未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本で起きること (講談社現代新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065302507

作品紹介・あらすじ

人口減少日本で企業や行政サービスに何が起こるのか?
実人数が減り、消費額が落ち込む「ダブルの縮小」に見舞われる日本はどうすればいいのか。
答えは「経済成長」しかない。でも、どうやって?
瀬戸際の日本の各業界で起こる大変化を詳細かつ大胆に描きつつ、「戦略的に縮む」ステップを示す。

【目次】
序章―人口減少が日本にトドメを刺す前に

第1部――人口減少日本のリアル
●革新的ヒット商品が誕生しなくなる
――製造業界に起きること

●整備士不足で事故を起こしても車が直せない
――自動車産業に起きること

●IT人材80万人不足で銀行トラブル続出
――金融業界に起きること

●地方紙・ローカルテレビが消える日
――小売業界とご当地企業に起きること

●ドライバー不足で10億トンの荷物が運べない
――物流業界に起きること

●みかんの主産地が東北になる日
――農業と食品メーカーに起きること

●30代が減って新築住宅が売れなくなる
――住宅業界に起きること

●老朽化した道路が直せず放置される
――建設業界に起きること

●駅が電車に乗るだけの場所ではなくなる
――鉄道業界に起きること

●赤字は続くよどこまでも
――ローカル線に起きること

●高知県の水道料金が栃木の6倍に
――生活インフラに起きること

●2030年頃に「患者不足」に陥る
――医療業界に起きること

●多死社会なのに「寺院消滅」の危機
――寺院業界に起きること

●会葬者がいなくなり、「直葬」が一般化
――葬儀業界に起きること

●「ゴミ難民」が多発、20キロ通学の小学生が増加
――地方公務員に起きること

●60代の自衛官が80~90代の命を守る
――安全を守る仕事に起こること

第2部――「未来のトリセツ」10つのステップ

ステップ1 量的拡大との決別
ステップ2 「戦略的に縮む」成長モデル
ステップ3 製品・サービスの高付加価値化
ステップ4 ブランド力を高める
ステップ5 労働生産性の向上
ステップ6 スキル向上とリスキリング
ステップ7 日本型労働慣行の見直し
ステップ8 若者を分散させない
ステップ9 「多極分散」ではなく「多極集中」へ
ステップ10 相手国の将来ニーズを把握する

感想・レビュー・書評

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  • 「未来の年表」の続編的な本(間に何冊かあるけど)。
    「未来の年表」は時系列で、人口減少の影響について
    論じていましたが、今回の本は、業界別。

    ※未来の年表 人口減少日本でこれから起きること
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4062884313#comment

    内容については、前作とそう大きくは変わりませんが、
    自分の所属する業界の説明がある場合は、
    よりリアリティをもって読み進めることができるかと思います。
    該当する業界は、製造業界、自動車産業、金融業界メディア、小売業界、物流業界、農業・食品メーカー、住宅業界、建設業界に、鉄道業界、インフラ業界、、医療業界、寺院業界、葬儀業界、地方公務員、自衛隊(防衛産業)と多種多様。

    前作同様、現実を直視するのは結構つらい営みですが、
    一度は知って自分なりのアクションを考えたい本です。

  • 2023年最初の読書は、『未来の年表』シリーズを選んだ。
    元祖『未来の年表』の衝撃から5年が経った。当時は「この本に書かれている通りに変わるのかな?」「もし変わったら、世間の価値観が変わって面白そう」と、ボンヤリと感じた程度。あの頃から日本の状況は改善されたどころか、急速に「崖っぷち」へ追いやられた。読み進めるうちに、厳しい現実を突きつけられ、読み終わる頃には、ワールドカップの熱狂の名残が吹き飛んでいた。

    あらゆる公共サービスと社会機能が急激に縮小するリングの上で、ヒト·モノ·カネを取り合い続ける「ゼロサムゲーム」をいつまで続けるのだろうか。ますます貧乏で閉塞感の漂う未来がすごそこに近づいている。100歳まで生きるためには、日本企業でサラリーマンを続けてはいけないのだろうか。現実の延長では想像できない。

