影と踊る日

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 71
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065291788

作品紹介・あらすじ

「おまえは出来は悪いが、うちの娘だ」
思いつめたら突き進む“跳ねっ返り”女性警察官の真情。

認知症の高齢女性を助けた青年が水死体で発見された。
鈴山澪は事件の背後に悪名高い刑事の存在を探り当てる。
不審な動きを見せる刑事は何を追っているのか?
特殊詐欺の闇を抉り出す渾身の警察小説!


心優しき青年はなぜ殺されなければならなかったのか?

新潟県警に勤務する鈴山澪は地元のテレビ番組で、特殊詐欺対策啓蒙コーナーを担当している。
共演者の麻子は、恋人を詐欺被害で亡くしていた。ある日、麻子は生放送で、未だに捕まらない
犯人への憎しみを口走って炎上する。
一方、澪の友人で、大雪の日に認知症の高齢女性を保護して表彰された青年がいなくなる。
その件に絡んで謹慎となった澪は行方を探し、富山の海岸で変わり果てた姿を目にする。
辿りついた防犯映像には地元暴力団との交際が噂される刑事の姿が……。

警察組織に背を向けて事件を追う澪は、いつしか、封印した自らの過去に踏み込んでいくことに――。

新潟を舞台にした新たなる警察小説

感想・レビュー・書評

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  • 新潟県警に勤務し、地元のテレビ番組で、特殊詐欺対策啓蒙コーナーを担当している鈴山澪。
    共演者の山野麻子は、詐欺被害撲滅新潟市民グループの高齢者世代の代表としてこのコーナーに抜擢されていた。
    麻子が、生番組中に未だに捕まらない犯人への憎しみを口走って、その発言が炎上。
    それに絡んで1人の青年が行方不明後に水死体で発見される。

    これで終わり…となるわけではなかった。

    特殊詐欺の闇を抉り出すことだけを描いているのではなかった。
    山野麻子にしても辛い過去があり、鈴山澪も抱えている重たい過去があった。
    麻子は、自身の罪を自身で解決したようなかたちになったが、澪にはどの道が正しいのだろうか。
    スッキリとはさせてくれなかった。

  • Amazonの紹介より
    認知症の高齢女性を助けた青年が水死体で発見された。
    鈴山澪は事件の背後に悪名高い刑事の存在を探り当てる。
    不審な動きを見せる刑事は何を追っているのか?
    特殊詐欺の闇を抉り出す渾身の警察小説!
    心優しき青年はなぜ殺されなければならなかったのか?
    新潟県警に勤務する鈴山澪は地元のテレビ番組で、特殊詐欺対策啓蒙コーナーを担当している。
    共演者の麻子は、恋人を詐欺被害で亡くしていた。ある日、麻子は生放送で、未だに捕まらない
    犯人への憎しみを口走って炎上する。
    一方、澪の友人で、大雪の日に認知症の高齢女性を保護して表彰された青年がいなくなる。
    その件に絡んで謹慎となった澪は行方を探し、富山の海岸で変わり果てた姿を目にする。
    辿りついた防犯映像には地元暴力団との交際が噂される刑事の姿が……。
    警察組織に背を向けて事件を追う澪は、いつしか、封印した自らの過去に踏み込んでいくことに――。



    新潟を舞台に、ある特殊詐欺に絡んだ出来事を追っていくのですが、主人公の芯の強さが印象的で、特殊詐欺や登場人物の背景など様々な闇を垣間見ました。

    穏やか雰囲気で優しそうだと思っていた人々が、実は闇の過去をもっている人ばかりで、衝撃の連続でした。
    本当に、ほんの一部しか相手を見ていないんだなと思いました。SNSがある時代だからこそ、本当か嘘か関わらず、色んな情報が蔓延っていて、ネットの恐ろしさを感じました。

    作品は単発ものですが、シリーズ化されている⁉︎と思うくらいの安定感がありました。色んなものを掘り下げれば、シリーズ化してもおかしくないと思いました。
    新潟を舞台に他県との対立や闇を抱える登場人物の描写が上手く表現されている印象がありました。
    特に主人公の女性刑事や高齢女性の内なる憎しみを抱えた表現は、丁寧に描かれている印象でした。

