ちぎれた鎖と光の切れ端

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065328460

感想・レビュー・書評

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  • なんで?って思うところが多くて、全然はいりこめなかった。おばさん、管理人になぜ九城を雇ったんや!ってとこから、設定がおかしい。マリアもバラバラ死体みても、犯人と対峙しても、通常運転感なのは、何故?とか設定が謎が多くて、はいりこめない。
    高評価だし楽しみに読んだのに、最初から最後まで
    なんか違うぅぅと思いながら読んだ。

  • この作者は人を書くのが上手い。トリックや事件の解決についてはまだ荒削りなところがあるが、心理描写や感情に重きを置いているのかなと感じた。
    今作の犯人も前作と同じくいい具合に狂っていたけれどそういう犯人が好きなのかな笑

  • いわゆるクローズドサークル物としての第一部と、3年後違う地域で起こる事件を描いた第二部という作りでしたが、なかなか入り組んだ話で良かったです。

    ミステリー部分も良かったのですが、地域地域の自然描写や第二部主人公の仕事に対する気構えや作業のコツ、社会の旧態依然とした男尊女卑思想に対する不満や怒りの方が自分としては響きました。

  • 第1部と2部がどう繋がるのかわくわくしながら読み進めたが、
    2部の主人公があまりにも自分本位で敬語も使えないし下品でちょっと残念だった。
    しかし物語はとても面白かった。

    1部も2部も主人公は若い子だが
    今どきの若い子はこんな感じなのかしら。

  • 友人たちを殺害するため孤島に向かった樋藤が、自分が殺すはずだったのに、何者かに一人ひとり殺されていく第一部。
    樋藤の事件から時間が立ち、ごみ収集作業員の真莉愛が、ゴミ袋の中からバラバラの遺体を発見することから始まる第二部。

    私がずっと怪しいと思っていた九城が犯人か…やはりな…と思いきやそうではなくまさかの人物で、しかも樋藤がどうなったか分からない状態で第一部が終わる。
    第二部では、真莉愛が一緒に暮らしている男性の正体はすぐ分かったものの、そのことが樋藤の事件とどう繋がっていくのか知りたくて夢中で読んだ。真莉愛と一緒に動くことになる護衛の如子さんのキャラクターも良かった。あまり内面を出さないが、決して冷酷な訳ではないところとか。

    読者は早い段階で一連の事件の真犯人が誰なのかを知ることになるので、如子や真莉愛が真実に辿り着くのを待ち遠しく読み進めることになる。
    犯人の動機については、巻き込まれた人にとってはたまったものではないが、一貫性はある。
    罪に罪を重ねていくと、人は自暴自棄になってしまうのだろうか。
    犯人が直情的に行動(殺人)せず、よく考えれば、自分が人を殺した結果、誰が苦しむことになるのか分かったはずなのに。

    一歩、踏み出してしまった人と、踏み出せず思いとどまった人。
    どちらも「誰かのために」と思ってやろうとしていたことが物悲しい。

  • 気せずして孤島ものを続けて読んだ。
    2部構成の読みごたえある長編。

    1部は倒叙ものかな?と読み進めて行くと、
    犯人の企図とは別の連続殺人が起こる。
    第一発見者が殺されるというパターンと見せて
    それは後付けだった。
    そして誰もいなくなった時に見えた犯人の顔。
    どうやって起こったのか、は明かされるがその動機や何者なのか、は明かされない。
    1部では、友情や情のようなものはどうやって形成されるのか、ということも突きつけられる。

    そして2部、3年後へと話は進む。
    あれはどうなったんだろうと気になりながら、
    読み進めるとチラチラと見える事件の影。
    そしてついに連続殺人が起こる。
    ここで、真犯人の動機や身元が明かされてゆくのだ。

    真犯人の狂った論理、愛情は分からない。
    どうしたって言葉が通じない無力感。
    男女の壁の高さに、ミステリを読んでいるのにそれと別な所で絶望し、憤る。
    やられた方は痛みを忘れない。
    そして、日本で無意識的におこっているであろう精神的な支配関係の怖さ。
    単なる謎解きだけではなく、犯人ですら気づいていない動機というか社会の構造という、奥に秘められた著者の意図で物語に深みが出た気がする。

    最後、救いがある終わりだが、彼らを取り巻く環境は厳しいであろう。
    著者の、でも人を殺してはいけない、という切実な想いは伝わった。
    1部長めで大変でしたが、途中からグッと入れました。力作。