    もはや「将来は田舎で穏やかに過ごす」なんて、暢気に構えて居られなくなった。夢を見るのは良いが、数十年かけて、相当な準備と覚悟が必要なのだろう。新年の仕事始めにあたり「異次元の働き方で売上を伸ばせ」「うちは安定した業界だから転職なんて考えるな」などと言う、社長のコメントが空虚に感じられ、1ミリも心に響かない。

    確かに私自身、転職する計画は無いのだが、「この会社が潰れたらどうするのか」「60歳を過ぎた時に何をしたいのか、どうなっていたいのか」くらいは、本気で考え始めたいと思う。(昨年は何も思い描けなかったので)

  • 普段の生活では忘れていたが、これから人口が減って、気温上昇も進む。解決策の具体的な取り組みは細分化する必要があり、効果が見えにくい。個人としては実体験を踏まえた提案をして、少数派に確実に共感が得られるアピールをしたい。

  • 日本の企業にとって少子化は弊害であり人口減少の打開対策として、昭和時代のように自動車や白物家電を買い換え続けたり、消費社会を持続することを目論み、日本が将来人口減少しても経済成長を続けることが目的として話しが進みます。

    基本ビジネス中心に考えているので、自然災害、環境問題、世界の飢餓、貧困格差、グローバルサウス、気候変動、過剰労働などはここには含まれていません。

    少子化に伴う地方の過疎化、生活インフラなど過去の正確な数値やデータを取り上げてこれから起こり得る問題や予測がわかりやすかったです。解決策の説明はほんの少しだけでした。

    その解決策でも有形無形の資産価値の話しがありましたが、6年前落合陽一さんや10年以上前でも茂木健一郎さんの本でも、appleやMicrosoft のソフトに対してPC本体を一生懸命ハードを作り続けた日本企業との違いなどで知っていました。

    自動車産業、銀行や金融業界、テレビ新聞メディア業界、運送業、住宅、建設業、鉄道業、外国人労働、一年前の発行書とは思えない、ほとんど知っている情報ばかりでした。

    最後は1人あたりの労働生産性の向上させるためにブルシェットジョブを無くし効率よくすることを話されていましたが、著者のデヴィッドグレーバーさんはそこを伝えたかったわけではありません。誤解を招く内容でビックリしました。
    そもそも労働者を生産コストと見ているようではハラスメントや過労死は無くならないと思いました。ミレニアム世代、Z世代は対価ではなく意味のある仕事へシフトし脱成長に向かってきています。ちょっとズレているように思いました。

    企業の役員50,60代に向けての話しなのかわかりませんが、河合雅司さんはまだ経済成長を考えているようです。これで部下はついていけるのでしょうか。
    正直がっかりです。

  • 少子高齢化しながら人口が減少していくこれからの日本の行く末が、分かりやすくまとめられていた。私が子どもの頃に思い描いた社会とは、大分違って驚いた。備えるべきところは備えたいと思う。「いいものをより安く」から「いいものを相応の値段で」という価値に変化させていかなくてはならないというところは身に沁みた。

  • 読んでいると空恐ろしくなってくるし、『人口減問題は夏休みの宿題と同じ、問題は認識されているのに後手後手に回る』という例えも絶妙。

    でも、計算通りに人材不足、需要不足、が現実となるかはよく分からない。人間と市場の環境への適応力は、価格をシグナルにしながら、日々応力を孕みつつ変化を生んでいる、と思うのだが。。

    地球への負荷を考えると、人口減自体は、おそらく良いことで、破滅することなく移行、軟着陸出来るか?というと、出来ると信じたい。


  • このシリーズも5冊目のようだが、次第に少子化対策への期待が薄れ、具体策の有効性はないものとして、その上でどう生き残っていくか、という方向にシフトしている。
    外国人労働者も低賃金の日本にはきてくれないだろうし、子どもを産むことのできる女性の総数が減っている以上、少子化対策を強化しても出生数の回復は見込めない。
    ならば、人口減を前提として、それでも豊かにあり続けられる方法を模索した、とのこと。

    「多極集中」という考え方は、ありだと思う。限界集落があちこちに分散するのは、インフラのコストが莫大になってしまう。東京一極集中を避け、いくつかの地方都市に分散して移住し、駅を中心に人が住むという居住の仕方は、現実的だと思う。

