日本エッセイ小史 人はなぜエッセイを書くのか

著者 :
  • 講談社
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065310069

作品紹介・あらすじ

『土佐日記』の昔から日本人に親しまれてきた「エッセイ」。「昭和軽薄体」の大ブームや芸能人エッセイの人気、そして高齢者エッセイの百花繚乱ぶりなど、いつの世も「エッセイ」は時代とともにある。
では「エッセイ」とは何か? 「随筆」「コラム」「ノンフィクション」とどう違う? 
「エッセイ」を読んだことのない人はいないはずなのに、意外と誰も答えられない「エッセイ」の正体。

「エッセイスト」を名乗り講談社エッセイ賞選考委員を長らく務めてきた「エッセイの専門家」である著者が、時代を彩った大ヒット名エッセイ140作品をひもときながら、満を持して真正面から「エッセイ」を縦横無尽に語り尽くす!

エッセイストがエッセイについて綴るエッセイ、ついに登場。

感想・レビュー・書評

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  • 古今東西の随筆、コラム、エッセイについて書かれた文学史的作品。紹介されている作品数が多く、全てに目を通したのかと思うと、著者の『エッセイ』に対する想いの大きさに圧倒される。相変わらずの『酒井節』が炸裂していて、読みやすく面白かった。

  • エッセイ好きには、たまらない本。今までのモヤモヤがスッキリとした部分と更に延長になった部分とがありますが・・・。

    気になった部分を書きだしておきますと、
    ・「枕草子」「徒然草」「方丈記」は日本の三大随筆出会って、三大エッセイではない。
    ・随筆の隆盛は、言文一致の動きと無関係ではない。
    ・「エッセイとは読者が本当のことを書いていると思いこんんで読むものだ」
    ・「林真理子が自分の事に興味あるタイプ(エッセイスト)であるのに対し、中野翠は自分より回りの事に興味あるタイプ(コラム二スト)であった。」
    ・野坂昭如が雑文界で「猛威をふるっ」ていた頃は「もっぱらヒガミ、ソネミ、ネタミ、ウラミのミづくしで勝負」、「当時の雑文家はネクラであった」
    ・景山民夫について、井上ひさしは「落語の呼吸でエッセイを書いている」と
    ・嵐山光三郎さん、糸井重里さん、東海林さだおさんの文章はけえして軽薄体ではないが、テレの文体と考えてもいいだろう」(椎名誠)
    ・エッセイの読み心地は大雑把に言うと、「へーえ―」と「あるある」に二分される。
    ・文筆の世界には、文筆家の父を持つ「娘」たちが多くいる。吉本ばなな、江國香織、井上荒野、三浦しをん、阿川佐和子、森茉莉、萩原葉子、森村桂、幸田文、青木玉、青木奈緒、斎藤由香・・・。

    読む本の七割がエッセイ、一割が落語、一割が短歌、残りその他が一割と、ほぼエッセイまみれになっている我が読書。この本の最後にある【本書に登場するエッセイ作品一覧】を見ても三分の一ぐらいしか読めてないようなので(黄色マーカー分)、まずは2000年以降に発刊された本から読みだします。

  • 酒井順子 | プロフィール | Book Bang -ブックバン-
    https://www.bookbang.jp/reviewer/article/20204

    日本エッセイ小史 人はなぜエッセイを書くのか 酒井 順子(著/文) - 講談社 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784065310069

