百鬼大乱

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 109
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065326732

作品紹介・あらすじ

江戸城を築いたことで知られる太田道灌の、細川政元や北条早雲にまで影響を与えた生涯無敗の名将ぶりを鮮やかに描いた長編時代小説!

感想・レビュー・書評

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  • <愚>(はじめに:まず最初に誠にすまないのだがこの僕の感想文らしきモノは作者真保は言うにおよばず講談社関係の方や作者真保の熱狂的ファンは読まないでください。これは切なるお願いです。)

    懸命なる読者諸兄姉様。この本の いかにもな題名とおどろおどろしい表紙のカバー絵に騙されてはいけない。題名や絵と話の内容は全く不一致で貴重な読書時間の無駄遣いになるから。

    この本,まずは長い序章から始まるのだけれど,その序章をいくら懸命に読んでもいったい誰が主人公なのかさえサッパリ分からない。分かっているのは作者の真保だけ?・・・いや もしかすると真保さえも分かっていなかったりして。あり得そうなことでなんとも恐ろしいのだ。

    本作品には会話文が極端に少なく従ってテンポ良く読むことは出来ない。登場人物の会話は長く退屈な「説明文」の途中の ”合いの手” くらいにしか真保は考えていないのだろう。読者は読んで面白く感動する小説を求めているのだ。こんな難解なだけの出来の悪い学校教科書みたいな本を小説の体で上梓しないでほしい!怒る❗️

    おそらく今の真保は会話文で物語を語る事が出来ないのであろう。つまり小説の命である「人」を書くことが苦手になってしまったのだ。これは ”作家” としては致命的欠陥である。お話の進行や状況の変化も会話ではなく真保がくどくどと説明文を書いている。この説明文の主体はいったい誰なのか。「神の声」とでもいうやつか。全く親近感が沸かない。これ以上の作家稼業は真保がもし読書の為を思うならもう続けて欲しくない。(「ホワイトアウト」とかは誰か違う作家が書いたのだと思う事にしたのでもう思い残すことは無い!キッパリ)

    一つだけこの本を読んで僕の為になった事。それは巻末に作者自身の語りで「後記」として載せている部分にある。後記:言わば ”どうしてこの面白くもない物語を描くに至ったか ” というこれまた諄(くど)い説明文なのだが・・・。
    この後記の中で真保が「正鵠を得る」という言葉を使っている。僕はその格言の正しい言い方は「正鵠を射る」であって「得る」は間違っている!と思った。でも待てよ真保はともかく天下の講談社がこんなミスを見落とすわけもなく,と思ってググッた。そして最近の解釈としては「得る」でも間違っていないのだと云う事が分かった。確かにちょっと前までは「得る」は間違い,と云う説が一般的だったと言う経過もわかった。為になった。

    ここで僕独自の思い。一体そういうのは「誰が」決めるんだ!? そういう具合に日本語の解釈を決める権利みたいなモノを持ってる人がいるのか。文部省の公認制度があるとか(あ,冗談です)
    僕が信仰する「自然科学」ならそんな誰が決めたか分からない様なキマリ事は存在しない。大体に文学や芸術というやつはそのいいかげんなところが自然科学に比べていいかげんなんだ・・・このあたりで止めといた方が良さそうだな。許してやろうw。

    という具合に本の具体的内容や要約とは全く関係無いところで僕の感想は出来ている。だってこの本はやはりちっとも全然ひとつも一向に面白くない本なのだから。すまぬ。

  • 太田道灌の生涯が描かれる。
    室町時代の鎌倉という取り上げたところがまず渋い。

    リアルなのは良いが名前の呼び方ひとつとっても
    官職などその時によって変わるので正直に言うと
    この時代の歴史等に詳しくないとわかりにくいと思う。
    自分はこのあたりのことは教科書程度しか知らないので
    正直混乱した。

    史実が元になる小説は真保さんだけでなく大抵そうなりがちだが、
    事実の羅列と会話の繰り返しになるので
    真保さんの持ち味の軽快な展開とは違う物語だったので
    その辺りの読み味は残念だった。

  • デビュー作から読んでいる作家さん。年齢を重ねるとみんななぜか時代モノに行くよなあ。鎌倉公方が関東管領を殺害。血みどろの三十年を駆け抜き悲劇の最期を遂げた「名将太田道灌」の生涯を描く。愚かな当主に仕え家督と所領の奪い合いに終始する周囲に翻弄される道灌が哀しい。血で血を洗う争いの時代、同じことを繰り返す愚が虚しい。

