結婚 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
2.95
  • (0)
  • (7)
  • (7)
  • (2)
  • (3)
本棚登録 : 95
感想 : 6
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087440010

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 星2.5です。
    社会学的な視点から、現代の結婚するまでのあれこれを描写した物語。
    男性である自分が読み手で、主人公が女性だからなのか、今ひとつのめり込んではいけず。
    『結婚できないのは、まず結婚を考える対象と会ってないから』、『どこで、どういう生き方をしたいかが決まらないと、結婚は考えられない』などの言葉が印象的。

  • 28歳で旅行会社に勤務する古屋倫子は、「卵子が老化する」という話を知り、にわかに結婚までのカウント・ダウンがスタートしたような気持ちに襲われます。しかし、還暦を迎えた父を囲んで旅行に出かけることになった彼女は、世間のどこにでもありそうな兄夫婦の家庭を目にして、あこがれをいだくことのできるような結婚のイメージが自分のなかにも世間にも存在していないことをたしかめます。

    同僚の大橋花蓮にその話をしてみますが、鴨志田という男と交際している花蓮は、やがてあっけなくプロポーズを受けたことを倫子に相談します。しかし倫子は、現実に結婚生活へと入ろうとしている花蓮が、倫子に背中を押してもらいたがっていることを理解できず、倫子にとっては現実感のない結婚という事態を前にとまどっているのだと考え、二人の気持ちはすれちがっていきます。

    かつて交際していた白戸紀一は、エリートの女性と結婚するもののたちまち破綻し、そんな彼の性格をよく知っている倫子は、彼との結婚生活をシミュレーションするものの、現実に彼と結婚したいという気持ちがあるわけでもなく、結婚は彼女にとってどこまでも観念的なものでしかないということを知ります。

    かつては社会が「適齢期」というものを設定し、女性たちはそれに反抗することも可能でしたが、もはや結婚はしてもしなくてもどちらでもよいものになり、そのために結婚についての具体的なイメージを思いえがくことのできない世代の心のうちを腑分けした作品です。「卵子が老化する」という医学的なイメージによって結婚への道のりが具体的に感じられたものの、本気で焦りをおぼえるわけでもなく、結婚を自分の身に起こる出来事だと感じられない倫子の、どこかちぐはぐな思考と行動がリアルに感じられました。

  • 仲の良い異性は結婚相手にはならないものだ

    倫子ほど考えてしまったら結婚なんてできないだろうなぁ

  •  どうすれば結婚できるのか!!??

     わかるマン。
     どうすりゃいいんだ!!!
     どうすりゃいいんだ!!!
     どうすりゃいいんだ...いや、マジで。

     最終章、倫子が婚活サイトや、合コンや、お見合いパーティー、とにかく暴走するたびに壁にぶち当たってやる気をなくし、でもなにかやらないと、というひたすらな焦り。
     
     非常に、わかるマン。
     
     とはいえワタクシもまだまだ30代前半ですのよ。オホホホホ!
     と言ってる間に、昨日もサークル部長が結婚しちゃったじゃないか!
     結婚式に一緒に呼ばれた電気科グループは全員妻帯者じゃないか!

     あああああああああ!!!!

     なぜ結婚できないのか(何故だ!)
     相手がいないからだ(知ってる!)
     
     つまり、相手がいないから結婚できないのだ(真理)。

     ....だから、どうしろってんだぁ!!!!!!!

     詰んだ・詰んだ・これは・詰んだ。
     サイン・コサイン・タンジェント。
     死んだ・死んだ・こいつ・死んだ(和積公式)。

     
     結婚できないアラサー女子、暴走に至る。
     という話でした。
     そして倫子の婚活は続く(おしまい♪)

  • あぁ、分かる分かる。と思いながら読んでいくも、最終的に愛されるために若さと直感信じて突っ走れと言われたようで、卵子老化著しい私はもーどーしよーもねーな。としか思えず。

    子供産むためには結婚してないと辛いんだよね。教員やってるから分かる。シングルマザーを支えるサポートがまだまだ万全じゃない。お母さん、一人で頑張ってるのすごく分かる。でも子どもがその状況を理解してないと、歪みが出てくる。「なんで僕は、わたしは構ってもらえないのか。愛されてないのか」お母さんがどんなに頑張っても、100%結果オーライに繋がらないリスクがある。分かろうとしてもうまく受け入れられなくて学校生活に支障が出たり。

    非難でもなんでもない。一馬力で何もかも背負って、そんなことわたしにはできやしない。だから教員は出来る限りのサポートをしなくちゃならんってことだけだ。ただお母さんにも余裕がなくて伝わらないことも多くて。

    わたしはひとの子にかまけてここまできてしまった。産んでみたいなぁ、と思う。でもりんこと同じ。そばにいることを決断してくれる相手がいない。うまく歯車が回ればいいんだけどなぁ…。

全6件中 1 - 6件を表示

著者プロフィール

1948年東京生まれ。東京大学文学部国文科卒。小説、戯曲、舞台演出、評論、古典の現代語訳ほか、ジャンルを越えて活躍。著書に『桃尻娘』(小説現代新人賞佳作)、『宗教なんかこわくない!』(新潮学芸賞)、『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』(小林秀雄賞)、『蝶のゆくえ』(柴田錬三郎賞)、『双調平家物語』(毎日出版文化賞)、『窯変源氏物語』、『巡礼』、『リア家の人々』、『BAcBAHその他』『あなたの苦手な彼女について』『人はなぜ「美しい」がわかるのか』『ちゃんと話すための敬語の本』他多数。

「2019年 『思いつきで世界は進む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

橋本治の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×