雨の日が好きな人

  • 講談社
4.12
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065281178

作品紹介・あらすじ

うつのみや賞&日本児童文学者協会受賞作家の感涙小説!

どうしても他人と比べてしまうし、
世の中は不公平だけど・・・・・・、
かわいそうな人なんていない!

七海のお姉ちゃんは、生まれつき体が弱くて小児病棟から出られない。
そんな姉を七海はかわいそうだと思ってしまうし、
美人の親友のことは、うらやましいと感じてしまう。

<あらすじ>
虚弱体質で入院中の小さな小さな中学二年生。
わたしのあたらしいおねえちゃん。
なに、この不公平な世の中。
神様とやらがいるなら、なんでこんなことするんだろう!

━━小学6年生の七海は、シングルマザーのお母さんが再婚して、
あたらしいお父さんと、あたらしいおねえちゃんができて、
大喜びしている。

入院中のおねえちゃんは、
未熟児で生まれて、なんども死にそうになった。
しかも産んだお母さんは4歳で亡くなってしまった。
悲しみだらけの人生なのに泣き言を言わないし、
弱音もはかないで、まわりのことを気遣ってばかりで、
七海は、自分が恥ずかしくなる。

感想・レビュー・書評

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  • 大事にして欲しい、でも気を遣われ過ぎるのは嫌。
    そんな微妙な気持ちを話し合える友達や姉妹っていいなと思った。
    逆に、両親の行動や言動が七海を蔑ろにし過ぎな気がして可哀想だった。(特に前半)
    羨ましいという気持ちを素直に表現することって、難しいことかもしれない。
    自分の弱さをうまくさらけ出せる人になれたら、生きやすくなりそう。
    児童書だけど、大人が読んでも得るものがあった。

  • #雨の日が好きな人
    #佐藤まどか
    #講談社
    #児童書
    #読了

    うわー!また好きな作家さんを見つけてしまった。という気持ち。必要以上に嫌な言い方してしまったり、泣いたら負けると思って平気なふりしたりする小6の七海がかわいくてたまらない。そして新しい家族との出会い。心の琴線に触れた作品でした。

  • 親の再婚で新しいおねえちゃんができたけど、ずっと入院していて会えない。
    登場人物それぞれの本音とぶつかり合いがリアルで魅力的。

  • 子どもが子どもでいることを親として大人として保証したい。理念はわかる。でも具体的にどうすればよいのか。親だって大人だって、今を生きてるのは初めてだ。子どもを傷つけて後悔し、取り返しのつかない状況に絶望もする。
    同じなのだ。大人も子どもも。今が初めてだという一点においては。
    毒親だの家庭に問題があるだのいうヤカラは、後出しジャンケンだ。
    お互い初めてだと、そこは同じ地平に立とう。刷り込まれてしまっている思い込みから自由になって、目の前にいるあなたと私と、等身大のやりとりをしようよ、そう呼びかけてくれる本だった。
    読んでよかった。

  • 母が再婚して新しい父と姉ができた6年生の七海(ななみ)

    けれど病弱で生まれてからずっと入院しているという2歳年上の姉 幸(ゆき)とは会わせてもらえず、おじさん=新しい父とも打ち解けることができない

    姉の見舞いで前よりも忙しくなった母とすれ違い、親友の詩乃とも仲たがいしてしまった七海は……

    『アドリブ』で日本児童文学者協会賞&児童ペン賞少年小説賞、『スーパーキッズ』でうつのみやこども賞を受賞したイタリア在住の作家による“揺れる少女の心を描く感動作”、2022年10月刊

    〈なにかされる前の「ごめん」は、言われるとがっかりするものだ。〉

    〈どうして同じものを食べても、一人で食べるよりだれかと食べたほうがおいしいんだろう〉

    〈わたしのウソはバウムクーヘンみたいにどんどん折り重なって、大きくなっていく。〉

    七海の心を表現する繊細なフレーズが心に響く

    読後、タイトルとカバーイラストを表から裏へと見直して、なるほどと得心

  • お母さんが再婚して篠原、改め石川姓になった小六の七海は、身体が丈夫な健康体だということだけが取り柄。新しくできた中学二年生のお姉ちゃんは生まれてからずっと病気で入院していて、家族になった今も会えないまま。新しいお父さんもお母さんも、病院へかかりっきりで、七海はお母さんが再婚する前よりずっと、一人でいることが増えた。
    友達の詩乃は美人でスラッとしていて、両親も仲がいい。いいなあ詩乃は。比べることじゃないって分かっていても、自分とまわりの人を比べちゃうよ。



