- Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065329283
作品紹介・あらすじ
乱歩賞史上最強のダークヒーローが帰ってきた!驚異的な知能を持ちながら「心」のない男と、警察庁の華麗なるエリート警視が頭脳対決!警視庁で開発中の異常犯罪データベースによって遠く離れた場所で相次いだ3件の殺人事件にはすべて拷問の痕があると判明し、続いて愛宕市でも氷室財閥当主が犠牲者に。異常犯罪のエキスパートとして現地に急行した警察庁の若き女性警視・鵜飼縣は茶屋警部を従えて捜査にあたる。一方、同市の鞍掛署は秘かに謎の老人の行方を追っていたが、発見した途端に鈴木一郎=脳男が現れて妨害する。鞍掛署にはまた署をあげての交通事故隠蔽疑惑があり、真相を探ろうとした茶屋のかつての部下が殺される……。鍵を握る「ブックキーパー」とは何者か? 残虐な連続殺人事件の真相とは? そして神出鬼没の脳男=鈴木一郎が戻ってきた理由とは? 乱歩賞受賞最大の問題作「脳男」シリーズがさらにパワーアップして登場。総勢60名以上の人物を見事に描き分け、テンポよく切り替わる場面に目が離せない、エンタメの王道を行く超弩級サスペンス巨編。
感想・レビュー・書評
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首藤瓜於『ブックキーバー 脳男 下』講談社文庫。
『脳男』の13年ぶりの続編。
何というストーリーだ。上巻でばら撒かれた数々の謎ばかりか、『脳男』シリーズの全ての謎が、この下巻で全て一つにまとまり、驚愕の結末に帰結するのだ。これは見事と言うしかない。
一連の拷問殺人事件の犯人、愛宕市の財閥の氷室家と愛宕市で代々続く謎に満ちた権力を持つ能判官家の秘密、そして『脳男』こと鈴木一郎の全てが一つに繋がり、鈴木一郎の真の目的も明らかになる。これだけ捻くれた謎に包まれたストーリーで、最後に腑に落ちることは珍しい。
鵜飼縣警視は茶屋警部と共に一連の拷問殺人事件を捜査すると、何層にも積み重なった事件の謎と鞍掛署の腐敗の構造、恐るべき犯人の姿が見えて来る。
そして、ついにタイトルの『ブックキーパー』の正体が明らかになる。亡くなった愛宕市に代々続く旧家の能判官家に過去から脈々と受継がれて来た文書を管理する人物が『ブックキーパー』であり、頭師倫太郎という名の老人だった。
何故か頭師倫太郎の傍らには鈴木一郎の影が……
鈴木一郎が一連の拷問殺人事件の犯人の行動を阻止するかのような行動を取るのは何故なのか……
定価924円
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上下巻をほぼ一気に読了。
シリーズ初お目見えの警察庁(警視庁に出向中)の鵜飼縣、気に入りました。時に茶屋警部をたじろがせるほどのキャラがいい。
ラストでの、その縣の言葉は、本書タイトルの本当の意味が理解できたし、推測とはいえ鈴木一郎が担ってきたのであろう役割にも言及していて、二重の衝撃でしたね。
ずいぶんと長く待ち望んだ続編でしたが、完結どころか、まだまだ続きそうな幕切れも嬉しい限りです。
とはいえ、次回作までどれくらい待つことになるんやろう。。。 -
上巻でブックキーパーとは何か触れられて下巻から脳男の活躍をすごく期待していたのに全然出てこない。暗躍してるのは分かるが脳男ファンとしては少々物足りないがきっとこれが良いのだ。
黒幕を取り逃がしたし、今後ブックキーパーを鈴木一郎が役目を果たすのだから続編があると思っていいのか。
総評は面白くて一気読みしたが脳男の出番をもう少し増やしてほしい。