  • 「エッセイ」とは何ぞや。その歴史を紐解きながら、的確に分かりやすく語ってくれる。そのナビゲーターとしてはもう、数多のコラムやエッセイを発表してきた酒井さんをおいて他になし!
    自分も正直、エッセイについてこんなに深く考えたことはなかった。漠然と捉えていただけに、実はこんなに奥深く、こんなに境界線が曖昧とは。そして、書店の棚においては意外とユニセックス化が進んでいない(これは目から鱗)。これまで、ユルく気楽に読んでいた「エッセイ」というジャンルを系統立てて理解することで、更に楽しんで読むことができそうだ。
    面白いなと思えた章は、やはり「女性とエッセイ」。中でも「作家の娘のエッセイ」についてはふむふむと頷くところ多数。改めて、作家の娘エッセイは多いんだなと気付いた!そして、「テレビとエッセイ」では、ナンシー関に触れている。もう、よくぞ語ってくれました!!リスペクト溢れる、彼女の素晴らしさを凝縮した解説に、首がもげるほど頷いた。
    いつもの酒井さんの軽妙な語りにのせられてするすると読んだけど、巻末の「本書に登場するエッセイ一覧」の索引を見ると、こんなにたくさんの作品を紹介していたのかと驚く。所謂エッセイの金字塔と呼ばれるような往年の名作も、いくつか読んでみたいなと思っている。
    花松あゆみさんの装画も、内容にぴったりでとても素敵です。

  • 個人的に、酒井順子さんの本は久しぶり。
    ”エッセイについてのエッセイ”

    巻末の膨大な数のエッセイを見ると
    これ全部読むだけで大変
    酒井順子さんはこれからはこういう
    じっくりの仕事を中心にやっていくつもりなのかな?
    と思いました。

    日本におけるエッセイの流れを中心に進めています。
    「なぜ私は小説よりエッセイのほうが好きなのか」
    その疑問は解けなかったけど
    エッセイについてこれだけいろいろ調べて考察して
    さすがだなあ、酒井さんは、と改めて感心しました。

    私の読んでいないエッセイがたくさん(当然ですが)。
    林真理子さんの『ルンルンを買っておうちに帰ろう』は
    ぜったい読まなきゃと思いました。

    そして何より、須賀敦子さんのところ。
    彼女のエッセイ、同じものを繰り返し読んだ私です。
    その名前をきくだけで目頭が熱くなるくらい。

    「この世には読むほうの人間と書くほうの人間があって、
    自分は読むほうなのだと、ずっと信じていた。
    いや、そう、あきらめていたのかもしれない。
    だから未練がましく、外国語にかまけたり、
    翻訳に逃げこんだりして、
    時間をかせぐような生きかたばかりしてきた」
    須賀敦子さん61歳でデビュー、69歳で死去。

    その須賀敦子さんのことを酒井順子さんは
    ものすごく綺麗に描いていました。
    一流が一流を描くとこうなるんだなあ。

    本当に、須賀さんと酒井さんは書くほうの人間だと
    心の底から思いました。

    須賀敦子さん、9年で短かったけど、
    それでも出版してくれて良かった。
    若い酒井さんにはまだまだ頑張ってほしいです。

  • 平安時代から現在までの随筆からエッセイ・コラムについてまとめた読み物。途中で酒井順子節が出てくるかな…と思ったけど、最後まで真面目なままで終わった。ちょっと寂しい。

  • ホメるが勝ち!
    文章がユーモアを織り交ぜた口語体で面白い!
    でも学べることはなかったかも、、
    若者は変わってると言われるのが好き、
    という章があった。
    私は自分のことを話すのが苦手だ。
    特にオジの前では。

    どうして自分がそう思うのかずっとわからなかった。
    変わってる、と思われなければならないという
    意識があるのかもしれない。
    こっちの話を面白くするのはオジの仕事だ!
    変わってると思われにいく必要はない!かも!

  • 随筆とエッセイの微妙な差やエッセイの変遷にふれてあって楽しみながら読めた。

  • 随筆からエッセイへの変遷や
    (そもそもどう違うのかも含め)
    時代を彩った作品たちの紹介
    「旅とエッセイ」「食とエッセイ」など
    何かに特化したエッセイの考察。

    未読のものもたくさんあって
    読んでみたいリストがまた増えてしまう〜。

  • 一番大好きなコラムニスト、勝手に心の師匠と慕う酒井順子さんによる日本のエッセイ史、一気に振り返りが読みたい本や思い出深いエッセイストが。

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著者プロフィール

エッセイスト

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

酒井順子の作品

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