- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087211795
作品紹介・あらすじ
文豪たちの俳句は、どこか違う。
いや、かなり違う。
それをさすがと言うべきか、やっぱり変と言うべきか──。
尾崎紅葉、森鴎外、夏目漱石、内田百間、幸田露伴、横光利一、室生犀星、宮沢賢治、永井荷風、芥川龍之介、泉鏡花、太宰治、川上弘美……。
著者は、近現代の小説家が詠んだ魔訶不思議で奥深い俳句の数々を、ときに芭蕉、虚子といった俳人の名句と比較しながら詳細に読み解いていく。
俳句愛好家、小説好きにはもちろん、教養書としても満足の一冊。
【各氏推薦!】
◆ロバート キャンベル氏(日本文学者)
心を打つ日本語のあらゆる表現の核心に俳句があることを初めて心得た。
目の前の風景が深くグッと美しい色に塗り替えられる愉快な発見であった。
◆小川洋子氏(小説家)
俳句に光を当てれば、文豪の秘密が見えてくる。その何と魅惑的なことか。
◆夏井いつき氏(俳人・エッセイスト)
キシモト博士の作品論的、作家論的アプローチが文豪を裸にしてしまった!
【目次】
はじめに
〈幸田露伴〉の章―─露伴流俳句の楽しみ方
〈尾崎紅葉〉の章―─三十五歳の晩年
〈泉鏡花〉の章―─鏡花的世界の精巧なミニチュア
〈森鴎外〉の章―─陸軍軍医部長の戦場のユーモア
〈芥川龍之介〉の章―─違いのわかる男
〈内田百間〉の章―─「現代随一の文章家」の俳句
〈横光利一〉の章──作中人物に俳句を作らせる
〈宮沢賢治〉の章―─俳句を突き破って現れる詩人の圭角
〈室生犀星〉の章―─美しい「うた」の背景
〈太宰治〉の章―─俳句の向こうに人間が見えてしまう
〈川上弘美〉の章―─小説をヒントに読み解く俳句の謎
〈夏目漱石・永井荷風〉の章―─文豪句合わせ十番勝負
おわりに―─俳句を「読む」ということ
【著者略歴】
岸本尚毅(きしもと なおき)
1961一年、岡山県生まれ。俳人。「天為」「秀」同人。角川俳句賞などの選考委員、「NHK俳句」選者(2018、21年度)、岩手日報・山陽新聞文芸欄選者など。
著書に『生き方としての俳句』、『十七音の可能性』(NHKカルチャーラジオテキスト)、共著『ひらめく!作れる!俳句ドリル』など。俳人協会評論賞、俳人協会新人賞などを受賞。
感想・レビュー・書評
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こういう本や、あるいはアンソロジーは筆者・編者が並べた順に読んでいくのがベストなのだと思います。しかし、芥川龍之介の愛読者の私は、芥川を最後にしました。それから太宰、賢治も後に回しました。そして、芥川を最後にしたのは正解、悪くなかったと思いました。
芥川は俳句がうまい、そして、その解説も深い、と感じました。太宰については、どうでしょう、太宰が芥川を信奉していたということを確認した感じでしょうか。
文は人、散文もそうなら韻文も同じ。小説と俳句のつながり、それが直接的であろうと、また、陰に隠れたものであろうと、それを読み解いていく岸本教官の力量に大満足の一冊です。Eテレの俳句教室で見せる切れ味の良さがそのまま新書になっていました。
お気に入りの項目は、芥川、泉鏡花、そして最後の句合わせでした。
短編作家、そしてアフォリズムの芥川の資質に、深く感じ入った次第です。
時には、一句に一編の小説、全作品、全生涯が凝縮されることがある、それが読後の最初の感想です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
文豪が残した俳句を、俳人の視点で読み解く一冊。教科書的な解説ではなく、俳人の感覚で見たときの評価が面白い。
また、文豪達が言葉を選びその句の形に仕上げた経緯の推察や、この文豪はこうしたけど、本来俳句として格好良く仕上げるならこういう言い回しを使う、…といった感じでぽんぽんと俳句のバリエーションが出てくるのはプロならではの情報量で、俳句素人の私も読んでて「なるほどな、俳句やってるひとの肌感覚ってこういう感じ…」と雰囲気が感じ取れるのが面白かった。
掲載文豪:
幸田露伴、尾崎紅葉、泉鏡花、森鴎外、芥川龍之介、、内田百間、横光利一、宮沢賢治、室生犀星、太宰治、川上弘美、永井荷風、夏目漱石、 -
俳句は全く詳しくなく、良し悪しや意図する所も自分で見ただけではわからないが、解説されるとなるほど、と納得できた。人柄が現れたり小説の世界と繋がっていたり、個性の出方も人それぞれなのが面白い。俳句は少ない文字だけど深い表現方法だというのがよく感じられた。