神武天皇の歴史学 (講談社選書メチエ)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065344644

作品紹介・あらすじ

天皇の初代とされる神武天皇は、生没年はもちろん、その実在さえ定かではない。しかし、伝説上の重要人物として、日本の歴史に大きな影響を与え、論争を呼び起こし、時に政治問題となってきた。天皇陵をめぐる近世・近代史の研究者である著者が、「神武天皇陵」の所在地論争と、橿原神宮の創建を軸に、「歴史学の主題」としての神武天皇に迫る。初代天皇の墓所「神武天皇陵」は、実は江戸時代になるまで定かではなかった。元禄時代の江戸幕府の調査で、奈良・四条村の塚山に「定められた」のである。しかし、当初からこれには異論があり、幕末期には孝明天皇の意思により、その300メートルほど南の「神武田」に改められ、ここが、現在も天皇が参拝を行う神武天皇陵となっている。一方、国学者の本居宣長らは、畝傍山中の丸山を主張して根強い支持を得ており、明治期になっても「疑念」はくすぶり続けた。さらに、水戸学の巨頭・徳川斉昭、寛政の三奇人・蒲生君平、幕末の能吏・川路聖謨、明治大正の文人画家・富岡鉄斎らの見解もみていく。また、神武天皇を祀る橿原神宮の創建と隆盛に尽力し、のちに決裂した民間勤王家・奥野陣七の生涯や、明治期に「神武天皇祭」に冷徹な目を向けたお雇い外国人にも注目し、「紀元節」から「建国記念の日」へと、現代にいたる「神武天皇」と日本社会をとらえ直す意欲作。目次序章 現代の神武天皇第一章 三ヵ所の神武天皇陵第二章 幕末動乱と神武天皇陵第三章 奈良奉行所与力の結論第四章 文久の修陵第五章 明治天皇の親祭第六章 橿原神宮と民間結社第七章 消えない疑念終章 紀元節から「建国記念の日」へ

感想・レビュー・書評

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  • 『神武天皇の歴史学』|感想・レビュー・試し読み - 読書メーター
    https://bookmeter.com/books/21713373

    日本史上の重要人物〈神武天皇〉を、歴史学者はなぜ無視してきたのか? (外池 昇) | 学術文庫&選書メチエ | 講談社(2024.01.15)
    https://gendai.media/articles/-/122520?page=1

    神武天皇が即位した「紀元節」は、本当に「2月11日」なのか? 最初は別の日だったのに、1年で変更された謎の経緯。(学術文庫&選書メチエ編集部) | 学術文庫&選書メチエ | 講談社(2024.02.11)
    https://gendai.media/articles/-/123868

    外池 昇 | 成城大学
    https://www.seijo.ac.jp/education/falit/anthropology/faculty/noboru-toike/

    『神武天皇の歴史学』(外池 昇):講談社選書メチエ|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000385501

  • 現代の神武天皇:実在か非実在か 比類のない著しい存在 神武景気 神武天皇陵と宮内庁 2600年式念祭 三ヵ所の神武天皇陵:元禄の修陵 本居宣長・蒲生君平の説 幕末動乱と神武天皇陵:徳川斉昭の建議 奈良奉行・川路聖謨の信長批判 考明天皇の叡念 奈良奉行所与力の結論:中条良蔵の報告書 本居宣長・蒲生君平への反論 結論は「神竹田」 文久の修陵:孝明天皇の御達と神武天皇陵の成功 明治天皇の観察:神武天皇陵前での告文 橿原神宮と民間結社 消えない疑念:白野夏雲の器具 お雇い外国人の視点 紀元節から建国記念の日へ

  • 神武天皇、実在/非実在はさておいて日本の初代天皇とされる方をめぐる論考かと思いきや、神武天皇陵がどこにあったのかのみに焦点をあてた本でガッカリ。なおかつ、どのようにして「神話」とされたのかといった部分にはまったくノータッチでは、羊頭狗肉としか思えません。

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著者プロフィール

1957年、東京都生まれ。成城大学大学院文学研究科日本常民文化専攻博士(後期)課程単位取得修了。調布学園女子短期大学日本語日本文化学科専任講師を経て、現在、成城大学文芸学部教授。博士(文学、成城大学)。著書に『幕末・明治期の陵墓』『天皇陵の近代史』『事典陵墓参考地』(吉川弘文館)、『天皇陵の誕生』(祥伝社)、『検証天皇陵』(山川出版社)ほか。

「2019年 『天皇陵 「聖域」の歴史学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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