めたり、瀬名を失うことに恐怖心を抱いたりと、徐々に変化していく姿が、ピュアで可愛らしく、温かい気持ちにさせられた。

    唯が母から受け継いだキルトの歴史的背景や意味も、物語に深みを増している感じがして良かった。

  • 節約は最高のエンターテイメントであり暇つぶしの片倉唯。1ページ目からゆいぴの節約生活に釘付けでした。
    健康診断の精密検査で訪れた病院で、ホストのリョーマと出会い、怒涛の展開が繰り広げられるが、テンポがよく進んでいくので、どんどん読み進む。
    「人生は楽しくなきゃ、生きてちゃいけないの?」
    なんの楽しみもなく、ただ生きてるだけの人間がいたってよくないですか?
    と唯が同僚に言うんだが、そーだそーだ楽しくなくたって生きてるし、一票と共感した。
    唯も瀬名にあって少しずつだけどかわる。
    瀬名が唯に
    「見た目とか雰囲気だけで勝手に人を判断して、勝手にカテゴライズする」
    唯は気づいてなくて反論するけど、瀬名が自分に言ってるような、思い当たるような、気をつけようと反省した。
    唯と瀬名の続きが読めたらいいな、続編が読みたいです。
    続編も唯の破天荒ぶりや節約生活が楽しみです
    吉川トリコさん、初めて読みました。また好きな作家さんが一人増えました。



  • とても読みやすい一冊


    御涙頂戴的な感じではなく
    サラッとしたテイストの話


    これはこれで面白かったです


    唯と瀬名のやりとりは
    なるほどと思わせることもあり
    そこも面白かったかな


    唯の節約倹約ぶりは
    すごいものがありましたが
    老後まで生きなきゃいけない怖さは
    少しだけわかる気がしました


    子宮頸がんを患い
    治療を拒否する唯


    その心を理解できない瀬名


    展開は想像の域を出ない感じかな


    でもこういう形の夫婦もありですね

  • 貯金と節約が大好きな女が、がんで余命1年と知り、偶然出会った男に70万円払ってその男と残りの人生ぱーっと散財しまくろうとする話。

    あくまで軽いトーンの話だった。
    がんで余命1年とはいえ、治療する気もなければ、痛みに苦しむような描写も皆無。悲壮感もなく、むしろやっとこの世から解放されるーという感情。
    ただ、偶然会ったピンク頭のホストと一緒に過ごしたり過ごさなかったりするようなストーリー。

    実際そんな状況になるとある程度自暴自棄になるのかもしれないけれど、この主人公はあまりにも軽くて、男が出会ったばかりの主人公をやたら気にかけるようになるのも、なんか自分とは違う感覚で、いまいち共感できなかった。不倫の設定は不要だった。
    リアリティがなく辛い描写も皆無なので、軽い気持ちでさらっと読んだ。ライトノベルというか、少女漫画っぽい。

    後半の、母親のエピソードにだけはちょっとぐっときた。主人公が編み物、募金、そして節約が習慣になった理由。

    SNSで実写動画広告をたくさん出して売り出している割には、想像していた通りの「あるある」な結末で、そんな期待して読むほどじゃなかったなあ…と。


  • 面白かったんだが、子宮頚がんで余命一年と言われた話しだから、面白いって言うのもちょっと複雑。

    タイトル通り、余命一年と宣告された日に見知らぬ男にお金を貸してくれと言われて貸すのでなく男をかうことに

    ずっと節約して、がん検診も受けないでいたら
    まさかの子宮頚がんで余命一年
    節約も大事だけど、死んだらどうにもならないよなぁ。
    検診は大事。

    見知らぬ男にお金を貸して、そのままホテルへ
    真面目な女性がとんでもない行動。

    10歳以上年下の顔はイケメンなホスト
    お金を全てあげるから結婚してと女からプロポーズ。
    とんでもないストーリーなんだけど、ぐいぐい引き込まれていく。
    不器用な女の話しで、考え方も共感できない
    男は、人情味のあるいい人で
    恋愛のない結婚だったが、やがてお互いを大事に思っていく姿は感動。

