- Amazon.co.jp ・マンガ (252ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065262634
作品紹介・あらすじ
[作品解説]
1983年に刊行された瞬間、既存の漫画表現のレベルを一挙にアップデートし、文字どおり「漫画を革新」した歴史的傑作『童夢』。その後20年以上、60刷を超える増刷を重ねながらも、現在絶版状態となっていた本作が「大友克洋全集」の第1期・第1回配本タイトルとして、超待望の復刻刊行。原画から新たに起こした版により画質も向上、厳選された紙質によって印刷のクオリティも格段にアップ。また単行本では未収録となっていた幻の連載時の扉や、2色カラー原画も復刻し再現。さらに著者が単行本カバー用として構想していたイラストをカラーにて完全再現し収録。巻末には著者自身による解説も収録したコンプリート(全集)仕様です。判型は従来の単行本よりもひと回り大きいB5変型サイズ。第15回「星雲賞コミック部門」および「第4回日本SF大賞」受賞作品。漫画史を語る上で避けては通れない記念碑的作品が遂に再臨!
[STORY]
不審死が頻発する郊外のマンモス団地。霊や祟りの仕業か、事故や事件なのかも判らぬまま警察が捜査に乗り出すが、子供たちが無邪気に遊ぶ団地内は一見平和に見える。そんな中、捜査員の目に怪しく映るのは、昼間からブラつくアルコール依存症の男、知的障害と思しき大男、受験ノイローゼ気味に見える浪人生、流産して以来おかしくなったと噂される主婦、ベンチで日なたぼっこする認知症と思しき老人…。またひとり、捜査中の部長刑事が不審死を遂げた後日、家族とともに団地に越してきた少女・悦子は、とある超自然的な力をその身に秘めていた…!
[OTOMO THE COMPLETE WORKS とは?]
世界的なタイトルを次々に生み出し、漫画家、イラストレーター、映像監督、シナリオライターなどのジャンルに囚われない創作者の顔を持つ大友克洋。その多様な「全仕事」のすべてを、作者である大友克洋自身が時代順に俯瞰、総括、そしてリ=プロデュースするのが「OTOMO THE COMPLETE WORKS」(大友克洋全集)です。日本から世界中に衝撃をもたらした表現方法の集積は、一人の作家のパーソナルな仕事集というだけでなく、1970年代から現代までの漫画、アニメ、映像までをも含む、現代文化の冒険を愉しめる作品集とも言えるでしょう。時代によって何が生み出されたか。作家は時代に何を見て、考えてきたのか。そして作家は、次に何を試みていくのか。──作品から発言までを網羅することで、作家としての進化を明らかにし、次の世代の創作者へその姿勢を伝えていく。この全集は作家自身が自らを「作品化」し、手触りも含むモノとして記録する、まったく新しい全集となります。(編集室より)
感想・レビュー・書評
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大友克洋全集のうち、「童夢」を部分的にカラー化し、本人の解説と共に収録した巻。
後のマンガに多大な影響を与えた超名作「童夢」が、初回単行本刊行時(1983年)より大判で、かつ一部ではあるが、効果的にカラー化されていることで、新鮮、かつ迫力増で読めるのはうれしい限り。
また、著者本人の解説が当時のロケハン写真とともに掲載され、製作の経緯や、登場人物の命名の由来等々、初めて知る内容があったのも良かった。
「童夢」で初めて登場した、精神波攻撃を受けた相手を中心に壁が円形状にへこむという表現は、今のマンガでもあちこちで見ることがある。
おそらくサイコバトルシーンがあるマンガではデファクトスタンダードとなっている表現だと思うが、原点は本作のはず。
これ以外にも、大友作品は国内外を問わず、絵画、マンガ、映像等のクリエイターたちに、意識、無意識のうちに多大な影響を与えていると思うので、その観点からも全集で著者作品の全容を整理、かつ明らかにしてくれるのはすばらしい。
無事の全集刊行完結を切に願う次第。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自分が持っているのは1983年の第1刷。久々の再読。大友克洋というとAKIRAの方が知名度は高いけれど、漫画界?に与えた影響と衝撃は、童夢も同じくらい大きかったと思う。Wikipediaによると「1980年から1981年にかけて4回に分けて雑誌連載された後、1983年に単行本として発行された。」とある。AKIRAは1982年からヤングマガジンで連載が開始されている。時代背景や舞台には違いがあるが、サイキックバトルもの、という地続きの作品でもある。記憶ではAKIRAはもっと後の作品という印象があったが、当てにならないものだ。この作品は、漫画、アニメ好きだったら、死ぬまでに必ず読むべき。しかしチョウさんって何なんだろう?いまの時代だったらチョウさんのスピンオフ作品とか出そう。
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懐かしい。昔読んだことのある漫画だ。大友克洋さんの作品。
今となっては、手に入りにくい状況だった。思わず購入してしまった。
大友さんの作品が全集になって順次発売されるとのこと。 -
この作品に出会ったのは、小学生のころ。あまりのリアルな画のタッチに驚愕して片っ端から友達たちに勧めまくった思い出があります。しかも超能力もの。ずっと廃刊になってたのでこの復刊は嬉しい!
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あー、分かります。リアルなタッチでしたね。
手塚治虫が、大友克洋に、ガチで嫉妬して、
年甲斐もなく、わざわざ本人に、イヤミを言ったそうで...あー、分かります。リアルなタッチでしたね。
手塚治虫が、大友克洋に、ガチで嫉妬して、
年甲斐もなく、わざわざ本人に、イヤミを言ったそうです。
それほどの画力でした。2023/03/18
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言わずと知れた名作。「ズン」で有名で、超能力の強大さや凶暴さを可視化することなく初めて描いてみせた漫画。シンプルなPKの演出としては漫画界ではトップだと思う(余談だけど、映画界ではタルコフスキーの「ストーカー」が個人的にはトップ。ラストに登場する美少女のPKの演出はもはや芸術)。超能力を扱うのが子どもと老人だけというのもいい。具体的に何をしたいのかが見えてこないため、そこに恐ろしさが生まれる。
とはいえ、私が本作の特に好きなポイントは実は超能力要素ではなくて、団地の景色だったりする。団地なんてひどく日常的な空間なはずなのに、本作における団地はどこか不気味な空気が流れている。日常と非日常が背中合わせで存在しているような景色。例えば冒頭の非常口。団地の棟の間の遊歩道。各家庭の明かりがほのかに射す廊下。斜め上空から写した屋上。どこにも怪しげな魅力が詰まっていて、デヴィッド・リンチが監督しようと思ったのも頷ける(映画化なぜ頓挫したんだ……)。異世界の創造には必ずしもファンタジックな、あるいはSFチックな要素を持ちだす必要はなくて、日常のあるポイントに焦点を当てるだけでも現出するものなのだということが本作を読めばわかる。 -
コマ割りや構図の妙なのか、絵が動く。グリグリ動く。特にチョウさんとエッちゃんの対決の場面は映画を見てるかのように脳内で絵が躍動していた。
たしか過去にも何回か読んでいて今回10年以上ぶりの再会だと思うけど、また読めて良かった。
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話がすごいというかこの感情は何なんだ
AKIRAより好きだわ
絵がもう変態の領域
刊行感謝しかない -
文句なしに緊張感に満ちた傑作。
これが絶版だったとは文化的喪失。
全集とはいえ復刊されてよかった。