- Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087211894
作品紹介・あらすじ
「80年代」と書いて、「EPICソニー」と読む――。
先進的な音楽性により80年代の音楽シーンを席捲したレコード会社「EPICソニー」。
レーベルの個性が見えにくい日本の音楽業界の中で、なぜEPICだけがひと際異彩を放つレーベルとして君臨できたのか?
そして、なぜその煌めきは失われていったのか?
佐野元春《SOMEDAY》、渡辺美里《My Revolution》、ドリカム《うれしはずかし朝帰り》など名曲の数々を分析する中でレーベルの特異性はもちろん、当時の音楽シーンや「80年代」の時代性が浮かび上がっていく。
佐野元春ロングインタビュー収録。
◆目次◆
第1章 EPICソニーの「音楽」
1.SOMEDAY〜いつか、EPICソニーが(1979〜1984)/2.My Revolution〜EPICソニーが起こした革命(1985〜1987)/3.笑顔の行方〜EPICソニーの向かう先(1988〜1990)
第2章 EPICソニーの「時代」
1.EPICソニーの「歴史」/2.EPICソニーの「意味」
第3章 EPICソニーの「人」
1.小坂洋二インタビュー/2.佐野元春インタビュー
◆著者略歴◆
スージー鈴木(すーじー・すずき)
1966年大阪府東大阪市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。ラジオDJ、音楽評論家、野球文化評論家、小説家。
音楽評論の領域は邦楽を中心に昭和歌謡から最新ヒット曲まで幅広い。
著書に『平成Jポップと令和歌謡』(彩流社)、『恋するラジオ』(ブックマン社)、『80年代音楽解体新書』(彩流社)、『イントロの法則80's -沢田研二から大滝詠一まで』(文藝春秋)、『サザンオールスターズ 1978-1985』(新潮新書)、『1984年の歌謡曲』(イースト新書)など多数。
感想・レビュー・書評
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80年代に環境のように聞いてきた音楽はEPICソニーの反骨精神が牽引してきたことをはじめて知った。
最後の佐野元春さんのインタビューが特に秀逸。音楽家がさまざまな人、音楽との出会いに影響され、新しく素晴らしい音楽を生み出す過程が克明にわかる。
そのような過程を文章に残せたのはスージーさんの佐野さんへの愛、音楽全体への愛の成果であり、佐野さんはその愛に答えている。
音楽には作り手とともに、愛のある聴き手がいてこそ、進化するものだと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
EPICソニーが青春でした。渡辺美里が僕のアイドルでした。そんな人が他にも大勢いたのだとこの本を読んで思いました。最後に佐野さんのインタビューがありますが、佐野さんがソニーミュージックに戻ってくる(デイジーミュージックの販売を請け負う会社がユニバーサルからソニーに変わる)ことも最近ニュースになりました。わくわくしてきます。
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ど真ん中でした。自分にとっては、渡辺美里・大江千里・TM・遊佐未森・岡村ちゃん・松岡英明でした。GBという雑誌をよく読んでいました。レーベルは普段意識しないけれど、EPICとCBS、ポニーキャニオンは子供のころからなんとなく認識していました。スージーさん、またこういうのを書いてほしいです。
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重版
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少し下の世代ですが、
モロちゃあ、モロの世代なので。
面白くて一気に読めました。
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80年代、社会を熱狂の渦に巻き込んだepicソニーのムーブメントとはなんだったのか。
佐野元春、大沢誉志幸、岡村靖幸を背骨に、つまらない大人にはなりたくないという「反骨精神」を端にした新感覚の音が当時の新しい世代にマッチしたムーブメント。cmと鮮やかにタイアップして人々に印象付けた楽曲達。
こうして見返してみると今の時代のcmはホントにつまらないな。こう、ぐっと、心を惹くようなパワーが映像にない。これは映画評論寄りの意見かもしれないけど、YouTubeで当時のcmを見返してこんなにも心を奪われるのだからある程度真実だと思っている。
今の世代は音楽の中に政治や社会的な問題を持ち込まなくていいという、いわばロックを「エンターテイメント」として捉えている。
筆者は今後、epicソニーのような冴えた音楽ムーブメントが起こりえるかという問いに対して否定的な意見を持っていたがどうだろう。
この本が出てからコロナもあって、ウクライナ侵攻もあって、人々の価値感はまた変わってきていると思う。
俺はgezanとか割と支持しているんだが。時代にマッチしていて、確かにシティポップみたいに海外のいいとこ取りをしたキラキラした要素ないかもしれないけど、その分現代の自分達が汚いものに蓋をして見て見ぬふりをしているドロドロとした部分(肉体性)に目を向けている気がする。
真実は陰の部分、エロ、グロに宿るという。
これからを生きる世代としては、そんな否定的なこと言わないでくれよ、と思うところもあるが笑
それはこれからを生きる僕らが変えていくしかないのだ!と、いうことで。 -
『アンジェリーナ』、『そして僕は途方に暮れる』、『My Revolution』、BARBEE BOYS、ドリームズ・カム・トルゥーなど、80年代のキラキッラな音楽を生み出してきたEPICソニー。
