「フクシマ以後」の生き方は若者に聞け

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  • 主婦の友社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784072821510

感想・レビュー・書評

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  • 自分はギリギリゆとり教育の手前の世代で、しかもそれ以前の教育体制の中ではいわゆる「エリート」に属していたこともあって、ゆとり教育に関してはアンチでした。しかし、最近になって「ゆとり世代」と活動することが増えて行く中で、彼らの柔軟さや、できない子を切り捨てるのではなく、自分の負担になってでも相互理解を進める姿勢に感心していたところに、運良くこの本に出会えました。
    すでに「成長期」を過ぎた日本において、私たち以前の「やればできる」という価値観が意味をなさないこと、競争ではなく共生の発想のものに生きていること、シュリンクして行く社会において寄付やボランティアが重要であること、どれも非常に学びになりました。
    多分この本は、今の若者と全く関わりのない人には受け入れられない内容だと思います。しかし、もし私のように若者が目の前で活躍する姿を見ていて、その姿に感銘を受けている方にはオススメです。なぜ彼らがそうなったのか、ヒントをくれます。
    私たちは彼らより、確実に早く死ぬ。これからを生きる人がいいと思う道を、暖かく(放任するわけではなく)見守ることが如何に大事か気づきました。

  • 著者は元文部省の官僚で、ゆとり教育を推進した経歴もあります。本書はゆとり教育の目的と有効性を改めて示すとともに、昭和50年(1975年)代以降生まれの若い世代に強い期待をかけ、将来を託すべきだと主張しています。
    著者が官僚を辞めた後の活動や、本書に登場する若い世代の実績などから、ゆとり教育を推進した言い訳やポジショントークなどではなく、硬直化したこの国の仕組みを変えたいと心から願っていることを感じましたし、そのために若い世代の力が必要だと考えているのが伝わってきます。

    私は団塊ジュニア世代に含まれますが、この世代はバブルを知っている最後の世代であり、社会を変えようというエネルギーには乏しい世代だと感じています。自分も勉強会や読書会をいくつか開いていることもあり、自分より若い世代の活動を同世代の他の人よりは見ていると思いますが、若い世代の人のほうが、会社や地域のコミュニティ、あるいは従来常識とされていたものから離れ、自由に活動している人が多いと感じます。
    国に変革を起こそうとか、社会の仕組みを変えていこうとか、彼らはそういった大それたことは考えていないかもしれません。ですが自分たちが暮らしやすいコミュニティを作るためにどうすればいいか、常識にとらわれずゼロベースで考えているのが彼らの強みであり、私たちより上の世代とは違うといえます。
    国の将来を彼らに背負わせるのは荷が重いとしても、もっと小さな単位での、コミュニティのあり方を若い世代に委ね、その積み重ねとして社会や国がなるようになっていく、そういう方向性は模索するに値するのではないでしょうか。

    ゆとり教育は基礎学力を低下させ、若い世代は知識が足りないまま社会人になった、という批判はよく耳にしますし、若い世代自身がその批判を受けて、自信を失っている部分は否定できません。
    ですが、団塊ジュニアより上の左代は、日本の経済が再び成長するという、いわば夢物語を前提として、前例や常識に考えが縛られ、結局何も現状を変えられない。現状を維持して自分たちは逃げ切りたい、という人は少数派だとしても、残りの多数は現状を変える意思はあっても、その方法を持っていません。ですが、その下の世代は現状を変える方法を持っているし、実践しています。
    ゆとり教育というのは、前例や常識にとらわれず、自分たちの目や耳で情報を収集し、自ら考えることで、正解のない問題に対して答えを出していくことを求めた教育だと認識していますので、そういう教育を受けてこなかった私たちよりも、ずっと柔軟な考え方ができるのは当然かと思います。

    というわけで、若い世代には期待しますが、丸投げではいけないというのも難しいところ。若い世代は考える力と行動力はあっても、知識と経験は上の世代のほうがありますから、相互に補っていかなければなりません。
    また、上の世代下の世代とざっくりと分けていますが、当然同じ世代でも人によって考え方の違いがありますし、知識や経験、行動力の多寡にも差があります。その辺りは個性や多様性として受け止め、個々人が自分の納得する判断と行動を取れるよう、応援していきたいと思います。もちろん、自分自身も行動できるところは行動していきたいですし。

  • 寺脇研さんの、タイトル通りの、若者礼賛の本。
    行間がめちゃくちゃ広いし、字も大きくてすぐ読めます。
    悪い意味ではないですが、かなり偏っていたきらいがありました。
    寺脇さんの言う「生きる力」は、いいことしか言うてないので、「いや、それは無理やろー」ってなる。
    あと、戦後すぐの世代が幸せに生きてきて、バブルが弾けて以降の若者たちがしんどい思いをしているっていう単純な分け方には納得しかねました。たぶん、それぞれにしんどいことがあるはずで、今の若者に一.五票を持たせるっていうのも現実味がなさすぎると感じてしまいました。
    その他寺脇さんの主張に、大方は賛成ですが、若者「だけ」ではなく、戦後世代にも、バブル世代にも、若者にも、それぞれ期待できる、すべきだと思います。寺脇さんの考えに、単純に興味がわいた。

  • 題名に騙された。
    何が言いたいのかよくわからん。

  •  2012年2月末刊行予定。
     知り合いが編集を担当したもの。
     先日その編集担当者から電話があり、某事例を急遽写真付きで掲載したいとのこと。
     もちろん大歓迎で、某事例を主導している知人をご紹介申し上げる。
     恐らく、無事掲載の運びになると思われる。
     
     読了後改めて、感想など。

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著者プロフィール

1952年福岡市生まれ。映画プロデューサー、映画評論家、落語評論家、京都造形芸術大学客員教授。東京大学法学部卒業。1975年文部省(当時)入省。初等中等教育局職業教育課長、広島県教育委員会教育長、高等教育局医学教育課長、生涯学習局生涯学習振興課長、大臣官房審議官、文化庁文化部長を歴任。2006年退官。著書に『国家の教育支配がすすむ 〈ミスター文部省〉に見えること』(青灯社)、『危ない「道徳教科書」』(宝島社)他多数。

「2022年 『教育鼎談 子どもたちの未来のために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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