乙女椿と横濱オペラ (集英社オレンジ文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086803502

作品紹介・あらすじ

街に灯った瓦斯灯が、闇夜を照らすようになって数十年あまり。
まだ古き世の名残が尾を引く開明の時代、明治45年。横濱。
「まことの恋」に憧れる女学生の紅の父親が持つ長屋には、いつの頃からか、ひょろりと痩せた京訛りの青年絵師が住みついていた。
紅が幼い頃から長屋に暮らす時川草介というその青年は、幼い頃に神隠しにあったことがあり、そのせいか怪異をみることができるという。
あるとき、紅の許嫁だった好青年・一谷誠一郎が行方不明となってしまった。
誠一郎はとある華族の庭師をしていた。
その屋敷の庭にある化け椿の枝を伐った数日後、庭師道具をもったまま姿を消したので、化け椿の祟りではないかと噂になっていた。
誠一郎を探して手を尽くした紅だったが手がかりを得ることができず、婚約解消の話が持ち出されたことから、一縷の望みをかけて草介に助力を求めたが……?

感想・レビュー・書評

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  •  女学生の紅の許嫁が突如と姿を消した。紅の家の所有する長屋に住む変わり者の草介と共に許嫁を探し始めるが…

     恋に恋する女の子の紅にとって、許嫁の結末はあまりに残酷でした。そして、そんな草介の怪異を見る能力の本当の理由も又切ない。けど、紅の真っ直ぐな心根が影を持つ草介とはお似合いだと思います。

     是非シリーズ化希望です!

  • またまたジャゲ買い本を読了。
    二人のバランスも良いし草介さんの謎も作中でちゃんと説明されてよかった。
    ストーリー自体はわりと予測できるタイプの内容だけど、二人のキャラクターとテンポ、バランス感もよくてサクサク読めました◎

  • 水守さん大好きなのですが、主人公が純粋は純粋でも苦手なタイプの純粋な子だったのでちょっと。
    年齢を重ねて落ち着いた頃の話だったら楽しめたかも。残念。

  • 椿が純真無垢すぎて幼過ぎるようですが、真っ直ぐで良い子。
    草介がひねくれているため、隣にいて真っ直ぐな言葉で救い上げてくれる存在になっててお似合いです。草介が迷いがちなのでどっしりかまえてお帰りなさいと言ってあげて欲しい。

  • 雰囲気が良い!面白かった

  • これ好きだわー。紅さんほんと尊い。かわいい。

  • 表紙に惹かれて読んでみました。
    最近あやかし、妖怪が出てくるもの、好きです。
    紅ちゃんと草介さんのかけあいは微笑ましくて可愛らしい。
    二人の関係性がどうなっていくのかが気になります。
    続編ありますよね?
    ただ、思っていたより妖はほんのちょっと。
    もっと沢山出てくると思っていたので残念でした。

  • 非常に好みの話だった。
    真っ直ぐでお人好しな(そしてまことの恋を夢見る)女学生と、一回り上の京都弁を喋るぐうたら絵描き青年のコンビ。
    この二人の組み合わせがとにかく尊い。
    京都弁がこれまた非常に耳に心地よい。
    文字で読んでおいて「耳に心地よい」というのも何なんだが、まさしくそんな感じだった。

    また毎回話の最後に彼がほんの少し本音を覗かせるところもよかった。
    相手には全然伝わっていないけれど。
    まことの恋や愛を見つける前に、彼女は彼を「まことの家族」に引き入れちゃっているからなあ。
    そこからまことの恋や愛に転化するところも見てみたいが。
    蕾が花開くような、そんな瞬間を。

    主役二人はそんな微笑ましさを爆発させているのだが、二人を取り巻く事件たちは微笑ましさでは済まないものが多い。
    特に彼の幼馴染みがやらかした話は、色々な意味で怖かった。
    恋多きことはまだ許せるとして、その後が怖すぎる。
    そりゃ呪われもする。
    しかも大体、どの事件もお嬢さんは巻き込まれて危険な目に遭ってるという。
    彼は気が気ではなかったろう。
    多少向こう見ずなところはあるけれど、大体は他人のために動いた結果だから、怒るに怒れないタイプだし。
    彼女は、人を信じているから。
    無論、彼のことも。

    そんな彼(青年絵師)は神隠しにあった過去持ち。
    てっきりあちらの世界に行ったので、人ではない何かになってしまったのかと思っていたが(実は後半に出てくる家族の話で「え?」となる展開がある)予想と違うところに着地したのでびっくりした。
    怪異を見る目を持ってはしまったが、彼はちゃんと人間だった。
    ただ、もう帰る家がないだけで、人間だった。
    そんな彼をお嬢さんたち家族が迎え入れてくれたこと、何よりお嬢さんが受け入れてくれたことが、どれほど彼の救いになったことか。
    そりゃ頭も上がるまい。
    ただ、そのことを明かす気はさらさらなさそうだが。
    彼は確実にもう落ちているぞ。
    初対面の時から。

    椿に金木犀などの植物の描写も印象的。
    またお嬢さんの実家で出る料理も美味しそうで、ここにも家族味があふれる。
    何だかんだと互いに文句を言い合いながらも、やっぱり二人の仲のいい家族を見た物語だった。
    (+強烈なシスコンもいるよ!)
    個人的には別の家族となる話も見てみたいが……お兄さんが許してくれなさそうだな。

    唯一の謎はタイトルの「オペラ」
    最初は歌劇ものかと思っていたけど、そういう要素はなく。
    どういう意味だったんだろう……敢えて言うなら、桂花さんが歌劇団の人みたいな感じではあったけど。
    (でも好みな話なのは変わらないのでよし)

    とにかく、お嬢さんと彼がだべってくれているだけでも尊い。
    そんなシーンだけでも読んでいたいという……つ、続きは……?

  • めっちゃ面白い。悲哀や孤独、そして毒と執着を書くのが相変わらずものすごくうまい……。「モノノケ~」も再読したくなった。

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