    七海の気持ちがとてもよく分かるし、親の目線では親の気持ちも分かる、けれどやはり、ちょっと娘に甘えすぎじゃないかと思えてしまう前半でした。
    お父さんに対して、どうしても怒りの気持ちが芽生えてしまいました。実の娘と同じように連れ子のことを思えないのなら結婚はすべきじゃない、と。問題が解決するまでは、七海ちゃんが犠牲になっている図式に見えてしまい、七海ちゃんと幸ちゃんが仲良くなったことでその辺りがうやむやになっている気がするけれど、それって七海ちゃんが大人だからうまくまとまったのだろうなと思ってしまいました。

  • 「雨そのものというより、雨の日が好きなんだ。」

    小学6年生の七海は、お母さんが再婚して、新しいお父さんとお姉ちゃんができた。家族が増えてうれしいはずが、体が弱くて入院中の姉に、お母さんもお父さんも付きっきり。お母さんまでうばわれたような気持ちになる。

    それに、自分だけお姉ちゃんに面会させてもらえない。なぜだろう。両親がいない日、七海はないしょで姉がいる病室をたずねることにするーー。

    きれいで人気者の友だちと自分をくらべて落ちこんだり、病気のお姉ちゃんを「かわいそう」と思ったり、うらやんだり……。そうして悩みながら、七海は、自分や相手と向き合っていく。

    七海は、友達、母親、父親、そしてお姉ちゃんに、自分の本音を伝え、ときに後悔したり、ぶつかったりしながら新しい関係を築いていく。不器用だけど、一生懸命に成長していく七海の姿に心が打たれる。

    誰かと自分を比べて悩んでいる人、誰かと深く理解し合えるようになりたい人に、ぜひ読んでほしい1冊。

    「なんかさびしくて、涙が出そうだった。
    悟らないでほしい。あきらめないでほしい。
    でも、それは言えなかった。そんなことを言うほうが、残酷かもしれないから。」

  • 他人を羨みジェラシーを感じることは誰にでもある。親が再婚した七海は連子の幸が超虚弱なため、養父も母も幸にかかりきり。再婚したのに減る家族。ここらへんの七海の心情は読んでいて辛い。まだ小学生だよ?しっかりしてても甘えたいに決まってんじゃん。良い子でいた七海が母と養父とガチンコバトルし本音をさらけ出せたのは良かったし、ファンシーショップの店長さんみたいないい人に会えたのは良かった。残念ながら養父の良さが全然分からなかったけど、七海と幸が姉妹になれたのは良かったなあ。ものすごく繊細な児童書だと思う。

  • 七海の心情がよく描かれている良い作品だと思う。きれいにハッピーエンドなのも子どもには良いと思う。高学年女子にオススメしたい。

  • 5.6年から。再婚して出来たお父さんとお姉ちゃん。期待していたのに、お姉ちゃんの障害でお母さんは付きっきりになり主人公の女の子がストレスを抱えて行く様子や、大人と子どもの言い分や見え方が違うことにハッとさせられること、心から本当の家族、姉妹になれたことが伝わる良書。

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著者プロフィール

『水色の足ひれ』(第22回ニッサン童話と絵本のグランプリ童話大賞受賞・BL出版)で作家デビュー。主な著書に『スーパーキッズ 最低で最高のボクたち』(第28回うつのみやこども賞受賞)『ぼくのネコがロボットになった』『リジェクション 心臓と死体と時速200km』『雨の日が好きな人』(以上、講談社)、『セイギのミカタ』(フレーベル館)、『つくられた心』(ポプラ社)、『一〇五度』(第64回青少年読書感想文全国コンクール中学校部門課題図書)、『アドリブ』(第60回日本児童文学者協会賞受賞)、『世界とキレル』(以上、あすなろ書房)など。
イタリア在住。日本児童文学者協会会員。季節風同人。

「2023年 『おはなしサイエンス AI(人工知能) ロボットは泣くのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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