- Amazon.co.jp ・本 (178ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065263860
作品紹介・あらすじ
みなさんは「病院船」を知っていますか? 大きな事故や災害が起きたとき、海からかけつけて、大きな船が丸ごと病院になってしまうというものです。日本は、まだ病院船を持っていません。しかし、東日本大震災が起きたとき、病院をはじめ多くの建物がめちゃくちゃに壊れてしまった現実を目の当たりにして、けがをした人々の治療をするためにも、こうした船を持つ必要があるのではないかという議論が起こりました。
それから9年の月日が経った2020年から、新型コロナウイルスが日本全国をおそいました。爆発的に感染者が増え、現在ある病院だけで患者に対応できるのか不安になっていくなか、ふたたび「病院船は必要なんだ」という声があがりました。
これは、「ナッチャンワールド」という高速フェリーの波瀾万丈の”船生(せんせい)”の物語です。ナッチャンの夢、それは「病院船になりたい」という夢です。オーストラリアで生まれたナッチャンは、お客さんを乗せて津軽海峡を行ったり来たりする観光フェリーでしたが、燃料の価格が高くなったためにフェリーとして使われなくなり、自衛隊に貸し出されて戦車や装甲車を訓練場に運ぶ仕事につきました。「平和の船」は、またたく間に「戦争の船」に様変わりしたのです。望まないのに「戦争の船」となったナッチャンは、病院船になれるのでしょうか?
長年にわたって防衛省の取材をしてきたジャーナリストが、実在するナッチャンワールドという船を主人公にして、戦争と平和のはざまにある今の時代を伝える、一風変わったノンフィクションです。
感想・レビュー・書評
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児童・生徒向けとして見れば、問題提起と言う観点ではありかと。 ただ著者は反戦?の方向に持っていきたいのか、意図的に?誤解を生じさせる記述があったり、矛盾しているように感じられる文章もあり。
この辺りを敢えてフラットな視点で構成するのもありだったかなと。
何れにしても国として病院船を保有するとなると、厚生労働省の予算での建造、防衛省による運用が現実的だが、そもそも防衛省の医官は大幅な定員割れであり、海上自衛隊の護衛艦でさえ医官が乗船していない現状を考えると、ただの箱(船)が出来るだけに。