スペシャルQトなぼくら

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065269787

作品紹介・あらすじ

Q=クエスチョニング。自分の性別が男か女かわからない。自分が好きになる相手が異性か同性かわからない。だけど、どっちかわからなくたって、ぼくらはぼくらの好きなものが好き!!

中学2年のナオが塾帰りに目撃したのは、女子のようにメイクをして、かわいい服で街をあるく学年トップの優等生・久瀬の姿。そのときから、自分のことをごく普通の男子だと思っていたナオの心に、ある願いが生まれて…。
Qでキュートなふたりが織りなす、おしゃれと恋と特別な絆の物語。

講談社児童文学新人賞でデビュー、ジュニア冒険小説大賞、日本児童文学者協会新人賞受賞作家で幼年童話からYA作品まで幅広く執筆する如月かずさ氏の最新作。LGBTQのQ、クエスチョニングをテーマにした青春小説。

感想・レビュー・書評

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  • 男がかわいくなりたいのはおかしい?「窮屈さ」から解放されてわかったこと(如月 かずさ) | FRaU
    https://gendai.ismedia.jp/articles/-/94105

    スペシャルQトなぼくら - コクリコ[cocreco]
    https://cocreco.kodansha.co.jp/catalog/0000358558

    『スペシャルQトなぼくら』(如月 かずさ)|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000358558

  • LGBTについては知っているが、LGBTQの"Q"については知らない人も多いのではないだろうか。
    そんなQ…クエスチョニングで"キュー"トな男子中学生2人の、時に悩み時に楽しく過ごす、自分の「好き」の形を共につくっていく絆の物語。
    かわいい表紙なので、中高生男子が手に取るには少し勇気がいる本かもしれないが、ぜひ男女クエスチョニング問わずティーンエイジャーに読んでほしい本。
    ティーンズ向けとしてこの本を書いてくれたことに、嬉しさすら感じる。

    表紙も裏表紙もとてもかわいい。
    作中の描写から察するに、表紙の右側の子が主人公のナオで、左側の子がユエだろう。

    学校トップの優等生・久瀬(ことユエ)が化粧をしてウィッグをつけて女性もののかわいらしい服装をして古着屋を見て回っているところを、主人公ナオは目撃してしまう。
    うっかり屋さんなナオは、そんな久瀬の姿を見かけてしまったことをうっかり本人に明かしてしまう。
    久瀬の変身がすごかった!と素直に褒めるナオに、久瀬は「じゃあ僕が変身するとこ、見てみる?」とナオに自分が化粧をしてウィッグをするところを見せる。
    そうして仲良くなった2人は一緒に古着屋を巡ったりして、ナオはだんだん自分の抑えていた気持ちに気づく。
    そうだ、僕はかわいいものが好きだったんだ。

    物語は2人の友情、好きなものを好きだ!と思いながら満喫する幸せ、そして恋愛なのかなんなのか難しい感情、自身の性的指向への葛藤を咀嚼して悩みまくるエピソードが中心だが、彼らの周りの登場人物たちも全員重要だ。
    孤立した状況で、好きなものを好きだと、勇気を出して一歩を踏み出すのは難しい。
    周りの理解があって、仲間がいて、応援してくれる人がいて、初めて好きなものを本当に楽しむことができるのだ。
    周りに理解者がいなければ、この結末はなかっただろう。
    そのことも本書は教えてくれる。


    ナオ自身の心理描写はもちろん、ナオから見た他の登場人物の仕草や言葉から分かる心理描写もとても巧みだ。
    クエスチョニングゆえの2人の葛藤や、つらいことも描写されるが、ナオの友達や久瀬に片想いをしている後輩女子など、やさしい子が多く登場するので、つらい気持ちに傾きすぎず、安定して読める。
    そして親しみやすい文体でテンポよく読める。
    大人の描写はほとんどないが(ただ主人公2人の親は息子がかわいいものに関心があることを許容しない描写がある)、私はその方がティーンズ向け作品としていいと思う。
    本作のようなお話に下手に大人が介入すると、物語としてバランスが崩れそうなので。
    あと、同年代の子どもたち同士で考え合って、フォローし合って、お互い向き合う姿を見せるところが、本作のいいところだとも思っているので。

    結末も、私は希望を感じた。
    私自身アセクシャルだから、結末に関して、少し共感して読めたところがある。
    私は今のところ恋人を作らないという意味では一生一人でいるつもりだが…恋人ではない生涯の友という意味でパートナーがいたら人生心強いよなぁと思う。
    作中にもあるように「どっちでもいいじゃん」で私はいいと思っている。
    性別や性的指向はグラデーションで、その時によって変化することもあるのだから。
    この物語はフィクションだが、"Q"にあたる人々も様々で、それぞれどのように感じているのかよく調べて描かれている印象があり、物語を楽しみつつ、LGBTQについて考えることを促してくれる。
    繰り返しになるが、ぜひたくさんの人に読んでほしい。