名曲の分析、レーベルの歴史、プロデューサー小坂洋二、佐野元春インタビューを収録。
冒頭でそれぞれの曲を最初に聴いたときの思い出が書かれているんですが、これよくわかる。最初に聴いたときを覚えているくらいEPICソニーの曲というのは新鮮で衝撃的でした。
私の場合、『そして僕は途方に暮れる』は校内放送。クラスで一番かわいい女の子を捕まえて「これ誰の曲?」とたずねました。特別仲が良かったわけでもないのになぜその子に聞いたのか。彼女なら知ってるはずとなぜか思った。
バービーボーイズは陸上部の後輩でマネージャーの順子ちゃんが「先輩こういうの好きだと思う」ってテープをくれました。最初に聞いたのは『負けるもんか』。
ドリカムは渋地下で短期バイトをしていたときにラジカセから繰り返し流れていた『うれしはずかし朝帰り』。この時もバイト先のかわいい女の子に「誰の曲?」と聞きました。あとからわかったけど彼女がドリカム好きなんでほかのバイトくんが彼女のためにかけていたらしい。
「EPICソニーのアーティストは美男美女」というのはわりと真髄をとらえているのではないかと思います。
私にとってEPICソニーとは「おしゃれな子が聴いているかっこいい音楽」で、そのキラキラ感にあこがれた。
90年代になってキラキラ感がごく普通のものになり、J-POPになっていく過程で失われていってしまうのですが、今聴いてもやっぱり眩しいなあ。
佐野元春がインタビューで素で「キッズたちが」とか言ってるのかっこよすぎ。日常会話でキッズ言って様になるのは彼くらいでしょう。
以下、引用。
シティポップ歌謡
『セーラー服と機関銃』『約束』『ドラマティック・レイン』『初恋』
「シティポップ歌謡」を聴いて思い出すのは、82年の若者たちの見てくれである。ハマトラ、ニュートラ、プレッピー。華やかで明るい色のファッションを堂々と着こなし、ヘアスタイルは、丁寧にブローされたパーマネント
「日本の歴史上、若者が一番小綺麗だった時代」ではないだろうか。
井上大輔メロディ
『街角トワイライト』
『ZIG ZAG セブンティーン』
『め組のひと』
『ボヘミアン』
『2億4千万の瞳』
『気ままにREFLECTION』
「日本2大『あの夏のカーブ』楽曲」
『ガラス越しに消えた夏』
『夏のクラクション』
「EPICソニーの音楽家は美男美女ばかり」
80年代EPICソニーのあの音、あの世界が、時代のデフォルトになってしまった。
MVの存在も大きかったですね。EPIC・ソニーでは、マイケル・ジャクソンの『スリラー』を見た丸山さんが「これで行く!」と方針を固めた。我々にとっては、テレビ局に頭を下げて歌番組に出なくても、映像表現できるツールを手に入れたということでした。
佐野元春の作品をCCCDでリリースしたいというソニー・ミュージックエンタテインメントと、佐野の間でコンフリクトが起きた。これが、佐野がEPIC・ソニー/SMEを離脱する1つの引き金となった。
当時、僕のところには、たくさんの歌詞や文章やデモテープが送られてくるんですけど、その中に、とてもユニークなエッセイのような文章がありました。書いたのは女性だったのですが、彼女に連絡を取って、何度か会ううちに「歌詞にトライする気はありませんか?」とデモテープを渡しました。この曲がTM NETWORKのファーストアルバムに収録された《金色のライオン》という曲で、歌詞をつけるのはとても難しいだろうと思っていたのですが、1か月後、私の机に、そのデモテープと「私には無理です」と記された置き手紙がありました。その女性が、現在の銀色夏生さんです。
彼(岡村靖幸)は映画好きで『ゆきゆきて、神軍』という映画に興味を持ち、私を質問攻めにするんです。また井上光晴を描いた映画『全身小説家』を、映画館で一緒に観ましたね。
自分の音楽のベースはロックンロール音楽だということ。都市の音楽。スリっ傷だらけの子供たちが歌ってダンスする音楽。とにかく街で生まれて、街で暮らすということは、子供たちにとってはタフなことなんだよね。すでにでき上がったオトナの価値観の中で生きていくということは、そこに抵抗するべきものが、たくさんあるわけなんです。それを反抗的に歌ったり、ロマンティックに歌ったり、シニカルに歌ったりするのが、ロックンロール音楽だと僕は思っている。
スペクター・サウンドの真髄とは何か。僕が思うにそれは都市の音。都会の音。街の音。ニューヨークやロサンゼルスといった街のロマンティシズムが体現されたサウンドです。人々の欲望や喜びが混じり合った混沌とした音がウォール・オブ・サウンドの真髄だと思う。
彼らにとってロック音楽はただのエンターテインメントなんだろうと思う。でもロック音楽は表現であり文化だと思っている人もいる。僕もそうだ。
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先進的な音楽性により80年代の音楽シーンを席捲したレコード会社「EPICソニー」の音楽シーンや「80年代」の時代性を書いた本。
わたしは80年代生まれですが当時の曲をいま聴いたりするので興味深く読めました。
各アーティストの長年のファンや近年サブスクで聴いて楽曲に興味を持った方々にも一読の価値があるでしょう。 -
EPICソニーが輝いていた時代、それは日本が輝いていた時代とも言える。あのような時代が、また訪れるのだろうか?
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元春のインタビュー目当てで購入。
75年生まれ、一番音楽を聞いてたのは90年代なんでちょっとズレてるっちゃズレてるんやけど、佐野元春、渡辺美里、TM、真心、ど真ん中なのよね。レーベルとか意識したことなかったけどガチ。気づいてなかったけどスジが通ってたのか、って何かオモロい。