アルツ村

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065266588

作品紹介・あらすじ

『恍惚の人』から半世紀。現役医師作家による衝撃のメディカル・サスペンス!

高齢者だけが身を寄せ合って暮らす山間の村。そこは楽園か、遺棄の地か。

夫の暴力から逃れ、幼い娘を連れて家を出た主婦・明日香。
迷い込んだ山奥の村で暮らし始めた明日香は、一見平和な村に隠された大きな秘密に気付き始める。
住民はどこから? 村の目的は?

老老介護、ヤングケアラー、介護破綻……世界一の認知症大国、日本。
人生を否定される患者。生活を破壊される家族。
認知症の「いま」に斬り込む衝撃作!

感想・レビュー・書評

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  • 世界保健機構(WHO)によると地球上に認知症の有病者数は五千五百万人。そして毎年一千万人近くが新たに認知症になるそうです。

    そして認知症の家族の世話をするヤングケアラーなどの問題。

    この作品は北海道のどこかに「アルツ村」という認知症の患者を受け入れる村があり、そこに迷い込んだ30代の看護師明日香の目線の物語です。

    「アルツ村」に家族を引き受けてもらう人々は、「これでやっと自由になれる。認知症の介護があんなに大変だとは思わなかった。多少グレーな側面があっても構わない。そんなことはもうどうでもいいのだ」と言って姥捨て山とも呼ばれるアルツ村。

    そこで一体何があったのかはエンタメ小説となっていますので、書くとネタバレなので書きません。
    でも、巻末に「この小説はフィクションです」という表記があったので本当によかったです。

    お医者さんの作家さんの小説ですから本当だったら大変だと思いつつ読みました。
    フィクションでよかった。

    • まことさん
      ほん3さん。こんにちは♪

      いつも、いいね!ありがとうございます。
      そして、コメントありがとうございます。
      この作品は、一体どういうジャンル...
      ほん3さん。こんにちは♪

      いつも、いいね!ありがとうございます。
      そして、コメントありがとうございます。
      この作品は、一体どういうジャンルなのか考えてみたのですが、医療ミステリーとも、違う気がするし、もしかしたら、SFかとも思いました。
      読みやすい文章で、1日で、一気読みでした。
      読まれてみてください。
      レビュー楽しみにしています。
      2022/05/29
    • まことさん
      ほん3さん。

      どういう内容か、言ってしまうと、楽しみ?がなくなってしまう作品だと思うので、ネタバレなしでレビューを書きました。
      読みたい本...
      ほん3さん。

      どういう内容か、言ってしまうと、楽しみ?がなくなってしまう作品だと思うので、ネタバレなしでレビューを書きました。
      読みたい本に入れてもらえれば嬉しいです。
      2022/05/29
  • ずっと不気味な雰囲気で怖かった。

    だけど、アリだと思ってしまった。アルツ村。
    もう既に存在していてもおかしくないかも。

    読み終えて改めて考えると、明日香の目線で語られた事が、どこまで事実なのかわからなくなった。
    DV、あおり運転、熊、週刊トゥデイの最新号・・・
    アルツ村での出来事は?
    わからない。本当に、恐ろしい。

    それでも認知症の症状や、認知症患者が心穏やかでいられるような対応が描かれており、とても興味深かった。

  • 凄い本を読んでしまった。
    これは、今の日本に必要な村となるのか⁇
    それは、賛否両論あるだろう。

    日本では急速に高齢化が進行しているのは事実である。
    65歳以上で認知症を発症している人は、すでに15%を超え、あと数年で20%に達するという。
    高齢者の5人に1人が認知症になるという計算だ。
    少子化の今、誰が介護をするのか…
    老老介護となるのか、今増えてきているヤングケアラーなのか。
    介護破綻というのが、目に見えてくる。

