この子はこの子のままでいいと思える本

著者 :
  • 主婦の友社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784074433353

作品紹介・あらすじ

「いい子だから、かわいがるのではありません。かわいがられるから、いい子になるのです」。人間関係が失われ、孤独な親が増えたこの時代に、幸せな親子を増やしていきたい……。2017年に逝去された、児童精神科医・佐々木正美先生がいちばん伝えたかったことを、お母さんたちの悩み相談に答えながら届けます。■内容 1章:「お母さん」が重い、2章:しつけって難しい、3章:親子バトルから抜け出したい、4章:子どもを伸ばす親になるには?、5章:思春期になる前に、6章:父親の役割ってなんですか?

感想・レビュー・書評

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  • 私が求めていた全ての答えがこの本の中にありました。

    ずっと拭えない自分自身への自信の無さ。自身の育てられ方への不信感。家族というものへの恐怖。

    私は子育てをしながら、ふとした時にいつもそんなものに心をがんじがらめにされています。

    とても苦しい。暗くて真っ黒で逃げ出したくなる。
    全部置いて1人になって、この世から消えてしまいたくなる。

    こんな気持ちは実親と良好な関係にある人には絶対にわからないと思う。私と夫はとても仲が良いと思うけど、この気持ちを理解してもらおうとは全く思わない。


    それでも自分なりに、その辛かった過去を反面教師にして、子供たちには自分が言われたかった言葉を言おうとしたり、されたかったことをしようと毎日努めている。


    『決意しましょう。親から言われたかった言葉を子供に伝えられるのはあなたです』

    『与えられなかったものがたとえどんなに大きいとしても、そこに心を奪われているばかりでは、前に進むことができません。大切なことは、恵まれなかったものを自分でどう補っていくのかなのです』


    この言葉にとても救われました。


    この本は質問に対して回答するという形で構成されていますが、実際に私の悩みをきいてもらっているかのような気持ちになりました。


    自身の生い立ちや家族に不信感を持っている人。

    こんな私が親になんてなれるわけないと自信を無くしてしまっている人にも大丈夫だよと言いたい。この本を読んでもらいたい。
    私ももがいてるから。この本にはとても心を救われてる。読みながら涙が出た。

    相手は変わらないけど、自分は変われる。負の連鎖を断ち切れるのは自分だけだから。子供には何の罪もない。


    ……ああ、でもやっぱり。
    この本に書いてあるように育ててもらいたかったな。そうしたら私はどんな大人になれたのかな。どんなことをして今生きてたのかな。

    そんなことを想像するのもちょっと切なくて。でも楽しくもあります。


    『子供というのは、土にまみれた球根のようなものです。どんな花が咲くのかはわからない。』


    というところも好きです。
    持って生まれたお花を親の勝手で色や形を変えることなんて出来ない。

    親にできることは、いつかきっと美しい花が咲くのだと信じてお水をやり、肥料を与えたり、お日さまに当てたりして育てていくことなんですね。


    明日からまた笑顔で。子供たちに接することが出来ると良いな。そう出来るよう努めていこう。

  • 母親になってからずっと分からなかった「子どもへの接し方」の答えをくれた本。

    叱って育てると「叱られる子」になる。
    叱らずに育てると「叱られない子」になる。
    私は反対のことをしていたんだなと反省した。

    回答の一つ一つがとても優しくてすっと入ってくる。
    綺麗事とか理想論とか、そんな風には思わなかった。
    子育てのバイブルにしようと思った。
    ライターさんのあとがきもとても共感し、涙が出そうになった。

  • 読む前から「この子はこの子のままでいい」‥と思えていたので、タイトルが響かず後回しになってた本だけど、読むと違った。

    ・子どもは自分の言うことを聞いてくれた人の言うことを聞くもの
    ・できるようになるのを待つ
    ・たたきたくなる場面ほど、自制心をもって穏やかに伝える
    ・がまんするのは親、変わるのは大人
    ・「しからない」と決めて接する
    ・口先だけでも「ありがとう」「ごめん」を言う
    ・結果がよくても悪くてもうちの親は気にしない、と子どもに思い込ませる
    ・勉強は好きでもないが嫌いでもない、ぐらいの気持ちをめざす
    ・さまざまな育ちの子と交わる(人間関係の量は多いほうがよい)
    ・きょうだいがいる子には「ひとりっ子の時間」ひとりっ子には「兄弟のような存在」を
    ・子どもの精神医学は親の幸せから考える
    ・怒らなければ伝えられないことなどない
    ・母親にしかできないこと、父親にしかできないことなどない
    ・人には必ずいい面と悪い面がある。その中のいい面を信じる

    ほら、こーんなに‥。
    子どもの前で大人は、自分は大人だと自覚して役割を全うしようとするべきなんだなと思った。この本によると、けっこうなことを求められている‥(汗)でも、そんな大人の側なら子供にとって家庭が安心できる場所になるのもわからんでもない。

    そのぶん、大人はのびのびできる自分の時間の確保も大切なんだろうな。
    スイッチを自覚するとこから始めねばな

  • いつも温かい。
    子の父親に対する態度は、お母さんが本当に思っていることを表現しているに過ぎないって本当。

  • 「いい子だから、かわいがるのではありません。かわいがられるから、いい子になるのです」。人間関係が失われ、孤独な親が増えたこの時代に、幸せな親子を増やしていきたい……。児童精神科の第一人者、故佐々木正美先生がいちばん伝えたかったこと。子どもの心がわかる、子育てに悩むすべての親に届けたい一冊です。