    喧嘩したときに、男が出て行ってしまったが彼女が倒れたと聞きつけ早引きまでして駆けつけ
    女が、もう来ないかと思ったと強がってたところは切なく。
    救急車を呼べはよかったのにと言われても、お金がもったいないって…笑

    余命一年は手術のおかげで伸びたが、今後も気になる。
    ドラマ化して欲しいなぁ。

    ホスト役は髪がピンクってことで、あのお笑い芸人しか検討つかないけど。

  • 結婚後ふたりとも「世帯主」バービー×吉川トリコが語る結婚のこと・出産のこと (バービー) | FRaU
    https://gendai.ismedia.jp/articles/-/85123?page=1&imp=0

    バービー×吉川トリコ「真逆の人格のススメー自分を縛っているのは自分だったりもする」(バービー) | FRaU
    https://gendai.ismedia.jp/articles/-/85125?page=1&imp=0

    『余命一年、男をかう』(吉川 トリコ)|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000352966

    • 猫丸(nyancomaru)さん
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      【DESIGN DIGEST】CDジャケット『dawn/NELN』、書籍カバー『余命一年、男をかう/吉川トリコ』、商品パッケージ 『別鶴 そよ風のクローバー・別鶴 お日様のしゃぼん玉』(2021.8.20) | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
      https://www.mdn.co.jp/di/contents/4575/81135/
      2021/08/24
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      40歳おひとりさまが老後資金で契約結婚?! 共感必至の一冊。 『余命一年、男をかう』 | BOOKウォッチ
      https://books.j-...
      40歳おひとりさまが老後資金で契約結婚?! 共感必至の一冊。 『余命一年、男をかう』 | BOOKウォッチ
      https://books.j-cast.com/topics/2021/09/10015997.html
      2021/09/11
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      40代独身女性とホストの共通点は? 人生の“杖”になる物語『余命一年、男をかう』〈週刊朝日〉 | AERA dot. (アエラドット)
      ht...
      40代独身女性とホストの共通点は? 人生の“杖”になる物語『余命一年、男をかう』〈週刊朝日〉 | AERA dot. (アエラドット)
      https://dot.asahi.com/wa/2021091500044.html?page=1
      2021/09/18
  • 将来の不安から貯蓄·節約が趣味の平凡なOL、唯がある日突然無治療だと余命一年のがん宣告を受けた。これでもうお金の心配をしなくていいとある意味気が抜けた矢先、父親が倒れて金策に奔走している天真爛漫が売りのイケメンホスト、吉高と出会う。それぞれほぼ真逆の拘りを持つ二人の関係がタイトル偽りなしの始まりからどう変わっていくのか。単に恋愛に移行するのではなくお互いの拘りをどう理解していくのかの(主に吉高の)じたばた具合が見物。一人で頑張っていた唯が最後に吉高の手を取った瞬間はほっとした。治療が間に合うのがファンタジー展開かもだけど優しい結びで良かった。

  • アラフォーの超がつくほどの節約女とピンク頭のホストの男。
    この2人の関わり合いが面白い。

    超真面目な女が余命宣告されても生きることに執着は皆無。
    ただ貯蓄が趣味の人生。
    その実情は、半端なく凄いとしか言いようがない。

    それが、このホストと関わることによって変わっていく。
    なかなか本音が言えない、伝えられないもどかしさもありながら展開していく。

    コロナ禍の時期であることの設定なので、こういう事もあるよなぁ…などと思いながらも読み進める。

    余命宣告されている話だが、重苦しい雰囲気もなくサラサラと読めた。



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著者プロフィール

1977年生まれ。2004年「ねむりひめ」で<女による女のためのR-18文学賞>第三回大賞および読者賞を受賞、同作収録の『しゃぼん』でデビュー。著書に『グッモーエビアン!』『戦場のガールズライフ』『ミドリのミ』『ずっと名古屋』『マリー・アントワネットの日記 Rose』『女優の娘』『夢で逢えたら』『あわのまにまに』など多数。2022年『余命一年、男をかう』で第28回島清恋愛文学賞を受賞。エッセイ『おんなのじかん』所収「流産あるあるすごく言いたい」で第1回PEPジャーナリズム大賞2021オピニオン部門受賞。

「2023年 『コンビニエンス・ラブ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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