    介護施設も今や数100人待ちとなれば、家族はどうするべきなのか…

    アルツ村、そこが認知症たちの村である。
    外国人に爆買いされた北海道の山奥に密かに建てられ、隔離された場所。

    物語は、夫の暴力から逃れるために幼い娘を連れて家を出た主婦の明日香が迷い込んだのが、アルツ村だったことから始まる。

    現実にあっても不思議ではない、と思えることに恐怖すら覚えた。


    • まことさん
      投稿が途中で、切れてしまいました。
      (続けます)
      私の読書ペースだとそのくらいがちょうどいいのかもしれません。
      湖永さんの、アクティビティが...
      投稿が途中で、切れてしまいました。
      (続けます)
      私の読書ペースだとそのくらいがちょうどいいのかもしれません。
      湖永さんの、アクティビティが今、気になって拝見したら、今月59冊!凄い!
      ブクログ1本を読まれてます!たぶん。
      私は17冊とかそんな程度。
      私の3倍!
      凄いです。

      ところで、湖永さんとは、共読本も多く、親しみを感じています。
      これからも、湖永さんの、本棚も、参考にさせて、いただきつつ、よろしくお願いいたします。(__)。
      2022/05/30
    • まことさん
      湖永さん。

      図書館にも、恵まれているのですね。
      私は市立図書館を利用していて、県立もありますが、ちょっと遠いので、そちらは、利用していませ...
      湖永さん。

      図書館にも、恵まれているのですね。
      私は市立図書館を利用していて、県立もありますが、ちょっと遠いので、そちらは、利用していません。
      色々、教えていただきありがとうございました。
      2022/05/30
    • 湖永さん
      いつも、まことさんのレビューで図書館で探すことが多いんですよ。
      予約もしています。
      もともと私も伊坂さんが好きで、けっこう購入しています。
      ...
      いつも、まことさんのレビューで図書館で探すことが多いんですよ。
      予約もしています。
      もともと私も伊坂さんが好きで、けっこう購入しています。
      ミステリー作家さんは、購入が多いですね。
      ちょっと増えてきて、本棚に収まらず、最近はほとんど図書館利用ですが…。
      また、まことさんのステキなレビューを参考にしていきたいと思ってます。


      2022/05/30
  • 突いてくる一冊。

    認知症がもたらす家族崩壊に手を差し伸べる救いの村を描いた物語は現実と叫びに心を突かれた。 

    支援があり、ある意味自由に生きられる村は極限に立たされた側には神の救い。

    でもそうは問屋が卸さない。 

    嫌な予感と共に徐々に姿を現す村のからくりと恐怖。 

    からくりへの言い分は心を揺さぶってくる。

    もっともな部分、救いの部分を突いてくる。

    そんな間に待ち受けていたのは更なる驚愕。
    と同時に丸ごと覆いかぶさるのは、せつなさ。

    そのせつなさがまた心を突いて来た。

    全てが夢であったら…そう思うしかない日々、それがこの病の現状。

  • まさにメディカル・サスペンス。
    そしてどんでん返しの連続、衝撃のラスト。

    夫からDVを受けていた主婦・明日香は、7歳の娘リサを連れてとうとう家出を決意する。
    子ども時代、虐待を受けていた明日香は頼れる家族もいない。
    紆余曲折を経て、助けを求め辿り着いた村は、住人は高齢者のみ…それも認知症、中でもアルツハイマー病を患っている人ばかり。
    年寄りたちは日々農作業をしたり、お茶会をしたりと平和に過ごしているようだ。
    住人の1人に孫娘と間違えられたまま、なぜかその村で過ごすことが許された明日香。
    久々に夫から逃れて、リサと共に、また己の人生に関わりのなかった優しい祖父母のような存在と過ごす穏やかな日々に、明日香は幸せを感じていた。
    しかし元看護士の明日香から見たこの村は、どこか不可解なところがある……住人たちの世話をする介護人たちの謎の行動、明かされない村の所在地、携帯の電波も通じない、周りには高圧電流の流れる柵……
    この村はいったい?

