松井教授の東大駒場講義録 ―地球、生命、文明の普遍性を宇宙に探る (集英社新書)
- 集英社 (2005年12月16日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087203219
作品紹介・あらすじ
惑星科学の第一人者としてのみならず、自然科学、人文社会科学等の領域を超えて、二一世紀の新しい智の体系の必要性を説く東大大学院の松井教授が、十数年ぶりに東大駒場での一般教養の講義に登場。最近の東大生のレベル低下に歯止めをかけるべく、最新の科学情報と知的刺激に満ちた講義を一一回にわたり行った。本書はその講義を再構成し、高校生レベルの物理や科学の常識で、誰にでも読みこなせる「一般教養書」を目指した。惑星科学の最先端に興味のある人も、環境問題に興味のある人も、目からうろこの一冊である。
感想・レビュー・書評
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松井教授が行った東大での講義。
「惑星地球科学?」と題する講義の中身は、地球というものの存在、宇宙との関係性、文化とは?という単純な科学というものだけではなく、広義の哲学的な問いかけも含めた「地球史」と呼べる物。
書かれている内容は高校の物理がきちんと理解できていればある程度わかるレベルになっている。しかし昨今物理が忌み嫌われているらしいので、読みこなせない人もけっこう多くいそう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者が東大駒場でおこなった一般教養の講義の内容をまとめた本です。
系外惑星の発見など、従来の科学の常識をくつがえすような発見の興奮をいきいきと伝えており、おもしろく読みました。ただ、本書の冒頭で著者が言及している「アストロバイオロジー」の内容については、あまり踏み込んだ議論がなされていなかったので、少し期待外れに感じてしまいました。従来の生物学の実態は、地球の、それも大気、海、土壌といったかぎられた領域に生存する生物だけを対象とする「地球生物学」にすぎず、比較惑星学の観点から生命の普遍性をさぐるというテーマは、壮大ですが非常に興味深く感じたので、このテーマについてもう少しくわしい内容を語ってほしかったように思います。 -
チキュウ(地球/智求)学と称した講義をまとめたものだが、広範な知識が随所に散りばめられた好著だ.7時間目の太陽系起源論と8時間目の系外惑星系はやや退屈だったが、後は興味を持って読めた.数億年という単位で考えるスケールにやや戸惑いがあるが、ロマンは在る.
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太陽、地球、太陽系の惑星についての宇宙地質学
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時々こういう想像の範囲を超えた世界に触れると、いろんなことに寛大になれるなぁ。わたしでもギリギリ意味がわかる難易度でありがたい。ダークマターについてのこういう本ないだろか。
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[ 内容 ]
惑星科学の第一人者としてのみならず、自然科学、人文社会科学等の領域を超えて、二一世紀の新しい智の体系の必要性を説く東大大学院の松井教授が、十数年ぶりに東大駒場での一般教養の講義に登場。
最近の東大生のレベル低下に歯止めをかけるべく、最新の科学情報と知的刺激に満ちた講義を一一回にわたり行った。
本書はその講義を再構成し、高校生レベルの物理や科学の常識で、誰にでも読みこなせる「一般教養書」を目指した。
惑星科学の最先端に興味のある人も、環境問題に興味のある人も、目からうろこの一冊である。
[ 目次 ]
1時間目 地球、生命、文明の普遍性を宇宙に探る―ガイダンスを兼ねて
2時間目 地球環境の成り立ちと変遷
3時間目 文明とは何か―地球システム論的文明論
4時間目 生命の普遍性を宇宙に探る―アストロバイオロジーについて
5時間目 太陽系とは?―比較惑星学的見地から
6時間目 もう一つの地球はあるか―地球とはどんな星か
7時間目 太陽系起源論
8時間目 系外惑星系
9時間目 地球の起源
10時間目 天体衝突と地球の進化1
11時間目 天体衝突と地球の進化2―そして地球、文明の未来
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
宇宙の話は大好きで小さい頃から何冊も読んでるんだが、その度に訳が分からなくなって嫌な気持ちになったもんだが、この本は非常に楽しんで読めた。
いろんな所が面白いこの本の中で特に興味深かったのは、宇宙の歴史は「分化」の歴史であると概念。
全くの一つの混沌からビックバンから宇宙が生まれ、様々な力が分かれ、原子が分かれ、原子のガスの中から太陽が生まれ、地球が生まれ、地球の中でコアやマントルが分かれ、その後に大気圏が分かれる。その後、生物圏が分かれ、最後に人類圏が分かれる。
そして最後には(何億年も先の話だが)また一つの混沌に戻っていく。
この理解は僕には非常に腑に落ちるものだった。なんだか霧が晴れる様な感じだった。新書なのにこんな衝撃を受けられるなんてスゲェと思ったし、新書だから2〜3時間で読めちゃうんだけど、実際12回の講義で受けてたらもっと楽しかったんだろうなぁと心から思う。 -
惑星科学の第一人者である著者が東大で行った一般教養の講義を書き起こしたもの。
氏の唱えている文明論・環境論に興味があり本書を手に取ったが、文系人間の身としては当然ながら宇宙・地球科学(物理?)的な話はさっぱり分からない(別にどうでもよいのだが)。
3章(3時間目)の「文明とは何か(地球システム論的文明論)」については、「共同幻想」という言葉が出てくるなど自然科学版吉本隆明という感じで文系理系の領域を超えて参考になった。
(以下個人的メモ)
・地球システム、人間圏、構成要素
・おばあさん仮説
・言語と共同幻想
・共同幻想の破綻→人間圏の崩壊
・地球の未来には20世紀以前とは異なる新たなる共同幻想の構築が必要
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2007/6/18読了