  • 力作だけど、忌み名だったり、官職名だったり、姓だったり、名前だったり、確認に追われてこんがらがって、読み進めない。史実に忠実な結果?物語に引き込んでくれるクリエイター真保さんらしからぬ作品。「奸智に長けたものほど笑顔を容易く作るものぞ」「戦いを挑む者には己にしか通用せぬ道理があるのか…。公方を利する奉公衆しかり、我ら上杉しかり…」武士もやりきれない戦さ戦さ戦さ。受け身の庶民はもっとやりきれない。京だけじゃなく、関東にも百鬼が跋扈してたんだ、しかも戦国時代に「愛と義」を掲げた魅力的な謙信のご先祖さまが…⁈

  • 応仁の乱より先に起こっていた関東の騒乱
    鎌倉公方と関東管領の対立により30年に渡り関東を二分した争いを鎮めようとする太田道灌

    太田道灌の話は初めて
    江戸城のイメージしかなかったけど名将だったんだな

    "不服を武で片づけるは覇道、徳で治めるのが王道"
    騒乱が長引くうちに覇道を歩む将が多くなり、王道を歩む道灌は思うように進めなかったんだな
    長引く騒乱で当主が代わったのが道灌にとって痛手だった
    道灌が当主だったら騒乱が長引くことはなかったんだろうな

    敵だからこそ優秀さを認識できるけど味方だと疎まられて‥

  • 泥沼のような享徳の乱、読んでいるだけでお腹いっぱい嫌になる。一番上に立つ者の器量才覚、あるいは愚かしさ疑心暗鬼によってどれだけのことがなされまた失われるかを見せてくれた。太田道灌が主人公ではあるがそう主人公らしくはなく、この愚かしい享徳の乱こそが主人公である。そしてこのようにごちゃごちゃした関東であったから次代の北条早雲が出現したと思えば、これもまた良きかなと思う。
    ただこの物語は非常に読みにくく(名前が紛らわしい)、せめて系図があればもう少しわかりやすかったと思う。

  • 享徳の乱を描いた歴史小説。

    この時代の大乱を描くとなると、群像劇にするか、主人公を決めてそれを軸に描くかで善悪の立ち位置が変わってしまいます。
    本作は古河公方側の簗田持助、管領側の太田道灌を主人公としてそれぞれの側からの乱の経緯を描いているのが公平的で良かったです。
    物語も時系列だったので読みやすく、わかりやすかったです。
    巻頭の地図も助かりましたが、登場人物は相関図があった方が良かったかもしれません。
    ただ、架空の登場人物の十太夫は必要なかったと思います。
    著者の歴史ものは先人小説家がほとんど手を付けていない素材を描くから勉強になります。
    今、一番嵌っている漫画「新九郎、奔る!」でも太田道灌が重要な役割で出てきていたので、個人的にも盛り上がってしまいました。

  • 読みにくい 校閲が甘いのかな

  • 日本史史上一番人気のない室町時代の、しかも京ではなく、鎌倉公方・関東管領を描く異色の力作。ではあるが、まずは滅茶苦茶読みにくい。歴史好きな私でもいちいち確認しないと読めないほど、忌み名や官職名や姓名がごちゃ混ぜで、ストーリテリングに卓越した真保作品とは思えない。もっと読み手に優しく(易しく)してほしいものだ。知らないことが多くて勉強にはなったが、まさにカオスな室町時代の印象が強くなった。

  • 2024.5.7完了
    この難しい関東公方のお話、戦国時代に先駆けて下克上のあった関東のお話。読みやすいとは思う。幡大輔氏の小説よりは省かれている感じである。

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著者プロフィール

真保裕一(しんぽ・ゆういち)
1961年東京都生まれ。91年に『連鎖』で江戸川乱歩賞を受賞。96年に『ホワイトアウト』で吉川英治文学新人賞、97年に『奪取』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞長編部門、2006年『灰色の北壁』で新田次郎賞を受賞。他の書著に『アマルフィ』『天使の報酬』『アンダルシア』の「外交官シリーズ」や『デパートへ行こう!』『ローカル線で行こう!』『遊園地に行こう!』『オリンピックへ行こう!』の「行こう!シリーズ」、『ダーク・ブルー』『シークレット・エクスプレス』『真・慶安太平記』などがある。


「2022年 『暗闇のアリア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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