    他の神護作品を見てみると、江戸川乱歩賞受賞作「ノワールをまとう女」がありました。
    こちらも読んだことがありますが、ダークをまとう女性の雰囲気の表現が印象深かったので、なるほどと思いました。

    特殊詐欺によって、人生を狂わされた人達。その憎しみは想像以上だと思います。一応、事件解決しますが、なんだかモヤモヤ感が残りました。
    なにをやっても、報われない。題名の「影と踊る日」。その意味に深いなと考えさせられました。

  • 今の時代は有名になって得する事などないということ。

  • 予想通り…

  • なんだろう。
    個人的な意見だけど、文章がだめなのか全く頭にはいらなかった。
    悪いけれど流し読み。

  • 多くの警察物の作品は、警視庁であったり、あるいは大阪府警であったりと、非常に規模の大きい都道府県警が舞台であったりしますが、時には、この作品のような地方の県警が舞台になることもあります。

    地方警察が舞台の作品は、それはそれで味があります。警察の規模が小さめなので、地域との関りが濃いんですよねぇ。この作品にも、その設定は活かされています。

    いやぁ、しかし、作品に登場する多くの人が、何某かの闇を抱えていますね。主人公の鈴山澪も同じ。地方局の番組で、警察を代表して出演している彼女は、それなりに顔が知られてしまっている、文字通り“警察の顔”。そんな鈴山にも、暗い過去があることが語られています。

    続編を描くことが出来る様な結末になっています。続編があるかどうかは作者次第かもしれませんが、続いたら、結構面白いと思うんですけどねぇ。

  • 幼少の頃に犯した罪を償う機会がないまま、過去を封印してしまった女警官、澪が特殊詐欺事件に挑む。

    幼少の頃に犯し、償う機会が与えられなかった罪。
    大人になって、警察官として生きる鈴山澪の前に、
    過去の闇が姿を現す。

    終始、息が詰まるような物語だった。
    息苦しく、辛い。

    人は罪を犯したら、償わなければならない。
    そうでなければ、死ぬまで苦しむことになる。

    こういうテーマで、息苦しくないわけがないではないか。

    恋人が特殊詐欺にあい命を絶つという、
    辛い経験をした高齢の女性と知り合ったことがきっかけで、
    澪は、特殊詐欺事件の真相を追うことになる。

    上にたてついたり、一人で突っ走ったりと、
    かなり、イタいキャラなんだが、
    タフでも、スーパーウーマンでもない、
    それでも、過去に闇を抱える女として、
    事件の解明に挑む、肝の据わった女警官になったと、
    最初の頃は、澪のキャラにイライラさせられたが、
    後半に行くにしたがって、感情移入できるようになった。

    警官でいることを辞めない彼女の、
    一皮むけた活躍を、また、見てみたいものである。

  • 特殊詐欺対策としてテレビにも出演する新潟県警刑事の鈴山澪。知り合いの青年が失踪したことを受け、個人的に調査するもその裏には大きな事件が潜んでいた。謹慎処分となり警察を辞めることを覚悟しながらも捜査を進める彼女がたどり着く真相とはどのようなものなのか。そして彼女自身が抱える過去の罪は何なのか。スリリングながら重苦しさも感じる警察ミステリです。
    事件の様相もさながら、澪が抱えている過去が気になります。そして他の登場人物にも過去を抱えている人が少なくはなく、「地獄はどこにでもある」という言葉が痛々しく感じました。それでもその地獄から這い上がり生きぬく人たちは逞しく頼もしく思えますが……しかし楽ではないですよね。誰もが影を抱えながら、その影とうまく折り合いを付けなくてはならない、その厳しさを感じました。

  • あやしいと思ってた人があやしかった。

  • テレビの特殊詐欺対策啓蒙コーナーに出演している鈴山澪が行方不明になった認知症の高齢女性を助けた友人の行方を追う。特殊詐欺事件に絡む人達、そして自身の過去が明らかになっていく…

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著者プロフィール

1960年、愛知県生まれ。國學院大學卒業。化学品メーカーに三十五年間勤務。1996年、『裏平安霊異記』でデビュー。2011年、『人魚呪』で遠野物語百周年文学賞、19年、『ノワールをまとう女』で江戸川乱歩賞を受賞。著書に『石燕夜行』(全三巻)、『償いの流儀』がある。



「2022年 『影と踊る日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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