    認知症について、介護諸問題について、他にも様々な問題について(知ってる人は知ってる問題かもしれないが、読んだらマジで?とドキッとしますよ)、ミステリー仕立てでハラハラ楽しく、それでいて痛切な面持ちになりながら読め、分かりやすく知ることができる良書だと思った。
    介護する側の立場、介護される側の立場、認知症の治療をする側の立場、すべてを含んでいるところがいいと思った。
    もちろん本書はフィクションなのだが、お話として単純に面白い。
    結構一気に読んでしまった。
    綿密に本作を執筆したのだろうことも参考文献の量から推しはかれるし、ちゃんと作中の症状についてはあくまで一例と注釈をつけてるところも個人的に好感度あがる。

    物語は明日香視点と、おそらく明日香が辿り着いた村についての取材記録とを交互に織り交ぜながら進む。
    この取材記録は誰による、何のためにされたものなのか?
    この繋がりも面白い。
    村の秘密などについてなども驚くことばかりで面白かった。
    しかし一番唸ったのは、一番最後の取材記録について。
    …………………うーん、どちらが事実なのか私の中では判定不能。
    どちらの認識も事実としてありえそうに思える。
    この辺他の人がどう感じたか気になります。
    作者の意図としては、この部分もどんでん返し要素のひとつなのかなぁと思えるが、うーん…………

  • すごい作品を読んでしまった。

    アルツ村というタイトルで、なんとなく想像できる通り
    アルツハイマーをはじめとした認知症の人々が暮らす村。
    そこに、DV夫から逃れてきた明日香と娘のリサが迷い込み、村の秘密に少しずつ近づいていく。


    アルツ村での暮らしを見ていると、
    いつかもし、自分が同じような状態になったら
    こんな風に暮らしたいようにも思える。

    捨てる、捨てられる、という感覚さえクリアできれば
    本当にこんな村が必要なのかも。

  • 最初から読みやすく引き込まれてしまいました
    なんとなく、ストーリーは予想はついてましたが
    最後の急展開にえ~っと1人で声を上げてしまいました
    現実でありそうな舞台でよく思い付くな~
    と思いました
    色々考えさせられました

  • 夫の暴力から子供を連れて家を出た主婦明日香…迷い込んだ村では認知症の高齢者が支援を受けて生活していた…ここはどこなのか?どういったことで支援を受けられているのか…その目的は??すごい作品を読んでしまった…そう思わずにいられませんでした。こういう村の存在ももしかしたらあるのかも…近い将来…ううん、もうすでにあったりして…実際介護に直面する家族のつらさ、大変さは並大抵のものではないです。そこにつけ込んで…ただ高齢者自身の気持ちをないがしろにしているのではないか…そうも感じました。ラストは意外な展開でした!南杏子さんの作品、初読みでしたが、ほかの作品も読みたいです。

  • 今まで読んだ南杏子さんの本とは違った感じのお話。
    アルツハイマーの患者さんばかり集めて、楽しく老後を過ごして貰って、死後は献体してもらうってありそうっちゃありそうって思ってしまった。

    娘のリサちゃんの話も何かおかしいって思ってた所が回収されてすっきり。
    ラストの旦那さんのお話もあって良かった。

  • アルツ村と呼ばれる、認知症の人々を集めた共同生活村。認知症の人々も、時間に追われない、一定の作業だけをしていく分には、何も認知ができないわけではない。認知しなくてはいけないような複雑なことがなければ、案外普通に暮らしていけるのだと言っているような気さえする。
    疲弊した介護者や親族たちから引き離し、捨てられた老人を集めた村というべきなのか、皆に守られた桃源郷なのか。
    ミステリーとして話は進むが、現実の今日本が置かれている事を考えていかなければいけない。超高齢化問題がこの物語の根底にはある。
    明日香も夏美も明日は我が身だ

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著者プロフィール

1961年徳島県生まれ。日本女子大学卒。出版社勤務を経て、東海大学医学部に学士編入。卒業後、慶応大学病院老年内科などで勤務したのち、スイスへ転居。スイス医療福祉互助会顧問医などを務める。帰国後、都内の高齢者向け病院に内科医として勤務するかたわら『サイレント・ブレス』で作家デビュー。『いのちの停車場』は吉永小百合主演で映画化され話題となった。他の著書に『ヴァイタル・サイン』『ディア・ペイシェント』などがある。


「2022年 『アルツ村』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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