  • 性自認、性的指向が定まっていないクエスチョニングの中学生を描いたYA。
    人物描写がとても丁寧。
    自分についても他者についても考える取っ掛かりは多ければ多いほど良いと思うので、こんな風に十代の子が手に取る、マイノリティが描かれた作品が増えていくことを望んでいる。
    ただ、ちょっと結末は甘すぎるのでは…その先が不安になる。
    光のあるラストにしてほしいとは思うけども。

  • LGBTQ、アロマンテイック、アセクシュアル…。タイトルと表紙を見たときは、かわいいものが好きな男の子の話かな、くらいにしか思わなかったけど、色々と勉強になった。
    自分の性別、恋愛対象の性別、恋愛の仕方、自分ではわかってるつもりだけど、案外わからないのかもなぁと読んでいて思った。好きなものを好きっていえるのって、素敵だよね。
    帯に書かれていた、まさに「Qでキュートなふたりが織りなす、おしゃれと恋と特別な絆の物語」でした。

  • ナオは塾帰りに、同級生の久瀬優英がかつらをかぶり化粧をして女の子っぽいファッションで歩いているのを見かける。
    後日放課後にこっそりあとをつけていたのがばれるが、それがきっかけに仲良くなった。
    思い切って化粧してもらうと、自分は久瀬がうらやましく、自分もキュートな格好をしてみたかったんだ、かわいいものが好きだったんだと気付く

    〇かわいいものが好きなら、性別関係なくはまっちゃえばいい。
    ただ「好き」は相手がいるから、ジェンダー関係なく難しいよなあ。
    〇家族の描写が薄かった。本作品は友人関係にスポットをあてている
    〇LGBTQ 、性的嗜好について考える。
    ただ、登場人物たちは「名前」に振り回されているような気がした。
    恋がハリケーンならば、まだ決めつけるのは早いんじゃないかな~と思ったけど、当事者・当事者かもしれない人にはそういった意見がしんどいのかなとも思ったり
    “自分”のことを自分はどれだけ知っているのだろう

  • LGBT"Q"に踏み込んだ作品。

    心理描写がお見事で、登場人物にすんなり感情移入できる。「どっちでもいいじゃん」が浸透していくといいよね。
    この作品がYAであることに意味を感じます。


    オチはちょっと…こうするしかなかったのかな?といった印象。
    ユエとナオが生きやすい世の中になるといいなあ。

  • LGBTの中のクエスチョニングというものは、始めて聞いた。
    ただでさえも多感な中2という時期に、自分のセクシャリティに悩みを抱えているというのは、本当に苦しいと思う。
    でもQトなお洋服のやメイクの描写も多く、暗くなりすぎずに物語が展開していくところがよい。

  • 物語の世界に引き込まれました!なぜ「キュート」を「Qト」と表記してるのか…!?それが読み終わったらわかります!性別についてや自分らしさに悩んでいる人にオススメです!ぜひ読んで見てください!

  • わたしもクエスチョニングで
    性自認はたぶんXジェンダーかな?
    恋愛感情はないわけではないけど、パートナーができても性的なことをしたいとは思わない。
    いいなって思うひとはだいたい女性が多い、というずっとわからないまま生きています。
    いまの時代、こういう本があることを心強く、嬉しく感じながら読んでいました。
    わたし、本日もキュートなわたしでいたいです。

  • 社会的にはまだまだ浸透していない問題を題材にするとそれがどういうものなのかというところからスタートしなくてはいけない。
    それゆえに解説的な側面が大きくなりすぎている作品もあるのだけど、本作は登場人物たちの繊細でやわらかな心の機微がシンプルな台詞で表現されていて、まっすぐ伝わってくる。

    「好きな服を着て好きなことをしていると、心が弾むんだよ」
    男の子が可愛い洋服を着ることだけではなく、誰もがこういう気持ちを引け目を感じずに大切にできる世界であってほしい。

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著者プロフィール

1983年、群馬県桐生市生まれ。東京大学教養学部卒業。『サナギの見る夢』(講談社)で第49回講談社児童文学新人賞佳作を受賞。『ミステリアス・セブンス―封印の七不思議』(岩崎書店)で第7回ジュニア冒険小説大賞を受賞。『カエルの歌姫』(講談社)で第45回日本児童文学者協会新人賞受賞。その他の作品に、『シンデレラウミウシの彼女』『スペシャルQトなぼくら』(講談社)、『給食アンサンブル』(光村図書出版)、『七不思議探偵アマデウス!」(静山社)、「ミッチの道ばたコレクション」シリーズ(偕成社)「なのだのノダちゃん」シリーズ(小峰書店)ほか多数。


「2023年 『YA!ジェンダーフリーアンソロジー TRUE Colors』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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