日本語の秘密 (講談社現代新書)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065350553

感想・レビュー・書評

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  • 対談の相手が面白い。

    俵万智、Mummy-D、山寺宏一、川添愛

    私にしては珍しく、全員知っている人だった。
    掛け言葉、ひらがなやカタカナの表記・見た目、声と感情の関わり、言葉の習得、言葉と法則。
    こう書くと、なんだか硬い印象を受けるのだけど、その道を楽しみ、極めようとする人たちとの話は、どこか社会や日常と結びついていて、分かりやすく読めた気がする。

  • 言語学者(音声学者)が、歌人(俵万智)、ラッパー(Mummy-D)、声優(山寺宏一)、そして言語学者/小説家(川添愛)ということばの達人4人に会いにいって語り合った対談をまとめた本。
    個人的には川原さん✕川添さんという気鋭の言語学"布教"者(←言葉/言語学の魅力を宣伝するという点で両人の貢献度は大きい)のお二人の顔合わせをなにより楽しみに読み始める。

    言語学とといってもご多分に漏れず音は苦手で、統語(文法)や意味のほうにいったけれど、川原さんのお話を聞いていると音もやっぱりすごくおもしろいなあとわくわくしてくる。短歌とラップという一見両極端なふたつがどちらも音の感覚を同じように研ぎ澄ませているというお話、そして短歌の「字余り」やラップの「押韻」には50音図や拍とりだけでは気づかない音韻的な理由もあるという指摘に、いままでちょっと敬遠してきたどちらの世界もちょっと敷居が低くなった気がした。

  • 対談を通じて言語学の面白さが広がる。

  • いやあ、おもしろかった。買うかどうするかちょっと迷って、でも俵万智がいるし、川添さんにも興味があるし、と思って購入した。ラッパーとか声優とかは全然興味がなかったし知らない名前だったけれど、こちらもまたおもしろく読むことができた。韻の踏み方とか、本当すごい。ケッとばせ、Get Moneyとか。そして石川啄木のサラドもおもしろい。子音で終わるのは座りが悪いんだな。トーストとかドレスも同じ規則なわけだ。いやいや、おもしろい。うちの子どもも小さいころ、「蚊にに刺された」とか、「血がが出た」とか言っていた。他の本でも読んでそういう現象があることは知っていたけれど、本書で納得がいった。2拍必要なんだな。だから、赤とか青はいいけれど、黄や茶は黄色、茶色と言わないと落ち着かない。色を付けないのなら、黄い、茶あ、なんて言い方をすることになる。言語学は昔からまあまあ興味があった。S-sideとP-sideがあるというような分け方は知らなかったけれど、S(意味論)に関する本はいくつか読んでいる。自分の中ではP(音声学)の方にも興味を持っていた。中学生のころだったと思う。夏の自由研究で、当時パソコンなどなく、もちろんインターネットで調べるなんていうことのできない中、自分でしゃべりながら五十音の口の形を一覧にまとめたことがあった。けっこう自信作だったのに、誰にも何にも反応されなくてけっこうショックだった。唇が閉じるとか、舌が上あごの前の方にくっつくとか、図解付きで説明していた。けっこういい線行っていたのかもしれない。さて、本書を読み終わって、妻にタピるとかイキるの五段活用の話をしていたら、現在、職員室ではラミネートをすることをラミる、ルビを振ることをルビるという情報を得た。ちゃんと、「これもうルビった」とか「はよこれルビらな」などと使っているそうだ。さらには、中1の音楽のレポートを見せてもらうと(タブレットで入力して提出されたもの)、見事にラノベふうに(ラノベがどんな書き方をされているのかは知らないが)「・・・ってか」とか「・・・笑」とか「・・・知らんけど」なんて楽しそうな表現が盛りだくさんであった。(一部の生徒ですが)まあ、ことばも服装と同じでTPOはちゃんとわきまえないといけないのですね。僕自身は、どうもこういう崩れたことばは好きではなく、特に子どもたちの前では使わないようにしてきた。それが、実は子どもたちの世界に入って行くことを妨げていたのかもしれない。「むずい」くらいは使ってもいいかなあ。さて、著者の好奇心は留まるところを知らないようだ。興味・関心が同心円状に広がっていくとすると、入ってくる情報は2次関数的に増えていくわけだな。これ、僕が購入する新書の数も同じだな。もっと古典的な作品を読みたいと思いつつ、この新しいことを知ったときのワクワク感があるから、ついつい新書に手が伸びてしまう。そして本棚はあふれかえる。学べば学ぶほど知りたいものが増えていく。「何のために学ぶのか」は、やっぱり「さらに学ぶため」なのだな。そうそう、サラダ記念日はもともとは唐揚げ記念日だったとのこと。おもしろい!

  • 東2法経図・6F開架:B1/2/2736/K

  • 【本学OPACへのリンク☟】
    https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/713499

  • とてもそそられる内容で、興味深く読み通しました。

    ただ、「表記のみの言葉」「テキスト」「文字表現」は感情や配慮を伝えきれないという主張にはなかなか納得できませんでした。音声は確かにさして意識しないでも感情を伝達できるかもしれません。しかし一時の感情に流されて発言してしまうことも多いでしょう。推敲を重ねられる書き文字ならではの利点を私は支持したいのです。

    書き文字でも豊かに表現できるからこそ、昔々の神話や物語、記録によって古の時代の人々の人間性を私たちは知ることができているのではないでしょうか。

    以下しばらく、もしかしたら余談です。
    「はじめに」で蜂や鳥のコミュニケーション能力について触れていて、いつもこの手の話題になると異議申し立てしたくなるんですが、人間以外の生命体がどうして人間ほどの意思伝達能力を持たないと思っているのでしょう。
    声、文字、言葉、表情や身振り。人間が理解できる意思伝達は優秀なのかもしれないけれど、言葉以上の伝達手段をほかの生命体が持っているかもしれないと疑うことはないのでしょうか。人間からは第六感とか超能力とか、そんな表現でしか解釈できないくらいの意思伝達を彼らは持っているかもしれないのに。
    (もっというと人間が生命体と認識できない物体だって、「命」を持っているのかもしれないと私は思うのですが、ここまでいくとさすがにファンタジーに過ぎますか)
    閑話休題ここまで。

    川添愛氏との対談。
    ・社会に縛られているからこそ交わす決まりごとを信頼できる。
    ・ChatGPTの答えは現時点では「オウム返し」、壮大な「盗作」
    の辺りは得心がいきました。示唆に富んでいます。

    個人的にストリートファイターの話題には驚きました。ここでガイルの名を見るとは笑。

    言語学というとどうしても語彙や文法に拘ったり、言語の揺れ、言葉の変化に厳しいのでは、などと構えてしまいますが、言葉はまさに人間に付き添ってきたパートナーなのだなと感じました。
    言語学は「ヒトを知ること」であり「自分を知ること」。なるほどです。

  • 言語学者が歌人やラッパー、声優さん等と行った対談。
    非常に興味深い内容で面白かったです。

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著者プロフィール

1980年生まれ慶応義塾大学言語文化研究所教授/専門は、音声学、音韻論、一般言語学。著書に『言語学者、外の世界へ羽ばたく:ラッパー・声優・歌手とのコラボからプリキュら・ポケモン名の分析まで』(教養検定会議 2022、4月28日発売)、『「あ」は「い」より大きい!?:音象徴で学ぶ音声学入門』(ひつじ書房 2017)他。

「2022年 『談 no.124』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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