宝石商リチャード氏の謎鑑定 天使のアクアマリン (集英社オレンジ文庫)
- 集英社 (2016年11月18日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784086801065
作品紹介・あらすじ
壮年夫婦のかみ合わない愛情。詐欺師に騙された女子大生。遺産の翡翠を巡る確執。お見合いをする谷本晶子の恋愛事情。宝石を通して見えてくる、数々の人間模様。そして、リチャードの過去が明らかに!
感想・レビュー・書評
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翡翠のお話よかった。
ここから、お話が進んでいく感じがします。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なんとなくですが、プロットが入れ子状になっているのかなぁ?という予感が少しずつしてきました。続きがいかにも気になる終わり方でした。
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今回は!リチャードの過去が明らかに!
なのになのに、なんでこんな終わり方?!
海外ドラマのクリフハンガー状態。
だが安心してほしい、次のシーズン(巻)は決定(出版済み)。
正義の遅々遅々として進まない恋にも展開が!
この巻は必読!
「受け継ぐ翡翠」では仏手柑の姿の翡翠が登場する。
カワセミって飛ぶ宝石じゃなかったかなぁ、その名前は翡翠から来てたような、なんておもいながら。
日本の国石でもあったはず。
今ではちょっと宝石としては古めかしいような印象もあるが、なんのなんの、本物はやはり美しい。
本作では代々受け継ぐ、守るということの美しさを感じられた。
表題作「天使のアクアマリン」では、エメラルドとアクアマリンが同じ石、という豆知識を仕入れた。
緑柱石といえばピノコだが、話が逸れそうなので傍に置いておいて。
時に傷ついても、人を信じることの強さ。
色が違っても同じ石…この意味に込められた思いはその時の読者の心で変わるだろう。
だが、ほんの少しで心が軽くなる言葉というものに出会うたび、わたしは言葉の弱さと同じくらい強さを感じるのだ。 -
外堀が勝手に埋まっていく……
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下手なBLよりドキドキした。お前ら早くくっついてしまえ!
宝石商リチャードシリーズ3巻。リチャードが自身の出自を少しずつ正義に話し、二人の間に甘い雰囲気が出てきている。超絶美人でストイックで完璧なリチャードが、正義にかかっては甘味大臣の可愛い人になる。正義もリチャードのために自家製プリンを切磋琢磨して作る。リチャードは正義には非常に優しく、他の人には見せない表情を見せる。二人のやり取りを周りの人が誤解してぎょっとするのは1巻からのお約束だが、あながち間違いでもない気がした。促して自身のほめ言葉を言わせ、それに応える方もどうかしている。そんなん恋人同士やないかーい!
幸せな人を見るとわーっ!ってなる気持ちとか、子供のためにあまり家にいない人と再婚したりとか、恋愛がよく分からない気持ちとか、すごく繊細で細やかで良い。ささやかで、幸せな人や世間一般から見ると正論を押しつけられそうな感じのことを、筆者は握りつぶしたりしないで、しみじみと、心に染み渡るように小さく抱えて大切にしてくれる。
顔と遺産のせいで普通の人には理解されない修羅場をくぐってきたリチャードに対し、まっすぐで感情一直線で、人との距離を保つ優しさもあって、ちょっとボケてて一生懸命で、優しくて落ち込むこともあって、そんな正義がそばにいてどうして好意をもたずにいられようか。リチャードの分かりにくい甘えと心を許している感じに甘さを感じる。二人の分かり合ってる感じがすごく、すごくいい。正義は誰かのために一直線で、正論を振りかざすだけじゃなくて、悪ややりきれないことに落ち込むし割り切ってるわけじゃないし、相手を尊重してくれるし、自身なりの気遣いはしてくれるし、ああもうリチャードからしたら惚れるしかないんじゃないか。
リチャードの本当の気持ちは分からないけど、リチャードはそんなこと認めないだろうけど、自分のそばにいたら不幸になるとか思ってるかもしれないし、好きな相手とうまくいって欲しいと思ってるのかもしれないけど、でもやっぱりリチャードと正義の繋がってる感じが好きで、軽口を言い合ったり細やかなところで分かり合ってるのも好きだし、なんだかんだ心の距離は近いし大切に思ってるし心配するししたいし、それがただの上司とバイトの関係だなんて言えないじゃないか!これがBLレーベルなら是非二人の恋を応援したいところなのだけれど、一般向けレーベルだからなぁ。本編はこの絶妙な距離感を続けて正義は谷本さんと付き合って欲しいし、リチャードは心の中でほのかに失礼しつつ正義のそばにいて欲しい。そして是非!同人誌でアナザーサイドを。二人の幸せを見たいです!
宝石がテーマの物語だが、このシリーズの魅力は何よりも細やかで繊細で優しい機微にある。正論を振りかざすような子供っぽいそれではなく、世間の波にさらされて、時には挫けたり泣いたりすることがあっても、それでも生きてきたというか。そんなゴツいものではないんだけど!くそぅ、うまく言えないな。年配のご夫婦が二人で宝石を買いに来るのを普通の幸せではない、と言うような幸福感です。正義達が生きているのは、結婚して子供が産まれて元気に育って老後を夫婦で暮らすような、そんなことが一般的であり当たり前とされるような世間なんだけど、正義達はそれが当たり前ではない。だからといってやさぐれているわけでも恨んでいるわけでもなく、背負った自身の境遇と共に生きていく。世間でいう一般的でないこと、少数派であること、良いこととされていることから外れている人を、ひねくれもせず描くことがうまい。一体筆者はどんな人生を歩んできたら、こんな優しい物語を描けるのだろう。 -
不穏なところで終わってしまって早く続きを読まないと! ただどうしてもどうしても、正義の鈍感というか無神経というか天然たらしというか心の綺麗すぎるところに、ちょっとイラッとしてしまう……(笑)自分がひねくれてるからかな。
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初っぱなから正義の谷本さんにい対する「天使みたい」だとか「たおやか」といった表現がなんとも痛々しく思えた。久しぶりにこのシリーズを手に取ったせいで過去の二人の様子を忘れてしまったからだろうか?
あとは、「~べきじゃないだろうか」という独白。これで解決に向かうのも何とも単調。世の中そんな単純な問題ばかりじゃないはずなのに簡単に解決してしまうのも、相変わらず肩すかし。正しいと言うより独りよがりじゃないの? と意地の悪いことを考えてしまった。
4巻目ともなると、そろそろ中編、長編と一話のボリュームが欲しいところ。 -
過去がちらほら出てきた
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「求めるトパーズ」
いい宝石を探して。
知識を披露するのは個人の自由ではあるが、それよりも大切な事を忘れてはダメだろう。
「危ういトルコ石」
騙して売りつける。
単独でやっているのなら兎も角、組織で動いている場所に顔も隠さずいくのは危険だろ。
「受け継ぐ翡翠」
譲りたくない一つ。
価値があると分かっていても、実際にいくらの品か分からなければ配分しようがないな。
「天使のアクアマリン」
恋愛が分からない。
余計なことばかり考えていたら、いつまで経っても良い友人から変わることは無いだろ。
「傍らのフローライト」
知らなかった別名。
旅立った時と現実は違ったのかも知れないが、これから先の事は二人で考えれるだろう。 -
謎だったリチャードの過去が明らかに。今回は感情的なリチャードの姿をたくさん見れた。これから更にリチャードを深掘りしていく形になりそう。
著者プロフィール
辻村七子の作品