    日本すばらしい!のテレビ番組はまだあるようだが、そんな目くらましをうっとりして現実逃避してないで、早く現実を見つめて、自分たちの社会を変えていこうという風が吹いてほしいと思う…切に。

  • 冒頭から8割程度が高齢化と少子化によるマイナス面しか記載されていなく、閉塞感が漂った。ただ昔のようにがむしゃらに働いた分だけ成果がでる世の中でないので、売り上げの単価アップ、成果主義、人口の密集をしないと市場のシュリンクについていけないことは教訓として捉えた。

  • 強い興味を覚えて入手し、ゆっくりと紐解き始めたのだが、驚くべき内容に引き込まれ、頁を繰る手を停め悪くなり、結果的に素早く読了に至った。
    実は以前に同じ著者による『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』を読んでいる。何冊か、この「未来の」というシリーズは在るようだ。
    「静かなる有事」とは、著者が人口減少という事態を形容した表現だ。何が悪いというのでもなく、なってしまった状態で、確実に人口は減って行き、簡単には停められない次元に既に至っているという。
    以前に読んだモノは“総論”という感であった。少し長い時間が掛かりながら、人口が「増えない」が「減る」になって行こうとしている様子を説くというような内容だった。本書はそういうモノに対して“各論”というようになっていると思う。
    誰にでも暮らしが在って、社会の様々なモノと色々な形で関わっている。そういう様々なモノが、人口減少によって「如何いうようになる可能性が在るのか?」、または「懸念される様々な事柄」ということが詳細に語られている。金融、交通、物流、医療、社会資本、自治体の公務、救急や警察、自衛隊等々、様々な話題が在る。
    そういう様々な話題を可能な限り提供した後、免れられない「静かなる有事」たる人口減少の時代に向けて「考え方を変えよう」と提言が為されている。
    「人口減少」と言われても、然程強く実感出来ない場合が在るかもしれない。他界してしまう等で人口が減る自然減という以上に、何かの事由で転出するという形で人口が減る社会減が多いとされているような、地方の人口規模が然程でもない場所に名の無く在る分には、ハッキリ言って「十分に人口減少なのですが…」と訳が解らないというように、個人的には感じないでもない。
    が、本書はその辺りを具体的に判り易く論じる。例えば、鉄道の利用者の数を論じた箇所では、定期券で列車を利用している高校生や大学生が含まれる年代の人口に注目し、それより15歳下程度の人口を観ると「15年程度後、2030年代半ばの高校生や大学生が含まれる年代の人達の数」が殆ど間違い無く推定し得る。こういうようなやり方で比べて、10年や20年で15%や20%も一定の世代の数が減るということが見えるとしている。こういうのは判り易かった。或いは、本書で論じられていることの大きな部分が、こういうような「殆ど間違いない推定」に依拠している訳だ。
    様々な話題に触れたが、交通や物流というような事柄で、担い手不足な傾向が深刻化するかもしれないというようなことは、或る程度判っているが気になるテーマだった。
    そして医療だ。医師が足りない場所と余る場所とが混在し、診療科に偏りが生じるというような問題も生じ、「不足だから医学部の定員を増やせ」というような事だけでは対応困難で、終いには医学部に入って学ぶ若者も少なくなるという。これは少し難しい課題だ。
    こういう具合に様々な話題が挙がっている。が、結局は「免れられない人口減少の局面を生き延びることを考えて、考えた結果を実践すべきだ」ということに尽きるのだとも思う。
    人口減少というようなことで生じる社会の変化は、或いは既に一部が始まっていると考えるべきかもしれない。そういう中、「昔はこうだった…」とか、少し年配な人達の「若い頃は…」というのが無意味化してしまっている面も在るのかもしれない。
    免れられない「静かなる有事」たる人口減少の時代に向けて「考え方を変えよう」と挑戦をした人達と、その限りでもない人達との間に、遠くない将来に何やら大きな差異が生じるのかもしれない。そんなことも思いながら読んだ本書だ。こういう「考える材料」は大切だと思う。

