ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 336
感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065311714

作品紹介・あらすじ

服を見ればその人のすべてがわかる──被害者の痕跡に寄り添って未解決事件の真相に迫る、乱歩賞作家の新機軸クライム・ミステリー!

東京の高円寺南商店街で小さな仕立て屋を営む桐ヶ谷京介は、美術解剖学と服飾の深い知識によって、服を見ればその人の受けた暴力や病気などまでわかる特殊な能力を身につけていた。そんな京介が偶然テレビの公開捜査番組を目にする。10年前に起きた少女殺害事件で、犯人はおろか少女の身元さえわかっていないという。さらに、遺留品として映し出された奇妙な柄のワンピースが京介の心を捉える。10年前とは言え、あまりにデザインが時代遅れ過ぎるのだ。京介は翌日、同じ商店街にあるヴィンテージショップを尋ねる。1人で店を切り盛りする水森小春に公開捜査の動画を見せて、ワンピースのことを確かめるために。そして事件解明に繋がりそうな事実がわかり、京介は警察への接触を試みるが……。

感想・レビュー・書評

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  • 川瀬七緒『ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介』講談社文庫。

    仕立屋の桐ヶ谷京介が探偵として活躍する新シリーズ。

    なかなか面白いキャラを探偵役にしたものだ。涙もろい仕立屋というプロフェッショナルをどうやって探偵を演じさせようというのかと最初は懐疑的であったが、その考えは最初の数ページで払拭される。

    そして、10年前の未解決事件の真相に迫るプロセスが面白い。そのプロセスは美術解剖学と服飾への深い造詣を兼ね備えた仕立屋ならではなのだ。

    しかしながら、暴かれた犯人の正体だけは残念だった。散々、読者を振り回した割りには、短絡的で強引過ぎるようにも感じた。

    東京の高円寺にある南商店街で小さな仕立て屋を営む桐ヶ谷京介は、美術解剖学と服飾への深い造詣により、着ている服を見れば、服の皺や姿勢などからその人の受けた暴力や病気などまで解る特殊な能力を身に付けていた。

    ある日、京介の飼い猫のぼっこがテレビのリモコンを悪戯したことが切っ掛けで、京介は偶然、テレビの公開捜査番組を目にする。その番組で紹介されていたのは10年前に起きた犯人も被害者の身元も不明の少女殺害事件だった。遺留品の少女が身に付けていた10年前にしては余りにも古いワンピースの奇妙な柄と仕立具合が京介の興味を惹いた。

    翌日、京介は同じ商店街にあるヴィンテージショップ『カラスアゲハ』の水森小春の元を訪ねる。小春によるとワンピースの柄は1950年代にアメリカで流行ったアトミック柄で日本国内で仕立られた服だと解る。

    京介と小春は10年前に殺害された少女に本当の名前を与えてあげようと、謎に満ちた10年前の事件にのめり込んでいく。

    定価902円
    ★★★★

    • ゆーき本さん
      川瀬さんの本は文化人類学や法医昆虫学者が、専門知識で事件を解決していくのが面白いですね。とても勉強されてるんだなぁと関心します。
      こちらは仕...
      川瀬さんの本は文化人類学や法医昆虫学者が、専門知識で事件を解決していくのが面白いですね。とても勉強されてるんだなぁと関心します。
      こちらは仕立て屋さんが探偵になるんですね。
      たしか川瀬さんは子供服のデザイナーさんでしたよね? キャラ作りもとても上手ですよね。主役も脇役も愛すべきキャラが登場するところも好きです。
      2023/06/14
    • ことぶきジローさん
      ゆーき本さん。コメントありがとう。
      川瀬七緒さんは自分が暮らしている福島県出身で服飾関係のデザイナーと作家との二刀流です。法医学昆虫学者シ...
      ゆーき本さん。コメントありがとう。
      川瀬七緒さんは自分が暮らしている福島県出身で服飾関係のデザイナーと作家との二刀流です。法医学昆虫学者シリーズも面白いですが、新しい仕立屋探偵シリーズも面白いですよ。是非、読んでみて下さい。
      2023/06/14
    • ゆーき本さん
      ジローさん福島でしたね。わたしお隣の茨城県民です *ˊᵕˋ* 昆虫学者シリーズ終わったら読んでみますね〜 !
      ジローさん福島でしたね。わたしお隣の茨城県民です *ˊᵕˋ* 昆虫学者シリーズ終わったら読んでみますね〜 !
      2023/06/14
  • 服の皺や傷から着ている人の癖や病気を見抜き、布、縫製、使われている糸などからその服の来歴を明らかにする。そんな手法で身元不明少女の死の謎に挑むお話です。
    帯に書かれている通り服飾に関する認識が変わる1冊です。深い世界だ。

  • 服の知識が増えた気がします。
    服の仕立てとは奥が深いものなのだな…
    服飾の知識と事件の推理を絡ませていて、とても斬新で面白かったです。
    刑事さんとの関係も良かったです。
    続編も読みたいです。

  • ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介 | ダ・ヴィンチWeb
    https://ddnavi.com/book/4065224535/

    【聞きたい。】川瀬七緒さん『ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介』 仕事経験生かした勝負作 - 産経ニュース(2021.5.16)
    https://www.sankei.com/smp/life/news/210516/lif2105160022-s1.html

    『ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介』(川瀬 七緒):講談社文庫|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000374917

  • ファッションには疎いのだけれど…、ヴィンテージの洋服や、オーダーメイドの洋服、職人さんの技術や、緻密に計算された仕立など、興味深いトピックスがたくさん。
    美術解剖学という分野も初めて知ったし、本当にこんな人がいたらすごいなぁと思いながら、興味深く読めた。

    桐ヶ谷さんと小春さんコンビも、2人のキャラクターのギャップが良い味で、ミステリ要素もこれまで私が読んだことのあるものとは一味違う感じで面白かったし、深かった。

    2作目を読むのも楽しみ。

  • 事件自体は,単純で,なーんだそんな事かぁ〜、、、普通だな。って感じなんですが、被害者特定に至るまでの,布の柄,ボタン,折り目などから,どこの工場で作られた布だ!とか,ボタンがアンティークってことで、とても価値があるとか、
    今までにはない,新しい切り口で事件の真相に迫っていくのが面白かったです。
    色々勉強になり、この作家さんの知識の広さに驚きました。続編も楽しみです。

  • 明るくポップな装丁から想像していたストーリーとは全く違い、ページをめくるのがしんどく、重く暗く耳を覆いたくなるような事件だった。

    主人公が、美術解剖学から一歩ずつ真相に迫っていく姿は、いきなり真相が降りてくる名探偵よりは、遥かに信頼ができた。
    登場人物には今一感情移入ができなかったが、事件を追っていく過程は、目新しく興味深かった。
    内容も好きな分野を掘り下げてくれるので、おもしろかった。

    ただ磯山さんと対峙した時、二人がなんからしくなく感じてしまい、それがとても残念に思えた。

    2024/02/11 20:21

  • 法医昆虫学捜査官が好きだったため新シリーズ物と聞いて読んでみたけど、服飾や美術解剖学観点から事件を読み解くのはとても斬新で面白かった。
    また、主人公の桐ヶ谷やその相棒になる水森小春などキャラクターも個性的で良き。
    ただ、仕立て屋を営む主人公を少女殺人事件に絡めていくところに少し強引さを感じた。

  • 可愛げな装丁に騙されるところだった。
    めっちゃゾクゾクするミステリーでした。
    面白いから読みたいけど、読み終わるの勿体無い…っていう気持ちになったの久々かも。

    でてくる元気なシニアが皆様魅力的。
    やっぱり何かを極めている人は素敵ですね。

    真相は切なかったですねぇ。
    少女の境遇まではなんとなく想像できましたが、人間関係までは想像できなかった。

    お話の重さはずっしりあるんだけど、小春さんとミツさんのキュートさがホッコリ感を与えてくれて読みやすかったです。

    続編も読みます。

  • 著者の作品初めてで、
    表紙の桐ヶ谷に一目惚れ&服飾系の小説
    興味あって手に取ってみたけど、
    想像以上に面白かった。

    まず、服飾って簡単に考えてたけど、
    美術解剖学とかを推理能力に紐づけてるところ。
    そして、主人公に負けない
    周りのキャラの強さ、特に女性陣好き、笑った。
    あとは、解説にもある社会問題とか、
    後半から出てくる重めの話とか。

    こういう話の小説読んだことあるけど、
    何となく、自分には遠い現実って感じで
    リアルに考えると心が底冷えする。
    悲しいとか可哀想とか、
    軽い言葉や他人事では表せない、
    見たくないけど目を逸らしてはいけないリアルみたいな。

    最後の選択は、何が善悪かって
    正直法律としか言えない。
    感情でブレることがあっても、
    人間の命が平等であるのならば
    法を守ることで、守られるんだと思う。
    続編読みたい!

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著者プロフィール

1970年、福島県生まれ。文化服装学院服装科・デザイン専攻科卒。服飾デザイン会社に就職し、子供服のデザイナーに。デザインのかたわら2007年から小説の創作活動に入り、’11年、『よろずのことに気をつけよ』で第57回江戸川乱歩賞を受賞して作家デビュー。’21年に『ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介』(本書)で第4回細谷正充賞を受賞し、’22年に同作が第75回日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門の候補となった。また’23年に同シリーズの『クローゼットファイル』所収の「美しさの定義」が第76回日本推理作家協会賞短編部門の候補に。ロングセラーで大人気の「法医昆虫学捜査官」シリーズには、『147ヘルツの警鐘』(文庫化にあたり『法医昆虫学捜査官』に改題)から最新の『スワロウテイルの消失点』までの7作がある。ほかに『女學生奇譚』『賞金稼ぎスリーサム! 二重拘束のアリア』『うらんぼんの夜』『四日間家族』など。

「2023年 『ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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