貧困の克服 ―アジア発展の鍵は何か (集英社新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087201277

感想・レビュー・書評

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  • カバーの折り返しの文章より
    アジアで初めてノーベル経済学賞を受賞したセン博士は、日本やアジア再生の鍵は、かつての経済至上主義路線ではなく、人間中心の経済政策への転換であると力強く提唱する。国連も注目する「人間の安全保障」という概念の可能性とは何か?また、「剥奪状態」「潜在能力」「人間的発展」といったキーワードが示唆する、理想の経済政策とは?四つの講演論文を日本の一般読者向けにオリジナル編集した本書は、セン理論の入門書であるとともに、いまだに貧困、暴力、深刻な人権侵害にあえぐ人類社会を見つなおすための必読書でもある。

    四つの講演論文は以下の通り。
    ・一九九九年シンガポール「アジア・太平洋レクチャー」講演
    危機を超えて―アジアのための発展戦略―
    ・一九九七年ニューヨーク「カーネギー倫理・国際問題評議会」モーゲンソー記念講演
    人権とアジア的価値
    ・一九九九年ニューデリー「民主主義を構築する国際会議」基調講演
    普遍的価値としての民主主義
    ・二〇〇〇年東京「人間の安全保障国際シンポジウム」基調講演
    なぜ人間の安全保障なのか

    そしてこれら4つの講演論文の後に、訳の大石りら氏による「アマルティア・セン 人と思想」という題の解説文が掲載されている。好感をもった文章だったのですが、大石氏がどのような人物なのか調べてもよく分からない。誰か知っている方がいましたら教えていただけますか?

    アマルティア・センに関する入門書としてこの本を読みました。センの文章はこれが初めてでしたが、啓発的でよいものだと思いました。また、話の本筋とはそれますが、ところどころでインドの歴史や文学などを引用している点が気に入りました。インドの話は高校の世界史ぐらいでしか聞くことがないので新鮮で面白かったです。欧米に限られることなく世界各国で学者の育つ土壌が必要であることの重要性をはからずして感じました。
    センはアジア初のノーベル経済学賞受賞者だと聞いていたので、経済学の研究ばかりなのかと思っていたのですが、センの研究分野が多岐にわたっていることが分かり驚きました。大石氏によると、厚生経済学、開発経済学、社会選択理論、貧困理論、所得分配理論、公共政策論、さらには政治哲学、道徳哲学、経済倫理学、開発(発展)倫理学、法哲学、人権理論にわたっているそうで、ノーベル経済学賞の授賞理由の中に「経済学と哲学に橋渡しを果たしたこと」があるのだそうです。

  • 図書館所蔵【332.2SE】

  • 4つの講演の新書化。
    俺ははじめてこれでセンの思想にふれました。
    もっと他の本も読もうと思いました。

  • 未読。

  • アマルティアセンの講演をいろいろまとめた本。哲学と経済学の橋渡し。

    でも和訳がよくないとおもう。

  • 自由・民主主義の普遍性や人間の安全保障といった点に関する講演をまとめた一冊。全編にわたって良い事を言い続けているというすごい本で、道徳か何かの教科書に指定してほしい位である。
    ただ、訳者or編集にはもっと頑張ってほしかったかも。エンタイトルメント(権原)など、セン独自の言葉使いについてもう少し詳しく説明してほしかった(出来れば本編に入る前に)。


    672円。

  • 「民主主義が成立している社会が、本格的な飢饉に見舞われた例はない」。この認識が著者の思想の根幹にある。すなわち、一般に自然現象の結果として捉えられがちな飢饉という事象を、著者は、食物の分配方式や弱者への配慮という政治機能の結果と見る。貧困についても同じである。当事者が単に「恩恵を受ける者」ではなく「政治に主体的に関与する者」であること、いいかえれば、当該政治機構において民主主義体制が確立していることが、貧困を克服する道である。
    http://d.hatena.ne.jp/hachiro86/20061004#p1

  • アジアで初めてノーベル経済学賞を受賞したインドのアマルティア・センを読んでみた。正直しんどかった。
    去年マイミクのがんちゃんが英語バージョンを見せてくれた時に、読めるか!って突っ込みましたが、日本語バージョンも難しかったです。というか、これを難しいと思う僕はまだまだなんだな〜。いくつかの彼の書いた論文が収録されていて、全て一貫しているのでしょうが、部分的にしかわかりませんでした。
    というわけで、理解したと思われる部分をいつものように軽く要約。
    今回はいつものように長々してる+うまくまとまってないのでスルーしてね♪

    彼が言うには何よりも大切なのは「人間的発展」で、それによって経済の発展や生活向上につながるそうです。
    つまり、教育や医療などの「人間的発展」を発達させることで識字能力の拡大や死亡率の低下を計り生活の質を向上させ、それによって経済や工業の発展を促すことで市場が拡大し、そこからさらに生活の質をあげるという循環をするべきだそうです。

    彼はまた、二十世紀の最も素晴らしい発展は民主主義の台頭だと言ってます。民主主義はその実践によって、人々がお互いから学ぶ機会を得て社会的な価値と優先順位を形作ることが出来、さらに地域性がないことから普遍的価値を持っているはずだと。

    あとは東西においての権威主義と民主主義の考え方の違いを歴史を踏まえて論じていたりしてます。そこで世界史で出てきた歴史上の人物が述べていたことがいっぱい出てきて面白かったです。権威主義的な東より、昔から民主主義を唱えている西欧は凄いという考え方はここで覆されていきます。

    また民主主義は、国が経済的に発展しているときは決して気づかないが、いざ危機に陥ったときの保護の役割としては絶対に欠如できないものである。たとえばセンによれば、飢饉などは本来民主主義が確立し、真剣な努力さえしていれば起こりえないことで、簡単に防げるものだそうです。

    まぁなんか僕が理解できた(かどうかも微妙だけど)のはこんなものですかね。要は人間的発展と民主主義が大事ってことです。やっぱ教育は大事ですね。
    理解がいまいちで要約もへぼへぼですが、またいつか読み返さなければならない一冊だと思いました。

    久しぶりにしんどかった一冊!でも深く面白い一冊!!

  • セン先生の四つの講演論文。

  • 貧困って難しい問題。

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著者プロフィール

1933年、インドのベンガル州シャンティニケタンに生まれる。カルカッタのプレジデンシー・カレッジからケンブリッジ大学のトリニティ・カレッジに進み、1959年に経済学博士号を取得。デリー・スクール・オブ・エコノミクス、オックスフォード大学、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス、ハーバード大学などで教鞭をとり、1998年から2004年にかけて、トリニティ・カレッジの学寮長を務める。1998年には、厚生経済学と社会的選択の理論への多大な貢献によってノーベル経済学賞を受賞。2004年以降、ハーバード大学教授。主な邦訳書に、『福祉の経済学』(岩波書店、1988年)、『貧困と飢饉』(岩波書店、2000年)、『不平等の経済学』(東洋経済新報社、2000年)、『議論好きなインド人』(明石書店、2008年)、『正義のアイデア』(明石書店、2011年)、『アイデンティティと暴力』(勁草書房、2011年)などがある。

「2015年 『開発なき成長の限界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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