  •  正直、何を書いてもネタバレになってしまうこのミステリーの最大の楽しみ方は、一切の情報を持たない状態で読み進める事だと思う。僕は帯コメントや背表紙のコメントさえ邪魔だと感じる(開示されている情報を読んでからでも楽しめるが)なので、まだ今作を未読の方はレビューや感想を読まずに読み進めて欲しい。間違いなく傑作なので。

     
     荒川あかねの作品に登場する人物は少なくともどこかが壊れていて常識として中々理解出来ない事がある。前作の登場人物達は、世界の破滅という衝撃的な設定下において間違いなく輝いていたし、それでいて到底理解しがたい、達観した様な人達だった。
     今作にも不満点はあり、なぜ樋藤は紀田の為にここまでの決意を持ったのか。だったのだが、終盤、見事に納得(と迄はいっていないが)させてみせた。描写の上ではあくまでも樋藤目線の為仕方ないだろうが、朝起きました、誰かが死にました。また目が覚めました、誰かが死にましたの繰り返しだった部分で、ここだけ唯一物足りないと感じた部分だ。
     樋藤は先輩の仇討ちの為、先輩を傷つけたグループに入り込み復讐を誓う。絶海の孤島、徒島で島唯一の電話ボックスの電話線を切断し、事前にネット上への反抗声明もだし、完全に退路を絶って殺人に挑む訳だが。人間としての弱さや葛藤の部分は理解できるが、読者としてどこか納得出来ていない部分がありつつも、実際に死体が発見されてからは彼の葛藤がさらに深まりながら事件の探偵役としての側面も担い、更には自身が計画していた事が明るみに出れば完全に疑われ孤立するという危機感の中、怒涛の如く物語が進行する。
     あえて「クローズドサークル」を全面に押し出している為、当然、最初の死体が見つかった時点である程度の推理をする事ができてしまう。中盤の怒涛の展開では、勿論、そうなるだろうとにやけてしまった。そして更に物語は加速する訳だが。(更なるネタバレになる↓)
     


     
     読み進めながら「十角館の殺人」と「カササギ殺人事件」を思いだした。いずれも傑作だが、これらを読んだ時と同様の驚きを今作は得る事ができる(設定というか、物語の本質が似ている様な気がする)。
     第二部が始まった時点で第一部と何が繋がっているのかと好奇心を持ったが、語り手の横島真莉愛を中心に周囲の人物像が見え始め、だんだんと関連性が解かれていく。第二部の連続殺人は何故起きたのかは動機が終盤に明かされるがとても悲しく切ないものだと思ったが、犯人の真意は別の所にあったのではと語られる。
     冒頭にも挙げている様に、荒木あかねの登場人物達はある意味で破綻している為感情移入が出来ない。これは人物描写の部分もあるだろうし、あえての描写もあるかもしれない。だが、登場人物達を立体的にイメージ出来ない事は残念だ。(宮部みゆきはこの部分がうますぎる為、僕は模倣犯に毒された訳だ)大袈裟かもしれないが、前作含め登場人物達が勝手に動きだすようになれば更に衝撃的に仕上がっていたかもしれない。
     樋藤と犯人のやり取りは、ライバル対立様相でこの部分は二人が生きている様に見えた。
     そして、最後、見事に「ちぎれた鎖と光の切れ端」を回収する。とても丁寧な終幕だ。
     
     ※登場人物にとある役割の名前を出していない事がいかに衝撃だった事か!!

  • 「此の世の果ての殺人」がとても面白かったので、読みました!
    期待に違わず、今作も面白かったです。

    ネタバレになるので多くは述べませんが、前作と共通の問題意識が感じられ、社会派ミステリのような趣も感じられました。

    前作のように、今回の作品も第2部は女性二人のバディもののような要素がありますが、前作の登場人物とは全く違うキャラクターの個性で描かれており、作者の力量が感じられました。
    第2部に登場した刑事さんは、また別の作品でその活躍をみたいと思いました。

  • 男尊女卑、パワハラ、私刑の是非、貧困、介護など、様々な社会問題をベースに物語が展開していくが、決して説教臭くならず、エンタメ要素の強い本格ミステリに仕上がっている。物語の展開で唯一違和感を覚えたのが、主人公である樋藤の心境。もしかすると、もうひとつの社会問題としてLGBTの要素も組み込まれているのではと勝手に想像してしまった。

  • 新人さんだけど、ドストライクに好きな作家さん。
    これからの活躍に期待大!!
    次の作品が今から楽しみ。

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著者プロフィール

1998年福岡県生まれ。九州大学文学部卒。2022年第68回江戸川乱歩賞を本作で受賞しデビュー。

「2022年 『此の世の果ての殺人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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