ヒカリ文集

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 388
感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065267462

感想・レビュー・書評

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  • 元劇団員の男女6人による文集という体の小説。主題は、6人全員が恋をした、闇を抱えつつ魅力にあふれたヒカリという女性。
    サークルクラッシャー的でありながら皆に好かれるというヒカリの人物像にあまりリアリティは感じなかったが、構成として面白い小説だった。恋愛や人への依存について考えさせられた。

  • ある劇団を舞台に、奔放に生きて男とも女とも関係を持ち惑わせる女、ヒカリとの思い出を6人の劇台員が書き綴って一冊の本に仕上げたという体裁の小説。一人の女性、ヒカリを主人公として、色んな角度から書かれた短編集の集合でもある。演劇はそれほど熱心に楽しむ方ではないので、実際のところはわからないが、誰とでも親しげに接するが、常に冷静で心を心底から開くことのない、ある意味面倒くさい女は、なんとなく演劇の世界に多い気がするので、設定としては違和感なく入り込める。ただ、松浦理英子としては破綻なく今ある実世界を描いているので、意表を突かれる部分はない。

  • 2022I165 913.6/Ma
    配架場所:C1

  • エピソードを読み進めても、ヒカリという人物像が現実味を帯びては浮かび上がって来なかったので、あまり魅力的に感じられなかった。(私の周りにこういうタイプの人がいないせいかも知れませんが。)

  • 新しいファムファタールのお話、ということで読みましたがこれがファムファタールなのだとしたら確かに新しい。
    誰からも好かれるヒカリさんは劇団員のいろんな人と付き合う。
    そして誰の心にも「穴」を残している。
    恋愛感情はどうしてもエゴが入る。
    誰よりも好きなあの人に誰よりも好きだと思ってほしい。
    それが叶えられないのはお互いが苦しい。
    でも好きになっちゃう。
    だってあの子は可愛く笑う。
    だってあの子は私が過ごしやすいようにしてくれる。

    「好き」の定義、好かれることの意味、いろいろ考えてしまうなぁ。

  • 「不思議」「不思議」と評されているのをよく目にして、興味を持ち読んだ。本当に不思議な作品で、ヒカリ自身のことはよく分からず終わったけど、それが魅力的。…でも、ヒカリ視点で一冊読みたい!(笑)

  • めちゃくちゃやばいものをズルズルと一気に読んでしまった。
    とてつもなく不穏なのに、幸福感で溢れている。

  • もと劇団員だったヒカリについて、亡くなった劇団主宰の遺稿をもとに、それぞれが文章のの形で表現する。今ヒカリは何をしているのだろうと苦くあたたかい気持ちで振り返る過去。6人6様のヒカリとの関係感情の揺れが彼女を浮かび上がらせる。それぞれにとって運命の人だったのだ。

  • 毒気のある人物が主人公

  • 劇団NTRの演出家だった破月が急死し、劇団の内部をモデルにした戯曲の遺稿が発見された。
    破月の妻の提案で、かつての劇団員たちが、それぞれ戯曲の続きを書くことになる。
    それは、当時彼らが愛していた「ヒカリ」の姿を描き出すことでもあった。

    ヒカリの魅力がいまひとつ理解できない。
    それぞれの視点からみたヒカリの横顔が少しづつ違うのは当然だけれど、そこらへんのグラデーションを巧く表現している。

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著者プロフィール

1958年生まれ。78年「葬儀の日」で文學界新人賞を受賞しデビュー。著書に『親指Pの修業時代』(女流文学賞)、『犬身』(読売文学賞)、『奇貨』『最愛の子ども』(泉鏡花文学賞)など。

「2022年 『たけくらべ 現代語訳・樋口一葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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