卯の花さんちのおいしい食卓 しあわせプリンとお別れディナー (集英社オレンジ文庫)
- 集英社 (2016年10月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784086801041
作品紹介・あらすじ
卯ノ花家に、月一族の血を引く少女・彩芽がやってきた。お母さんを亡くした上、月一族の秘密を知らされ混乱する彩芽を元気づけるため、若葉たちが作った料理とは…? せつなくてあったかい家族の物語。
感想・レビュー・書評
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なんとなく入った古本屋さんで目に留まり、3冊をまとめて購入。初読み作家さん。
月一族という、不死ではないが歳を取らない青年、朱璃。その一族でも稀有な存在だという300歳の少女、八重姫。ヘビーな生い立ちを持つ、凪と若葉。この4人の「家族」としての日常が描かれているストーリー。
1、2巻でそれぞれの過去に触れ、何故今に今至るかが描かれ、3巻でそれぞれの過去との向き合い方、未来へ向かう姿を見ることが出来る。
時にせつなく、温かく、人を思いやれる気持ちに溢れている。
血の繋がりがなくても家族になれる、とは聞くけれど、お互いに思い合えなければ、家族には到底なれない。
歳を取らないことが羨ましく思えていたけれど、遺される悲しさを思うと、嬉しいばかりではなく、限られた命だからこそ、時間をいかに使うかを考えて生きるのだなあ、と思った。
いただいた恩は、次への順送り。
私もそう考えて生きていきたい。
この3冊目で完結しているようだけれど、みんなのその後が知りたい!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
思わぬ出会いや別れを繰り返すこのシリーズもこれで終わりでしょうか。
実生活で荒んだ気分になっている時なので、優しい物語は安心して読めます。 -
ラストまでほのぼの!
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「プリンの章」
受け入れがたい非現実的な。
ただでさえ周りと違うと自身で強く想い必死に生きていた者からしたら、変えられない決定的な事に絶望を感じただろうな。
傍から見たから偽物だとしても、この家に預けられたからこそ新たな家族を受け入れられたのかもな。
「バーベキューの章」
ようやく見つけ出した息子。
自身の知る最上級のプロに頼んでも見つからない程、相手が徹底して姿を隠した事に何一つ疑問を抱かなかったのだろうか。
自分の知らない現在の姿を見て気付いたのは、少なくとも表情の変化や言動は見ていたからだろうな。
「クリスマスディナーの章」
最期は大切な者たちと共に。
四分の一という数字はまだまだ濃い方ではないのかと思うが、あまりに長寿な一族からしたら普通と変わりないのかもな。
死期を自ら悟る事が出来るまでは聞いていたが、灯火が消える瞬間まで分かるなんて残酷に感じるな。
「バレンタインチョコの章」
皆には秘密の二人だけの時。
永い時を生きる者達にとって大した時間ではなかったのかもしれないが、居候の身としては少し肩身が狭かったのかもな。
好条件過ぎて言葉を失うが、家族として過ごしていたからこそ支えになってくれたのかもしれないな。 -
ああ・・・。すごい好き。この本すごい好き・・・。
文章は、
「◎◎している」
と、羅列されることもあって、ややシナリオ調でいうたら私の好みでないはずやのにそんなんがどうでもよくなるぐらいの、内容・・・。
オレンジ文庫がコバルト文庫の流れをくんでいるというのを知ってしまったせいもあってか、
これぞ、大人のライトノベル・・・
と、なっております。
オレンジ文庫の他の本ももっと読みたいー。
購買リクエストをかけるしかないのか・・・。
しかしそんなに面白いのに付箋はなし。
細かいことに立ち止まるより先が知りたくて、どんどんページを繰りました。
凪の過去はギリギリ、朱璃の過去はほぼ覚えてないけど、あー、もうそれはええわっ、てなって、どんどん読みました。
これでシリーズ終わりじゃないよね?
終盤にまた若葉ちゃんの話に戻って、ええもうこの子、卯ノ花さんちの子になればいいのに、どこまで・・・、と、思ったらちゃんとオチもついてたし、こたつも知らん平成の子やのに、こんな昭和初期みたいなスペックでいいのか、若葉ちゃん・・・!
そう、昭和初期な・・・。
苦労も多くてそれでもけなげで、一生懸命で、逆境に立ち向かっていくっていう筋は読んでいて、がんばれ、がんばれって思える。
その上この話は金銭的な苦労が省略されている設定なので、なおのこと少女小説にのめり込めていいわ・・・。
タイトルほどには食べ物が関係しないような気もするんやけど、要所要所で食べ物が出てくるね。
これほど、おいしいものに出会える嬉しさが伝わる本もないです。
みんなで食べるということが一番おいしいと思わせてくれる本もないよー!!
おいしいは、うれしいだよね。
ほんで、うれしいは、みんなで共有したい。
共有することができたら、それは、家族だと思う。仲間だと思う。
「今」を大事にせなあかんなあ、と、思わせてくれる本ばかりに出会うな。
まさに、今の私が、そういうことを求めてるんやね。
恩を受けるばっかりで何もできなくても、それでも今できることを精一杯やろう。
若葉ちゃんは自分で思う以上に、卯ノ花家に馴染んでる。それは、客観的に彼女を見る話が多いので余計そう思うんやけど、当人はグルグル悩んでるんやね。
物語の中でも、それって、勿体ないなあって思っちゃった。
月一族に何も関係がない若葉ちゃんが卯ノ花家にお世話になるということは図々しいのかもしれへんけど、それでもいいって卯ノ花家の面々がいうてくれてるなら、それでいいよね。
その代わり、違う形で違う誰かにその恩を返せばいいんや・・・。
自分はその恩を受ける立場じゃない、とかなんとかいうて身を引くより、頂けるものはいただいて、その分また違うところで誰かに返すっていうほうが、ずっとずっと、幸せは連鎖するのかもしれへん。
できることを、できるだけ、やる、っていうことは、簡単なようで難しいもんね。
私は私でいいねんって、暗示をかけなければ。
大丈夫大丈夫って、いうてあげなければ。
私はもう、他人にそういうてもらうのはあきらめたんやから、自分のことは自分で幸せにしないと。
ほんで子どもたちには、大丈夫大丈夫っていうてあげる。
あなたたちはそのままで充分素敵なんだよっていうてあげる。
私みたいにならないように。
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■塑像(そぞう)
粘土でつくった像。古くはてん,摂(しょう),泥像,塑と称した。インド,中央アジア,中国で盛行し,日本へは唐より伝来し,奈良時代に盛んにつくられた。
(2017.06.19) -
クリスマスとお正月の話に泣いてしまった。仕方のないことだとはいえ、最期がわかる一族以上に周りのほうがメンタルやられるわなぁ。覚悟はしてたとしても、一生の別れはほんと辛い。シリーズはこれが最後かな?若葉も調理師への道を目指し、それを見守る卯ノ花家の面々。ただの人である彼女も凪も一族を支える仕事に就いてくれるといいね。
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月一族の最期がどうなるのか、ずっと気になっていた。
不老だけど不死ではないんだからいつか寿命を全うする日がくるんだろうなぁっと思っていたから。
今回はそれがわかる話しだった。
続編はあるのかなぁ。
2017.9.7 読了 -
【収録作品】一、プリンの章/二、バーベキューの章/三、クリスマスディナーの章/四、バレンタインチョコの章
甘ったるい話なのだが、擬似家族を必要としている人は多いのかもしれない。 -
料理があまり得意では無いけど、これを読んでると楽しそうだなと思わされてしまう(けどやっぱり得意ではない)