ノーベル賞受賞者にきく子どものなぜ?なに?

著者 :
制作 : ベッティーナ シュティーケル 
  • 主婦の友社
3.60
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本棚登録 : 153
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784072342411

作品紹介・あらすじ

どうして1たす1は2なの?空気ってなに?どう答える?子どもたちの究極の質問。親では答えられない難問・奇問に、ノーベル賞をもらったその道の天才たちが答えます。

感想・レビュー・書評

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  • 子どもの素直な疑問・質問に対し、ノーベル賞を受賞した各界の権威たちが回答する20のQA集。

    「政治って何?」「空はどうして青いの?」「戦争はどうして起こるの?」など急に質問されたら思わず言葉に詰まりそうな、シンプルだけど頭を悩ます質問が目白押しです。回答は易しい言葉を使っているものの、易しい解説かと問われると疑問を感じるものもあります。しかし大人が読んでも面白いし何より勉強になります。
    QAは幅広い分野で構成され、特に抽象的な質問ほど回答者の手腕が光る回答で興味深く読めます。個人的には「どうしたらノーベル賞をもらえるの?」に対するゴルバチョフ氏の回答が秀逸でした。質問に対し「どのような人がノーベル賞を取っているか?」という視点で掘り下げ、最終的に生きるうえで大切にしたい哲学に着地します。
    たくさんの「?」を抱えながら知的好奇心を深め、他人の「?」にも真摯に向かう、そうゆう大人は素直に素敵です。

  • 純粋に知らなかったことを学べたことがとても楽しかった。特に私は物理学に関してはすこし疎いところがあったので、物理に関する話題は特に面白かった。大人も子供もこの本に出会うことで新しいジャンルの本に出会うきっかけになるのではないかと感じた。

  • ふむ

  • 子供の疑問にノーベル賞などを受賞した著名人がまじめに回答する本。
    子供の疑問に答えているだけであって、子供向けに書かれたわけではないんだなという印象。

    というか大人である自分が読んでても難しいと感じる物があるなあ。
    でも、読んでて「なるほど」という内容も多かったです。
    さすが受賞者たちだなあ。

  • 中学生の時に読んだ。この本のおかげで現在大学で物理学を楽しく学べていると思う。
    子供読ませたい本。

  • 「戦争はどうして起こるの?」という質問に対して,
    ノーベル平和賞受賞者のエリ・ウィゼール(現ボズトン大学教授)は多くの場合,
    原因が憎しみにあることを踏まえたうえで,「憎しみよりもたちの悪いことがある(P. 138)」と指摘しています。

    「どうして貧しい人とお金持ちの人がいるの?」という質問に対してノーベル経済学賞受賞者のダニエル・マクファーデンは
    「質問に答えようとして「世の中は公平ではない」という結論になってしまいました。(中略)もしあまりお金がなかったら車や家には関心を持たなかっただろうと思いますが,実際にはお金がなくなってみなければ本当のところはわかりません」と痛烈に,かつ真摯に回答しています。

    また,「愛情って何?」という質問に対してノーベル平和賞受賞者のダライ・ラマ十四世は,
    ハリウッド映画のような恋愛を指して,「こうして始まった恋愛や結婚が長続きするのはまれです(P. 97)」とズバリ指摘し,「だれかを好きになるかどうか」とは無関係の「愛」について説いています


    どの質問に対しても,回答者は真摯に,そして謙虚に答えています.

    人はどうして病気になるの?という質問に対して,回答者のジョージ・ヴィソルカスは,自分の提案する治療法の有効性を述べていますが,最後には,


    同種療法は,「けんかや競争をしようとする心の状態」を病気の原因と考えています.ですが,わたしたちはまだ十分に理解していないし,治療法もよくわかっていません.実は,君の質問に今後答えられるようになるかどうかも,わたしにはわかっていないのです.

    と語っています.

    また どうして貧しい人とお金持ちの人がいるの? と言う質問に対して,回答者のダニエル・マクファーデンは,以下のように非常に正直かつ辛辣な意見を述べています.

     “
    今までの文章を読んでも,がっかりしないでください.わたしは「どうして貧しい人とお金持ちの人がいるか」を説明しようとしたのですが,結局「世の中は公平ではない」という結論になってしまいました.わたしたち人間は根本的にわがままなのです.たとえばわたしは,まず自分のことを考えてから,そのあとでほかの人のことを考えます.
     世の中にはとても貧しい人たちが大勢いるのに,一方には高級車に乗って豪邸を建てている人がいるのは悲しいことです.でもわたし自身もかなり快適な家に住み,かなり大きい車を持っていることを告白しないわけにはいきません.もしあまりお金がなかったら車や家には関心を持たなかっただろうと思いますが,実際にお金がなくなってみなければ本当のところはわかりません.


    わからないものはわからないという謙虚な姿勢,それと共に自分の答えうる範囲での真理や本質を余すところなく伝えようとする真剣さが伝わってくる内容です.そういえば,本書の回答者と同じくノーベル賞を受賞したファインマンも,その著書「科学は不確かだ!」において,決して驕ることなく謙虚な姿勢で語っていました.

    また本書を読んでいてもう一つ感じたことは,多様性を認めること,お互いを認めること,相手の気持ちを考える想像力をもつと言うこと.何人かの回答者が異なる質問に対して,このような共通点を持つ回答をしていました.



