雲は湧き、光あふれて (集英社オレンジ文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086800297

作品紹介・あらすじ

高校三年、最後の夏。甲子園予選を前に、スラッガーの益岡が故障した。プロ入りも狙えた益岡に誰もが気を遣う中、益岡は大会出場を強行。補欠の俺が益岡専用の代走に起用されて!? 高校野球小説集!

感想・レビュー・書評

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  • なんやかんやいっても高校野球、好き。高校野球の歌「栄冠は君に輝く」も好き。空で歌える。なので、このタイトルは節つきで読んでしまう。
    「革命前夜」で気になっていた須賀しのぶさん、コバルト文庫やオレンジ文庫にも著作がたくさんあると知り、タイトルにつられて手にとった。

    最後の夏に故障したスラッガーと代走の「ピンチランナー」、女性記者と甲子園予選「甲子園への道」、戦時下の球児を描いた「雲は湧き、光あふれて」の高校野球3編。
    野球好きなら楽しめる青春小説。子供棚にいれておく。

  • 野球好きにはたまらない小説でした。特に、最後のお話は感動しました。今も戦争とは違いますが、コロナ禍という過酷な状況で、全力プレーで我々を感動させてくれる球児たちに改めて感謝の気持ちが沸きました。

  • 男子高校野球、夏の甲子園開幕が近付いているこのタイミングで高まった野球熱から手に取った一冊。「野球モノ」という、日本にとっては割となじみ深い物語が数多くあるなかで、記者の目線や戦時中の話に着目しているところがまず新鮮で面白かった。特に3作目で表題にもなっている「雲は湧き、光りあふれて」は、夏の高校野球がどうしてここまで日本で注目を浴びて、どこかやっぱり他の部活動よりも特別扱いされているのか、という疑問に対するひとつの解答のように感じた。戦争で皆が大変な思いをしている中で、学生達の野球は小さな希望の象徴だったのかもしれないし、その余韻がわずかでも確かに、甲子園球場という舞台に残っているような、そんな。

  • 高校野球、甲子園の特別感と、高校時代というその時期にしかないキラキラした青春感がある。
    須賀しのぶさんの本の中では初心者向けで、読みやすい。
    夏に読みたくなる作品。

  • 高校野球を題材にした3つの短編集。
    中でも、戦争で大会が中止になる話は、コロナ禍に通づる気がします。
    罪なき学生達は政局により青春を失った。

  • 高校野球を題材にした短編3篇。代打でしか試合に出られない益岡、その後を補う須藤を描いた「ピンチランナー」は刹那的だが、心情をストレートに表現していて好感が持てる。記者目線で描く「甲子園への道」もいい。表題作は反戦を絡めた著者のメッセージのある内容である。好みが分かれるところだとは思うが、「甲子園の道」に登場する月谷にフォーカスしちゃうかな。明らかに扱い違うし...。続編を即、手に取ることになるだろう。

  • 鉄壁のドライアイの私にも涙!『ピンチランナー』『甲子園への道』『雲は湧き、光あふれて』の三編集。ダントツで良かったのは表題作『雲は湧き~』。戦時中の甲子園、球児たちの物語。戦争に奪われた大会・夢・将来・若い命。涙なしには読めない。もう、外出先だというのにみっともないくらい号泣。『栄冠は君に輝く』の歌は、これまでもいい歌だなと思っていたが、この頃から脈々と受け継がれている歌詞、思いに感動ひとしお。他、熱闘甲子園のような『ピンチランナー』、新米記者の奮闘記『甲子園の道』も良かった。続編も読みたい。

  • 高校野球小説3編。

    高校球児視点の「ピンチランナー」、新人記者視点の「甲子園への道」はいいところで終わっていて、この先どうなったのかが気になる。いいなあ青春、眩しい。

    表題作は戦時中の球児視点。時代が違えば考え方も選択肢も今とは違って比べられないけど、野球をすることに対してより切実な感じを受けた。
    戦争がもたらした結果を静かに述べられるのは、あの日々には戻れないことを突き付けられている気がして寂しくなった。
    大会歌の歌詞にはきっと、野球ができることの素晴らしさが込められているんだろうと思う。

  • 高校野球短編。

    ・ピンチランナー
    怪我しながらも熱い想いを持つ益岡×益岡のピンチランナーとして盗塁だけを専門にピッチに出される須藤

    ・甲子園への道
    新人スポーツ女性記者の泉×公立校投手月岡

    ・『雲は湧き、光あふれて』
    舞台:戦前〜戦後
    金が欲しいから野球をやると豪語する滝山×ピッチャーからキャッチャーに変更された鈴木


    球児の葛藤を描く第1話、ラブコメ調の第2話、センチメンタルな回顧録調の第3話。
    高校野球1つをとってもこんなに幅広くかけるものなのかと感心しました。
    特に、第2話は予想だにしていなかった。
    ちょっとにまにまが止まらず、続き読みたいなと思わせてくれました。

    いろんな視点で楽しませてくれた一冊。

  • タイトルだけで真夏の青空がまぶたの裏に浮かぶ。最後のページまで読みきって、胸が熱くなった。

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著者プロフィール

『惑星童話』にて94年コバルト読者大賞を受賞しデビュー。『流血女神伝』など数々のヒットシリーズを持ち、魅力的な人物造詣とリアルで血の通った歴史観で、近年一般小説ジャンルでも熱い支持を集めている。2016年『革命前夜』で大藪春彦賞、17年『また、桜の国で』で直木賞候補。その他の著書に『芙蓉千里』『神の棘』『夏空白花』など。

「2022年 『荒城に白百合ありて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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