- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087208146
作品紹介・あらすじ
1066年「ノルマンの征服」により統一イングランド王国は142年間の短い歴史に幕を下ろした。それは、外敵の来襲を迎え撃ち、斃(たお)れていったアングロサクソン戦士たちの誇り高き戦いの歴史でもあった。
感想・レビュー・書評
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ノルマン朝成立以前の統一イングランド142年を追う一冊。治世の当初からのデーン人の侵略への対応が、最終的にノルマンの征服を招き寄せたとも言えるのか。エゼルレッド2世がやはり転機だったのだろうか。
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1066年、いわゆる「ノルマンの征服」によって、王や貴族、上級聖職者などイングランド王国の支配者層はことごとく、アングロサクソン人から仏語を母語とする「フランス人」に代わった。
顧みれば、そのわずか142年前にアングロサクソン諸王国を統一し誕生したこの王国の短い治世は、北欧世界から襲来する侵略者との戦いの歴史だった。だが、それは戦場に斃れたアングロサクソン人たちのヒロイックな生き様と共に、ひときわ眩しい光彩を放った時代として、今なおイギリス人の心に深く刻み込まれている。本書は、歴史の狭間に消えゆく故国に命を賭した、誇り高き、最後のアングロサクソン戦士たちの史録である。
(カバーからそのまま引用。) -
日本ではあまり知られていない、ノルマン征服以前のイングランドの歴史をわかりやすく語る。読みやすい。
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『ノルマン・コンクエスト:1066 ノルマンディー公ウィリアムによる征服』
一般的に、歴史の教科書や歴史の本ではこのように書かれている。そして、フランス王朝史がメロヴィング朝から始まるように、英国王朝史はノルマン朝から始まる。しかしこの辺が実はわかりにくい(何がわかりにくいのかは本書で指摘されてはじめて気づいたわけだが)。
①"征服"されたということは、ノルマン朝前に征服されるべき王国・王朝があったのでは?なぜノルマン朝からであるかのように語られる?
→現英国王室は、ウィリアム1世を開祖とするのを通例としている。
なるほど。他でもない英国王室がそういう見解なら、一般向け解説書で殊更ノルマン・コンクエストが強調されるのもわかる。なぜ英国王室がそういう見解なのかまではわからなかったが。
②何をもって「征服」と言うのか。(なぜたった一日の戦いでイングランドは征服されてしまったのか)
→誰が王になろうと自分たちに大きな影響はないという認識の甘さ故の諦観。その結果、国の重要ポストをほとんどノルマン人(フランス人)に乗っ取られてしまった。
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6世紀頃から七王国(ヘプターキー)登場。
787年 デーン人襲来。
878年 ウェセックス王国のアルフレッド大王、デーン人と休戦協定。統一国家の足固め。
924年 アゼルスタン王、「イングランド王」を名乗る。 -
現在のイギリスの姿は、アングロサクソン人だけが形作っているわけではありません。
デーン人やノルマン人などのアウトサイダーが、次々と押し寄せ勝っては負け、彼らを受け入れざるを得なかったのです。
その紆余曲折、波乱に満ちた歴史が綴られた一冊。 -
英国史における1066年のノルマン征服とはフランス人による新しい国家建設であり、これから英国はフランス語を話す国になった!というアッと驚く話から始まる。それが国連安保理の場で英国ストロー外相が語ったという凄い現実。話はそこから、一気に惹き込まれる。アルフレッド大王の子息ウェセックス王・アゼルスタンを中心とした871年の7王国のイングランド統一、その後デーン人との戦い、そしてノルマン征服・・・。英国のこの時代は全く知らなかっただけに新鮮!ウィリアム征服王とハロルドの1066年の闘いが一本の矢により偶然ノルマン軍の勝利になったとのこと。ハロルドは最後のアングロサクソンの王・戦士として闘い、これ以後はノルマン、デーン、ノルウェイなど各民族の入り混じったイングランドが生まれたという。今の王室との遠い先祖はフランス人ウィリアム征服王!それをどう考えるのか、日本人からは難しい事情だと思えた。