僕らだって扉くらい開けられる (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087442014

作品紹介・あらすじ

さわらずに物を動かせる! ……ただし10cmだけ

相手を金縛りにできる! ……でも力を使うほどハゲる

目を見ると心が読める! ……でも他人の目が怖くて見られない etc…

こんな役に立たない能力(ルビ:ちから)、なくてもよくない??

ある日突然、不思議な力に目覚めてしまった五人。
悪戦苦闘しながら能力と向き合ううちに、
さえない毎日が、思いもよらない方向に転がりだし――。

「どんなに微力でふがいない人たちだって、力を合わせれば世界は変わる。
ちりばめられたさまざまなピースが最後にかっちりハマる、
行成さんらしさの詰まった優しくて愛らしいエンタメワールド。」
――瀧井朝世さん

小説すばる新人賞作家が贈る、驚き満載、爽快感120%の傑作長編小説!

感想・レビュー・書評

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  • ささやか!
    本当にささやかな超能力を持つ人たちの話。

    超能力者の物語はもっと、それこそ超人的な活躍をする、「増山超能力師事務所」や「七瀬ふたたび」のようなイメージを持っていたけど、こんなささやかなショボイ超能力の物語は初めてだ。

    それでも話は面白かった。それぞれの超能力者の苦悩が語られて、それでもこの能力を人のために使わないとという登場人物の使命感が感じられる。能力がささやかであるがために身近に感じられ、自分に置き換えて感情移入ができた。

    あっという間に読み終えた本でした。

  • ☆4

    あらすじに惹かれて購入した作品。

    もしも突然「超能力」に目覚めたら?
    誰もが抱いたことのあるそんな妄想が、現実になってしまった5人が登場する物語。
    しかし…本作で扱われている超能力は、羨ましいとは全く感じられない(絶妙にショボい)ものばかりなのです!

    ・触らず物を動かせる(ただし右に10cmだけ)
    ・相手を金縛りにできる(ただし自分の頭髪が抜ける)など…。
    そんな役に立たない超能力をもった彼らが、謎の誘拐事件に巻き込まれてしまう…。

    落ち込んだ時や悩んでいる時に、そっと背中を押して励ましてくれるような素敵な作品でした❁⃘*.゚
    読みやすくて面白かったです!

  • 昨今の若者の○○離れにちなみ、若者の人間離れとして、本当に起こりそうな程の力しか使えない最弱の超能力者たち。
    普通ではありえない特別な力を持っているのに、本人たちは全く以て普通の人であり、ヒーローみたいに格好良く使いこなせるわけじゃない。
    それでも、それぞれ胸が熱くなる展開が待っていて、独特なタイトルもしっかりと意味を持った物語になっています。

    私だったら、時間を巻き戻せる!…ただし3秒だけ。とか良いなって思います。笑

  • こういうの、好きだ〜!
    忙しい年の瀬、サワサワしていた気持ちに
    まぁ落ち着けと言ってもらえたような。

    ある町に住んでたり、仕事で訪れたりする
    ちょっとだけ超能力のある普通の5人の人々。
    10センチしか動かせないテレキネシス
    抜け毛の進行と対価の相手を金縛りにする力
    コントロール不可能の発火能力
    潔癖症で触れないサイコメトラー
    引きこもりの読心術者。

    この「残念な」エスパーたちには
    自分たちも知らなかった秘密があって
    ひとり一章ずつの物語が終わった後
    誘拐されたテレパシストの少女を助けるため
    力を合わせることとなるのです。

    どのキャラの話も
    過去より「ちょっとだけ」人生が変化して
    悪いことばかりじゃないよなぁ…と
    思ってしまうのでした。

  • よく似た小説があった気がする。
    増山超能力師事務所だったかな。
    シリアスに超能力を扱わないとこんな感じなるのかな。

  • 残念な超能力者たちのお話。「なんの役に立つんだ?」な能力ばかりだが、最後はお約束。こうこなくっちゃね。好みの作品でした。

  • 「彩無き世界のノスタルジア 」が割と面白かったので、この作家さんの他の作品も読んで見ようと思い、今回はちょっと軽目の話をチョイスしてみました。なかなか面白くはあったのですが、内容に余り深みもなく、まぁ想像通りの展開と言った感じでした。
    今度は、映画化もされた「彩無き世界のノスタルジア 」の前編にも当たる「名も無き世界のエンドロール」を読んでみよう!

  • それぞれの視点に立った短編集だけれどそれぞれの人生に接点が生じていて、これってもしかしてここで出てきたこの人か!という発見が気持ち良かった。超能力を発見する発端となったそれぞれの過去が書かれており、登場人物に感情移入しやすかった。
    読みやすく、スッキリした読後感のものが多かったです。全員がしょぼい超能力者というチョイスが面白い。

  • キャラクター魅力的です。

  • 短編連作。

    右に10センチだけ動かせる念力、使うと頭髪が激しく抜ける金縛り能力、大きさ強さをコントロールできない発火能力、残留思念を読み取ることができる能力(ただし能力者が潔癖症)、読心術者(ただし能力者が引きこもりのコミュ障)、結果が何となく感じる予知能力者。

    あまり強そうじゃない超能力者が集まって事件を解決する。その事件のラスボスが、超能力者の集団と関係があります。事件の解決の最後の扉を開けるのは、非能力者の言葉だったのも、面白かった。小さな伏線も巧くまとまっていました。

    強さ=能力、っていうのはあると思うけど、強さ=優しさ・思いやりでもあると思いました。

    「僕らだって扉くらい開けられる」が二重の意味になっていたのも、読み終わってニヤっとできました。

    面白かった!

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著者プロフィール

1979年生まれ。宮城県出身。東北学院大学教養学部卒業。2012年『名も無き世界のエンドロール』(『マチルダ』改題)で第25回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。他の著書に『本日のメニューは。』『怪盗インビジブル』『ストロング・スタイル』『ヒーローの選択』など。

「2020年 『KILLTASK』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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