- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065277225
作品紹介・あらすじ
「宇宙論」は、ここ100年で非常に目覚ましい発展をとげています。これら直近100年の宇宙論の歩みを、最先端の発展までを含め、宇宙論や素粒子論、量子重力理論などを専門とする著者が、徹底解説。はじめての「宇宙論」として本格的な、そして現代的な宇宙論を知ることができるような1冊になっています。
人間の宇宙への興味は、古来より尽きることはありませんでした。実際、古代エジプトからインド、ギリシャに至るまで、様々な「宇宙論」が考えられ、それらに基づいた神話や哲学が発展してきました。にもかかわらず、現代の宇宙論につながる「観測に基づいた系統的な世界観の構築」が始まったのは、かなり最近、ここ400年あまりのことなのです。
理論物理学の最前線では、私たちの宇宙を超えた、その外側や生まれる以前などについても議論できるようになってきています。これらの驚くべき成果は、主に20世紀に入って起こった爆発的な物理科学の発展によってもたらされたものであり、それはアルベルト・アインシュタインをはじめとする多くの科学者の長年における仕事の結果として得られたものです。
現代の宇宙論で科学的に調べることができる、私たちの宇宙が誕生してから約10のマイナス30乗秒後といった宇宙の「超初期」について紹介したり、恒星や銀河、銀河団といった現在私たちが見る構造の起源が、このような宇宙の超初期にどのようにして作られたのか、理論的な説明や、それを確認するための観測についても触れていきます。
よく耳にする「ビッグバン宇宙」や「インフレーション宇宙」といった言葉についても理解が進むように詳しく解説しています。
さらに、近年理論物理学者の間で急速に受け入れられつつある描像である「マルチバース理論」を紹介します。この最新の描像によれば、私たちが全宇宙だと思っていたものは無数にある「宇宙たち」の一つにすぎず、それら多くの宇宙においては素粒子の種類、性質およびそれを支配する法則、さらには空間の次元に至るまで、多くのことが私たちの宇宙とは異なっているとされるのです。
私たちのこの宇宙が始まる前から寿命について、またこの宇宙の外側まで、壮大なスケールで語られる、わかりやすい最先端の宇宙論です。
感想・レビュー・書評
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前提知識があまりに不足していたため、内容を全て理解するのは難しかったがとても面白かった。マルチバースなど、SFでしか存在しないと思っていたが科学的に証明されようとしているのは興味深い。私たちは全エネルギー密度のうち5%しか理解できておらず、残りの95%は解明されていない。生きているうちにダークマター、ダークエネルギーについて解明されることを願う。
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誰でも一度は考えたことがあるだろう。
宇宙の外側はどうなっているの?
宇宙が始まる前には何があったの?
こうした問いへの答えが、最新の理論を説明しながら、読者の前に提示されていく。実は、この2つの問いは、同じ答えに帰着しているという、驚くべき理論から導出される。
基本的な事柄を、丁寧に説明していく序段。
この平易さに心地よさを感じていると、中盤から難度があがり、頭の中にわだかまりのような曇りを残したまま、終盤のクライマックスにいく。
最終章は、謎の本質に迫る内容で、ぐいぐいと引き込まれていくが、かなりの素養がないと、この醍醐味を味わうことができないのでは、と思う。
人間の脳内活動だけで、どこまでも突き詰めていくことができる、その能力の不思議さも、本書のテーマの不思議さに匹敵すると、改めて感じさせられた。 -
展開する理論について行ってるとはまったく思わないが、無茶苦茶面白かった。この宇宙の始まりのところや、ダークマター、人間原理、マルチバースなど、変な表現だけど、解らんなりに腑に落ちた(^^)。ああ、宇宙論もここまで来てるんだ、との感慨深い本です。作者の筆力に感謝。
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インフレーション、ビッグバン、ダークマター、ダークエネルギー、マルチバース理論などを初学者向けに紹介。と、いっても、かなり読みごたえがある。宇宙の開闢の際は1マイナス38乗から1マイナス26乗ほどの間でインフレーション、更にはビッグバンが起こったそうである。この悠久に思える宇宙誕生のこの極微の時間での激烈な作用と言ったら!宇宙のことをもっと知りたいと感じさせてくれる好著と思う。
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UCBの野村教授による一般向け宇宙解説本。語り口が変に読者に媚びたり、反対に専門用語連発で突き放すようなことをせず、極力平易な言葉、ニュートラルな表現で現代宇宙論が解説されている。宇宙専門でなかった物理出身としてはレベル感がちょうど良くとても面白かった。ダークエネルギーは要は真空のエネルギー(そう言われたらまあそうか)、ダークマターの候補として考えられているWIMPなど知れてよかった。あと超弦理論の10とか11次元とかいう空間+時間以外の次元の概念について、それらの次元軸はドーナツみたいに輪になっていてかつそのスケールが見えないほど小さいから存在しないように見えるという解釈が、素人なりに初めて腑に落ちた気がした。
自分が生きている間にダークマター・ダークエネルギーの正体は分かるのだろうか…ビックバン以前の状態は… -
めちゃくちゃ難しい。それでも興味深さは半端ない。
YouTube の PIVOT で見て、気になって本を読んでみた。
前提知識が多少あるからかほんの少しはわかるが、それでも相当難しい。
多元的宇宙論はフェルマーの最終定理の本か何かで読んだが否定的にとらえられていたかと思う。しかしながら、宇宙論では肯定的に捉えられていることに驚きだった。宇宙は人間であるべき形で作られているのではなく、結果として人間に沿ったものが残っているというだけ。そして他にもあるというのは大変興味深い。 -
自身に再読を勧める
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昨今、マルチバースという言葉が映画などでも描かれるようになったが、実際にそれを理解しようとして見ると、難解極まりない。私達が宇宙だと思っていたものは泡宇宙の一つであり、その泡宇宙は無数に存在する、、、かもしれないと。