    「政治って何?」という質問に対しては、『政治が機能しなくなると血が流れます』と直接的な答が返ってきます。「どうして貧しい人とお金持ちの人がいるの?」という質問に対しては、『運が良かったか悪かったかだけのことです』と返事があります。人間は、お金がいったいいくらあれば満足するのだろうかと思いをめぐらしました。「もうすぐぼくと同じ人ができるようになるってホント?」のクローン人間に関する答には胸が重苦しくなりました。ユダヤ人受賞者の方のお話からは、人間は人間を殺す性質をもった生き物であるという結論を得ました。
     186ページから続く病気のお話は興味深い。健康とは、肉体的・精神的・感情的に完全に自由であるという定義がいい。肉体的な自由は、「痛みがない」、精神的な自由は、「自分中心に考えていない」、感情的な自由は、「なにかにこだわらない」簡潔にそう書いてあります。215ページでは、「文学を書く人たちの能力を信じる」という熱いメッセージが登場します。その後、別の方が、脳の神経細胞の結びつきは出生から16歳までの間につくられると記されています。
     最後のほうの数学者のお話にはしみじみとしました。娘さんは障害者で、耳が不自由で、精神的にも遅れていると告白されています。でも彼は、娘はすばらしい人間ですと結んでいます。
     遠い未来に月は地球から離れていく。月は再び地球に近づきバラバラに崩れて、地球に落ちてくるということを占いのような予言ではなく、科学的根拠があると示されている部分があります。科学というよりも文学的です。そのほか容疑者X(エックス)東野圭吾著での犯人を思わせるような数学者たちの考察がありました。
     最後にこの本をまとめた方が、ノーベル賞受賞者は、恥ずかしがり屋で、マスコミは苦手ですと伝えています。目立ちたがり屋で、弁舌が得意な人たちではありませんでした。そういえば、「どうやったらノーベル賞がもらえるの?」というこどもさんの質問がありました。もらいたくてもらうのではありません。人のためになることに全力を尽くしていたらもらえたのです。だけど、受賞してから仕事が始まるのです。そのような答がありました。



    目次
    どうしてプリンは柔らかいのに石は硬いの? クラウス・フォン・クリッツィング(物理学賞)
    政治って何?               シモン・ベレス(平和賞)
    科学者って何をする人なの?        ジョン・C・ポラニー(化学賞)
    どうして貧しい人とお金持ちの人がいるの? ダニエル・マクファーデン(経済学賞)
    どうしてフライドポテトばっかり食べてちゃいけないの?
                         リチャード・J・ロバーツ(生理学・医学賞)
    空はどうして青いの?           マリオ・モリナ(化学賞)
    愛情って何?               ダライ・ラマ十四世(平和賞)
    電話ってどうしてつながるの?       ゲルト・ビーニッヒ(物理学賞)
    もうすぐぼくと同じ人ができるようになるってホント?
                         エリック・ウィシャウス(生理学・医学賞)
    戦争はどうして起こるの?         エリ・ウィーゼル(平和賞)
    どうしてパパとママは働かなくちゃいけないの?
                         ラインハルト・ゼルテン(経済学賞)
    お芝居を最初に作った人はだれなの?    ダリオ・フォー(文学賞)
    空気って何?               パウル・クルッツェン(化学賞)
    人はどうして病気になるの?        ジョージ・ヴィソルカス(ライト・ライブリフッド賞)
    葉っぱはどうして緑色なの?        ローベルト・フーバー(化学賞)
    どうしたらノーベル賞をもらえるの?    ミハイル・ゴルバチョフ(平和賞)
    忘れちゃうことと忘れないことがあるのはどうして?
                         エルヴィン・ネーアー(生理学・医学賞)
    どうして男の子と女の子がいるの?     クリスティアーネ・ニュスライン=フォルハルト(生理学・医学賞)
    地球はいつまで回っているの?       シェルダン・グラショー(物理学賞)
    1たす1はどうして2なの?        エンリコ・ボンビエリ(フィールズ賞)

  • ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA60903872

  • タイトルはキャッチーな感じだが、中身は結構まとも。ただし、この回答で子どもはほんまに納得(or理解)できたんか?というのも多数。テーマとしては文学賞受賞者からの回答もあるなど、構成としては面白い。

  •  ブックオフで百五円で購入しました。

    ・どうしてプリンは柔らかいのに石は硬いの?
    ・政治って何?
    ・科学者って何をする人なの?
    ・どうして貧しい人とお金持ちの人がいるの?
    ・どうしてフライドポテトばかり食べていたらいけないの?
     などなど。いちたすいちがに、なのはなんで、がおもしろかったです。

  • 子供の疑問って純粋で鋭い。大人になるとこういう発想は無くなっちゃう。

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著者プロフィール

畔上 司(あぜがみ・つかさ)
1951年長野県生まれ。東京大学経済学部卒。日本航空勤務を経て、現在ドイツ文学・英米文学翻訳家。共著に『読んでおぼえるドイツ単語3000』(朝日出版社)、訳書に『5000 年前の男』(文藝春秋)、『ノーベル賞受賞者にきく子どものなぜ?なに?』(主婦の友社)、『エンデュアランス号 シャクルトン南極探検の全記録』(ソニー・マガジンズ)、『アインシュタインの旅行日記』(草思社)などがある。

「2020年 『旅の効用 人はなぜ移動するのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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