時空犯

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 517
感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065246313

作品紹介・あらすじ

私立探偵、姫崎智弘の元に、報酬一千万円という破格の依頼が舞い込んだ。依頼主は情報工学の権威、北神伊織博士。なんと依頼日である今日、2018年6月1日は、すでに千回近くも巻き戻されているという。原因を突き止めるため、姫崎を含めたメンバーは、巻き戻しを認識することができるという薬剤を口にする。再び6月1日が訪れた直後、博士が他殺死体で発見された……。

感想・レビュー・書評

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  • 記憶されていないが実は今日6/1は1000回近くループしている。その原因を突き止める為に協力して欲しい、と北神博士の下に集められた探偵の姫崎以下8人。博士と同じ様にループが記憶出来る薬を飲み、再びの6/1が始まった矢先、北神博士が殺害される。ループすれば死もなかった事になるので「七回死んだ男」他の様に一人ずつ殺害され、それが推理の元になるのかな?と想像していたらループの原因の方に舵が取られてSF展開に。これは面白かったけど犯人の絞り込み、理論はシンプルで良いがせっかくの特殊設定が活かしきれなかった様に思えた。姫崎と麻緒の恋愛要素軸や大岩のおばちゃん全開振り、解決半年後の締めは好み。

  • 22年5月20日、読了。塩谷験さんの作品、初。

    素晴らしかった!大好きな作品になりました。

    最終章が、特に好き。事件が全て決着して、後日談になるのですが…僕は、こういうラストが凄く好きです!

    タイムトラベル(?)物をお気に入りのYou Tuberが三作、紹介してて、そのうちの一作でしたが…SF的テーマを背景に、丁寧な解決がなされていて、同じ動画で紹介されていた「時空旅行者の砂時計」よりは、おとなしめな印象でしたが…僕はこちらの方が好きです。とても、楽しんで読みました。読み終えて、ちょっと残念なくらい•́ ‿ ,•̀

    まだまだ知らない、未読の作者さんの凄い作品が、沢山あるんだなぁ…と、改めて思いました。いい歳して、トキメキを感じます。

    また次も、楽しい読書をしたいなぁ…素敵な作品との出会いを、期待して…┏(^0^)┛

  • 知らない間に時間が何度も巻き戻してるけど記憶が消えているから誰も気づいていない!原因を突き止めるのを手伝ってくださいと集められた人々タイムリープできるようになって1発目のタイムリープで依頼者が殺され?!から始まるタイムリープSF×ミステリー作品

    スタートの時点で絶対面白いやん!!ってなる読んだことない特殊設定のストーリーでSFとタイムリープとミステリー三色の味を同時に楽しめる作品。

    なんか失敗とかをして時間が戻ればなぁ〜って思うことってあるけどこれはキツい!


  • 説明会に主席すれば手付金40万円、
    その後、参加すれば報酬1,000万円、
    ある朝、姫崎探偵に届いたメールには
    そう書かれていた。

    送り主は、情報工学の権威 北神伊織博士

    指定されて会場に集められたのは、
    異なる経歴を持つ男女8人だった。

    そして北神博士から告げられた驚きの説明は
    信じがたいものだった。

    博士は979回、記憶を保持したまま
    同じ1日を繰り返し時間遡行を行っているという。

    タイムリープを科学的に検証する中
    殺人が起こってしまう。

    そして、またタイムリープは起こり、
    姫崎探偵は殺人を止めて犯人を突き止め
    られるのか。


    タイムトラベルの話は数あれど、
    現在の要素が含まれた話は実際にありそうで
    読んでいて臨場感があり、グングン進みました。



    時間が戻っても記憶を保持していられれば、
    有利なことが多々あるだろうし、
    超越した頭脳も羨ましくもあるけど、
    記憶が薄れるから何度目に小説を読んでも
    楽しめる凡庸さに、これもアリだな、
    と少しホッともしました。

  • 時間の巻き戻しを体験している北神博士の研究のため、協力者が集められる。しかし、当の博士が殺されてしまい、犯人捜しが始まる。苦手なSF設定の元でのミステリ。
    同じ日を繰り返しているが、特定の人たちしかそれを認識できないというと、アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』の「エンドレスエイト」が思い浮かぶ。認識できる人のほとんどにとっては、シーシュポスの神話にも等しい牢獄のような気がする。
    巻き戻しはなぜ起こるのか、巻き戻しを人為的に起こせるのか、「犯人」の目的は何か。そして、北神博士の真の目的は。「犯人」の知性と精神性のアンバランスさに危うさを感じるが、そこは妥当なところに着地させていた。

  • タイムリープミステリ。

    6/1を980回をループした北神博士が8人集め、自身が経験した時間遡行を体験してもらい突き止める。報酬1000万。

    しかし、ループに止まらず殺人が起こり、ループしつつ犯人探しが始まる。この小説がすごいなと思ったのは、冗長にならずコンパクトに纏めたところとロジカルなところです。

    少々オバちゃんの件と姫崎・麻緒のラブコメが…と思うところもありましたが。最終章はスッキリ纏めてきました。その後の雷田の研究に期待。北神博士の掌に踊らされてたのかもしれないし、託されたのかもしれないし。

    これが2作目なんですね。1作目の「スイッチ 悪意の実験」も気になりました!