  • 0歳1歳3歳の母親で絶賛イライラ育児真っ只中の私としては、共感できる悩みばかりだった。これ読んで全てをすぐに書いてある通りに、とはできないけど、1日1ページでも読めばその後5分間は子供に優しくなれそうな気がした。

  • 質疑応答のパターンで書かれているので、とても内容が心に響いてきました。
    子どもをありのままを受け入れてあげること。
    花を育てるように、信じて待ってあげる姿勢を持ち続けていきたいです。

  • 子供が小さい頃に佐々木先生の「こどもへのまなざし」を読んで、優しい考え方に救われたものです。子供も大きくなった今、先生の言葉の受け取り方も変わるのだなと実感したところです。

    本書を読んでいく中で、スッと入るものもあれば同意しきれない考え方もあり、佐々木先生の言葉も絶対的な正解ではなく、育児への考え方のひとつでしかないのだなぁと感じました。これは親の成長でもあり、余裕が出てきたということでもあるのかもしれません。

    -----心にとめておきたいこと

    ●親子関係も人間関係のひとつであること。だからこそ、人間関係の「質」に悩んだときは人間関係の「量」を増やすこと。

    ● 自律とは、子ども自身が考え、行動して、失敗して、納得した、その先にあるもの。そのためには時間が必要。親に信じて見守ってもらった経験は、親に対する揺るぎない信頼感と尊敬となって心の中に根づく。

    ● やさしくされすぎて問題行動が出た子を見たことない

    ● 親がしかればしかるほど、子どもはしかられる子になっていく。親が心配すればするほど、心配な行動を続ける。その悪循環を断ち切らなければ、子どもの情緒を安定させることはできない。

    (そうは言っても心配するさぁ……。心配だから行動して、支援につながってようやく心配しすぎなくていいんだって思えるようになる場合もあるからさ。ひとりで頑張っている時に心配するなっていうのも酷だよ)

    ●しかってもしからなくてもADHDの特性が消えるわけではないが、親がしかりすぎをいったんやめることで子どもの情緒が安定し、その子に合った対応をとることが可能になる。得意の部分をちゃんと見極め、そこを伸ばそうと本人も前向きにとらえることができるようになる。好循環が始まる。

    ● いい子というものは、育てるのに手間がかかるものなんですよ。

    ● 信頼できる機関には、医師、臨床心理士、ソーシャルワーカーが専門チームを組んで、親子のケアにあたっているもの

    (そういうところがなかなかなくて困ってる…)

    ● 普通の子であってほしい」という願いもまた、過剰期待

    ● 楽しさは、その場にいるみんなが「楽しい」と思わないとつくられないもの

    ● 「みんなで力を合わせて目標を達成する」という活動より、「同じ趣味の人が集まって、それぞれの好きなことを認め合う」という部活のほうが合っている

    ● ADHDの傾向が多少ある子は、いくつものことを同時に考えるのが苦手。「学校が終わった、よし帰ろう」と思うと、頭の中はそのことでいっぱいになり、忘れ物の確認まで気が回らない。どんなにしかられても、その瞬間は忘れる。本当に困っているのは、親御さんではなくこの子。

    ● 「大丈夫ですよ、必ずいい子に育ちます」

  • 児童精神科医が子育ての悩みに答える

    子供の自律性は、待って貰っている間に育つ

    しつけとは、穏やかに、繰り返し言って聞かせて、出来るようになるまでゆっくり待つ、ことが重要

    子供が乱暴なときほど優しくする
    子供はいくら甘やかしてもよい
    子供に愛情が伝わるように表現する
    子供の自尊心を傷つけない

    上の子に優しくすればするほど、上の子はお兄ちゃんらしくなる

  • 早期に受験させるというブームがありますが、人間関係で大切なことについて以下とても印象に残りました。

    【著名な心理学者や精神科医はみな言っていますよ、子供時代の雑多な人間関係の中で、人は社会性を身につけるのだ、と。しかし残念なことに、意識せずいろんな子と交われるのは、小学校の低学年から中学年くらいの非常に限られた時期だけのことです。思春期以降になると、類は友を呼ぶといいますか、価値観、趣味、話が合う友だちとしか交わらなくなるのです。そのときに友だち選びの基準になるのは「親の価値観」です。自分の両親のもつ文化や考え方を基準にして、子どもは友を選びます。これは、ほぼ確実です。

    雑多な人間関係があるからこそ、人を見る目が養われ、どんな人とでも交われる能力を身につけていくのです。】

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著者プロフィール

児童精神科医。1935年生まれ。新潟大学医学部卒業。ブリティッシュ・コロンビア大学留学後、国立秩父学園、東京大学、東京女子医科大学、ノースカロライナ大学等にて、子どもたちの精神医療に従事する。現在、川崎医療福祉大学特任教授。
日本で初めてTEACCHを紹介し、普及に努める、TEACCH及び自閉症医療の第一人者である。
近著に『子どもへのまなざし』『続 子どもへのまなざし』『完 子どもへのまなざし』(以上 福音館)『「育てにくい子」と感じたときに読む本』(主婦の主社) 『アスペルガーを生きる子どもたちへ』(日本評論社)ほか多数

「2011年 『出会いでつむぐ私の仕事』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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