  • 「未来の年表」シリーズ5作目となり、著者によるこのシリーズはすべて、関連書籍も読んでいます。
    今回は、これまでと同様、人口減少に関する内容の中で、それぞれの業界がどのように変化していくかということにスポットを当てた内容になっていますので、自分の業界や地域の状況などにより、一層身近な問題として感じることができる内容となっています。
    著者がこのシリーズを始めたのが2017年で、5年近く経過しており、それでも状況が変わっていない現状を嘆いています。その思いを「人口減少対策は夏休みの宿題のようなもの」という表現をしているのが、著者の複雑な心境を感じさせます。
    個人でできることは限界があるものの、人口減少はわかっている未来。少しでもできる対応策を考えたいものです。

    ▼マーケットの縮小とは単に総人口が減るだけの話ではない。若い頃のようには消費しなくなる高齢消費者の割合が年々大きくなっているのである、今後の日本は、実人数が減る以上に消費量が落ち込む「ダブルの縮小」に見舞われる
    ▼商圏人口が減るということは、同時に、消費者が求める「便利さ」のモノサシも変わるということだ
    ▼ここで言う「人口減少に打ち克つ」とは、人口が減ることを前提として、それでも日本社会が豊かであり続けられるようにするための方策を見つけ出すことだ。社会やビジネスの仕組みのほうを、人口減少に耐え得るよう変えようというのである。
    ▼人口減少対策とは「夏休みの宿題」のようなものである。いつかやらなければならないと頭では分かっていても、ついつい後回しにしがちだ。その変化は日々の暮らしの中では目に見えないほど軽微なためである。「まずは目の前の課題をこなすことが先だ」と言い訳しながら、時だけが過ぎていく。

    <目次>
    序章 人口減少が日本にトドメを刺す前に
    第1部 人口減少日本のリアル
    ●革新的ヒット商品が誕生しなくなる
    ー製造業界に起きること
    ●整備士不足で事故を起こしても車が直らない
    ー自動車産業に起きること
    ●IT人材80万人不足で銀行トラブル続出
    ー金融業界に起きること
    ●地方紙・ローカルテレビが消える日
    ー小売業界とご当地企業に起きること
    ●ドライバー不足で10億トンの荷物が運べない
    ー物流業界に起きること
    ●みかんの主力産地が東北になる日
    ー農業と食品メーカーに起きること
    ●30代が減って新築住宅が売れなくなる
    ー住宅業界に起きること
    ●老朽化した道路が直らず放置される
    ー建設業界に起きること
    ●駅が電車に乗るだけの場所ではなくなる
    ー鉄道業界に起きること
    ●赤字は続くよどこまでも
    ーローカル線に起きること
    ●地方に住むと水道代が高くつく
    ー生活インフラに起きること
    ●2030年頃には「患者不足」に陥る
    ー医療業界に起きること1
    ●「開業医は儲かる」という神話の崩壊
    ー医療業界に起きること2
    ●多死社会なのに「寺院消滅」の危機
    ー寺院業界に起きること
    ●会葬者がいなくなり、「直葬」が一般化
    ー葬儀業界に起きること
    ●「ごみ難民」が多発、20キロ通学の小学生が増加
    ー地方公務員に起きること
    ●60代の自衛官が80~90代の命を守る
    ー安全を守る仕事に起こること

    第2部 戦略的に縮むための「未来のトリセツ」(10のステップ)
    ステップ1 量的拡大モデルと決別する
    ステップ2 残す事業とやめる事業を選別する
    ステップ3 製品・サービスの付加価値を高める
    ステップ4 無形資産投資でブランド力を高める
    ステップ5 1人あたりの労働生産性を向上させる
    ステップ6 全従業員のスキルアップを図る
    ステップ7 年功序列の人事制度をやめる
    ステップ8 若者を分散させないようにする
    ステップ9 「多極分散」ではなく「多極集中」で商圏を維持する
    ステップ10 輸出相手国の将来人口を把握する

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著者プロフィール

1963年、名古屋市生まれの作家・ジャーナリスト。人口減少対策総合研究所理事長、高知大学客員教授、大正大学客員教授、産経新聞社客員論説委員のほか、厚労省や人事院など政府の有識者会議委員も務める。中央大学卒業。2014年の「ファイザー医学記事賞」大賞をはじめ受賞多数。主な著書にはベストセラーの『未来の年表』『未来の年表2』『未来の地図帳』『未来のドリル』(いずれも講談社現代新書)のほか、『日本の少子化 百年の迷走』(新潮選書)などがある。


「2022年 『未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本で起きること』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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