昭和の参謀 (講談社現代新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065282236

作品紹介・あらすじ

満州事変以来、一五年に及ぶ戦争を主導した参謀たち。石原莞爾、辻政信、瀬島龍三ら参謀の実像を、家族などの証言から描き出す一冊。

感想・レビュー・書評

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  • ●=引用

    ●山本は「戦後、帝国陸軍とは『下剋上の世界』だったとよく言われるが、われわれ内部のものが見ていると『下が上を剋する』というより『上が下に依存』する世界、すなわち『上依存下』の世界があったとしか思えないと述べる(略)一方で佐藤が、その結果として「幕僚の勢力が増大」し、「幕僚の独断は専断におちいり、専断は下剋上となって軍機紊乱の一因になった」と書いているように「下剋上」と「上依存下」は表裏一体の関係であった。

  • 判断力、企画力、いろいろとビジネスにも応用できる人の生き方を学んだ。

  • 参謀がどういう存在なのかを考えることは、会社組織のスタッフ職をどう捉えるか、ということと近いと思った。
    「戦略」「戦術」「戦闘」
    「言葉の大きさ」「純粋性」「合理性」
    これ、という形で要約できないが、いろいろ考えるための、手掛かりを得られたように感じる。

  • 有り S396/マ/22 棚:13

  •  陸大出、参謀本部・大本営での勤務経験があり、司令官として有名なわけではない7人の章別の評伝。本書で特に参謀道のようなものが強調されているわけでもなく、石原莞爾や服部卓四郎レベルの著名人は一般的評価と変わらないだろう。ただ瀬島龍三が戦後伊藤忠で記した「スタッフ勤務の参考」なる文章は、軍人の参謀論にも通じると言えるか。
     彼らのような経歴の軍参謀は「戦前日本が英知を尽くして作り上げた特別な存在」(本書から)だったかもしれない。しかし参謀をスタッフと言い換えれば、瀬島の参謀論のように、戦後日本の組織でもある程度は共通する話だ。だからこそ、多くの陸大出参謀は戦後もエリートだったのだろう。もっとも、参謀だったからというより、そもそも彼らは社会の中でエリート寄りであり、かつ戦後も人脈が期待されたという面もあろうが。その中で、恩賜の軍刀組ながら戦後は隠遁した八原博通の心境はいかばかりか。
     なお、レイテ島と沖縄で、堀栄三と八原はそれぞれ参謀として持久戦を主張したが、陸軍の大勢とは合わず。著者は「死中に活を見出したがる日本軍人の傾向」を批判的に書いている。一方、著者も認識していると思われるが、戦場の悲惨さはまた別の問題だ。

  • エリート層にして、国家の滅亡と直接関わった、昭和の参謀7人を、彼らの戦後を交えて描く。特に陸大出の高級軍人については、軍隊が消失した戦後も(本人が望めば)社会から高位高給で遇されており、それだけに、彼ら自身がどんな生き方を求めたかが透けて見えるよう。野蛮なタイプ、学究肌のタイプ、世渡り上手なタイプなど、能力より彼らのキャラクターこそが、その人生を形造っているようで、軍人としての履歴は二次的要因に見えるほど(長いシベリア抑留でものの見方が変わったという瀬島龍三の例もあるが)。全編の物語的な面白さは、取り上げた参謀の選定の賜物だろう。

  • 【蔵書検索詳細へのリンク】*所在・請求記号はこちらから確認できます
     https://opac.hama-med.ac.jp/opac/volume/465436

  • 東2法経図・6F開架:B1/2/2668/K

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