- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065313145
作品紹介・あらすじ
12世紀の中東。
聖者たちの伝記記録編纂をJ志す作家・ファリードは、取材のため、アリーと名乗る男を訪ねる。
男が語ったのは、姿を顕さぬ導師と4人の修行者たちだけが住まう山の、
閉ざされた穹廬の中で起きた殺人だった。
未だかつて誰も目にしたことのない鮮麗な本格世界を展開する、第17回メフィスト賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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中学のとき1回手に取った。世界史Bをやる前だったからマジでイスラム教についての知識が無くて、ちんぷんかんぷんのまま途中で読むのを辞めた記憶がある。諦めずに読んでたら、世界史の点数もう少し伸びたのだろうか。
第17回メフィスト賞受賞作とだけあって、メフィスト賞の始祖、京極夏彦の作品を意識したような(特に「鉄鼠の檻」)、宗教とミステリの幸福なブレンド。始まり方、流れ、オチ、全部綺麗にまとまってて好きでした。大地くんとかにオススメ。
余談だけど講談社文庫って文字がデカイからか、ケレン味溢れる内容が特に映えるんだよな、スピリチュアル教義書ぽいからかな。 -
ミステリであって幻想小説でもある、しかしどちらでもない中間の……といった雰囲気で今までに読んだことの無いタイプの小説だった。
あらすじをまとめることは出来るが、無意味な気がしてならない。前情報は入れず、何も考えずにあるがまま読んで欲しいな、と思った。 -
まさかの文庫化ですか。
ノベルズの時に読みましたよ。
再読しましたけど、はやり圧巻ですね。
ただ私みたいなイスラム教素人には少々難しいです。 -
913-K
文庫 -
『アラビアの夜の種族』ばりのエキゾチックで素敵な雰囲気を醸しながら物語を語りはじめ、しかし人がしっかり殺されて犯人は誰だ?みたいな話をはじめるのでちょっと笑ってしまう。
信仰とはなにかという問いに対して示される「言語の届かぬもの」というヒントが、やがては「本格ミステリ」自体をも解体していく。なぜ犯人は見つけられねばならぬのか、なぜ理路整然とした謎解きが必要とされるのか、なぜ人は殺されてはいけないのか。そういった根源的な問いを詰めていくとやがて「そもそも誰が殺されたのか? 殺されるとはどういうことなのか?」という問いに行き着く。
新本格という枠組みを使いながら、読者を、信仰のうちがわ、言語と非言語の狭間へ連れていく秀作。