亀裂 創業家の悲劇

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065295557

作品紹介・あらすじ

時代を読み、需要を先取りする動物的な勘。
多くの人を惹きつけ、統率する牽引力。
そして、強烈な自負心と強運。
日本を代表する有名企業をつくった「創業社長」には、どこか共通するカリスマ性がある。
しかし、創業社長のカリスマ性が大きければ大きいほど、その去り際、そして去ったあとには、巨大な陥穽が残されることになる。
セイコーの服部家、国際興業・小佐野賢治、ロッテ・重光武雄といった昭和を象徴する創業者の後継者たちは、いずれも大きな混沌を経験した。
ソニーを創業した盛田昭夫氏の長男・盛田英夫氏は、ソニー株をはじめ多額の資産を父から相続したが、それをスキー場開発やF1レースへの参戦などに膨大な資金をつぎ込み、ついにそのすべてを費消しつくした。盛田家の祖業である醸造業に取り組んだがそれもうまくいかず、それでも都心の高級ホテル住まいをつづけ、最後はその滞在費を払うこともできないところまで追い込まれた。
英夫氏は、「盛田昭夫」という巨大な存在から逃れ、克服するために自分だけの成功を追い求めたのかもしれないが、結局それは果たせなかった。
ユニバーサル・エンターテインメントの岡田家、大塚家具の大塚家、大戸屋の三森家、ゲオの遠藤家も、会社の経営権をめぐって、激しい内紛を展開している。
さらに、創業家の持つ巨額の資産には、「資本のハイエナ」と呼ばれるような地下金融の住人たちや、M資金という古典的な詐欺師たちが群がり、甘言を尽くしてカネを吸い取ろうとする。
目を覆うような悲喜劇は、そこに巨額の資産があるからこそ起こる。
リア王やマクベスを地で行く、裏切りと転落のドラマ。
経済事件取材のトップランナーである筆者が、その圧倒的な取材力と筆力によって構成する最上級の経済ノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 一気読みした。
    有名企業としての光の裏にある陰、現実の話しであるだけに、とても背筋が寒くなる読後感であった。各話とも登場人物、会社が複雑で入ってきにくいところがあるが、それはまさに複雑な亀裂であることを示すことの裏返しと感じた。

  • タイトル通りにおもしろかった。

    日本を代表する八つの企業に起こった経営を巡るトラブルを、綿密な取材を元に描き出している。

    後継者を巡る軋轢、人事の駆け引き、言葉巧みな闇の勢力に堕ちる者さえいる。

    本当に、現実は小説より奇なり、である。

  • 創業家一族の様々な亀裂を見ると、その過程にみな本業に関する話しが殆ど出てこない。マネーゲームや地位を獲得するのに躍起になり、本業に関する想いが全く感じられないものばかりだった。仕組みが複雑になり実態が分からないスキームばかりに心血を注いでいる暇があったら本業を磨くべきだと改めて思った。

  • 第1章 ユニバーサルエンターテインメント 岡田家
    第2章 日韓ロッテグループ 重光家
    第3章 大塚家具 大塚家
    第4章 大戸屋ホールディングス 三森家
    第5章 セイコーグループ 服部家
    第6章 国際興業 小佐野家
    第7章 ソニーグループ 盛田家
    第8章 ゲオホールディングス 遠藤家
    終章 血の紐帯を崇める信奉者たち

    最後の代理出産の話は光通信の重田康光氏のことであろうか。
    https://bunshun.jp/articles/-/63947
    2014年のタイでの代理出産報道では長男光時氏の子供と報道されていた記憶があるが、、、

  • 創業家からサラリーマン社長に引き継ぐことの難しさはよく言われるが、親子での事業承継もここまで難しいのかと考えさせられる本。

  • 会社を創業後に起こった様々なお家騒動に関する書。
    当事者へのインタビューなどが少ないため
    これを取材と呼べるかは賛否あるかと思います。
    ネット掲示版が情報元と言われても
    疑問に思います。
    明日からの仕事に活かせる要素はゼロですので
    あくまでエンタメとして。

  • 聴いた。この手の本は聴くのがちょうど良いな。

  • 企業の栄枯盛衰は、何度もニュースや週刊誌のネタになってきたが、本作は創業家に起こった悲劇がピックアップされている。

    大企業の世界は、庶民である私には遠い存在であるが、まさしく「魑魅魍魎が跋扈する」世界なのだと感じた。

  • M資金には驚いた

  •  ここまで書いていいの⁇って思うくらい

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著者プロフィール

1968年愛知県生まれ。93年早稲田大学教育学部卒業。日刊工業新聞社を経て、98年から東洋経済新報社記者。2009年に同社を退社、現在はフリーランスのジャーナリストとして『週刊東洋経済』『文藝春秋』『FACTA』など各誌を中心に多数寄稿。
『ドキュメント ゼネコン自壊』『粉飾の論理』、新潮ドキュメント賞候補になった『凋落 木村剛と大島健伸』(以上、東洋経済新報社)、『創価学会秘史』(講談社)などの著書がある。

「2022年 『亀裂 創業家の悲劇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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