  • 作者は知らなかったけれど、タイムリープものが好きだったのと、ミステリーとSFの組み合わせが気になったので購入。久しぶりに衝動買いと一気読みをした。
    テンポが良く、タイムリープや超科学的な要素の説明もページを割いて説明してあったのが良かった。一方のミステリーも、超科学をやりながら何でもできるようにならないよう調整された論理展開で充分だった。総じてSFをやりながらもしっかりミステリーをしていたのでバランスのいいミックスだったと思う。
    ただ、個人的にはミステリーの論理で整えたため、超科学の想像力を狭めた気もする。ループが思ったより少なかったり、一見不規則なものに法則を見出していく手探り感も出して欲しかった。とは言えベースがミステリーなので仕方ないし、あくまで私個人の好みの問題です。

  • 2021年8月講談社刊。時間溯行、2018年6月1日(980回目)、2018年6月1日(981回目)、知性体、夜行列車「いぶき」、時空犯、彼らの時間、の7章からなる時間遡行ミステリ。SFなアイデアが弱い中でのシチュエーションに対する謎解きに共感できなかった。時間遡行を司る知性体の扱いがお粗末な気がします。

  • 探偵・姫崎に成功報酬1000万円の依頼メールが来た。それは情報工学博士の北神からの依頼で、タイムリープの謎を解いてほしいという。北神は、以前あるきっかけから、同様なタイムリープを何度も経験していたが、今回のようなずーっと繰り返すのは初めてである。もう979回同じ日を繰り返している。姫崎を含め八人は、タイムリープができるという謎の液体を飲み、博士同様に同じ日が訪れた。そこで博士が殺されたという電話がきた。


    潮谷さんの第2作目で、今回のテーマはタイムリープ。
    単なるタイムリープではなく、どのようにして起きるのか?
    その際、タイムリープしても、なぜ人の記憶は継続できるのか?

    など大学の講義のような論理的かつ技術的な視点で説明されているので、なかなか一度で理解するのは大変でした。

    また、それが結果的に壮大なスケールで描かれていて、一味違ったSFミステリーになっていました。

    タイムリープを経験し、博士が殺されるというミステリーとしては、面白い展開で、その後も意表をつく展開にグイグイ引き込まれました。

    同じ日を繰り返すので、殺人はチャラになり、また同じ博士が殺される?かと思いきや、別の殺人が起きる。それでもまたチャラになって・・・。罪としては、形上無罪になるので、歯痒い気持ちにはなりましたが、犯人確定に至るまでの消去法が鮮やかでした。

    きちんとしたロジック。消去法で犯人に近づいていくので、手に汗握りながら、興奮していました。

    姫崎は探偵の肩書きですが、科学者の一面もあるのではとも思ってしまいました。特にタイムリープの謎では、何でわかるの?と思うくらい探偵らしからぬ理解があって、一瞬探偵であることを忘れていました。

    全体的にミステリーとしての面白さはありましたし、難しい解釈ではありましたが、違った角度からのSF小説でした。
    ただ、タイムリープの鍵を握るアイテムについて、あまり詳細に語られていないので、なぜそれによって引き起こされたのかなど所々謎な部分もありました。

    なので、ちょっとモヤモヤ感はありました。それでも犯人決定までのロジックは面白かったです。

  • タイムリープとミステリーの融合作。
    設定は面白く、1回目のリープと2回目で被害者も変わり、「七回死んだ男」みたいにリープを繰り返しながら真相に迫っていく展開を期待したのだが、、、。
    延々とタイムリープの原理?の説明が博士や知生体から繰り返されるが、いまいち納得感がなく、その後は実質解決円のリープがあるのみ。
    それよりはもう少し登場人物を掘り下げたほうが良かったのでは。
    ミステリーとしてもあっさり解決。動機も納得しにくい。
    こんなことのために千回近くリープ(それも1日)するのだろうか。
    中盤まで面白かっただけに残念。

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著者プロフィール

1978年京都府生まれ。第63回メフィスト賞受賞。デビュー作『スイッチ 悪意の実験』が発売後即重版に。「王様のブランチ」(TBS)で特集されるなどで話題となる。2作目の『時空犯』は「リアルサウンド認定2021年度国内ミステリーベスト10」で第1位に選ばれ、今作が3作目となる。

「2023年 『エンドロール』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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