- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087442212
作品紹介・あらすじ
家族との不和、性別への葛藤、ままならない恋愛……どんな時だって、きっと味方はいる! 10代の揺れ惑う心を描く青春連作短編集。
感想・レビュー・書評
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少年少女たちの突き抜けた連載短編集。
ややネタバレあり。
「空に飛び蹴り」
ジャケットにもなっている作品。
ポツリポツリと味わう、気分の悪い出来事。
君には沢山の不幸が漂っているから、とにかく蹴って、落ちてくる不幸を解消せよと言われる。
自分に降りかかる不幸だけじゃない。
父や母や祖母の分を。
それさえ自分が撒き散らしたかのように捉え、切実に足を蹴り上げ続ける彼女は、孤高のヒーローみたいだった。
世界を救うために身を削る者が、誰にも存在を知られないままの、あんまりな物語に似ている。
「怒る泣く笑う女子」
視点は変わって、同じ学校に通う三崎に移る。
見た目と心の性別の不一致に悩み傷つきながらも、一つ一つの物事を疎かにせず、向き合っていく様子はある意味、さっきの林にも似ている。
あなたは容易く叶えられて、私には叶えようとすることさえ無謀に思える、好きな気持ちの顛末。
オンナノコに憧れ、毒づきながらも、でもそこが三崎の良い所だと思う。
最後の話でも登場する兄弟が、揺らぐことなく三崎を見つめる姿もまた、愛おしい。
「ストーリーテラー」
友達の良いところを一つ言ってみましょう。
そうだな、確かに、良いところであれば、なんでも許される気がするんだよなー。
クラスメイト同士で褒め合うとか、良いところを言い合うことが、自己肯定感に繋がるというけど。
でも、誰かの人格への評価にもなり得る。
「『光るにじ』が上手に書けているところです」
自分の良いところを言ってくれる人がいなくて、沈黙にクラスが支配されたとき。
自分の意外な一面を、そっと掬い上げてくれた言葉があった。
そのことをリフレインし続けるあまり、純粋に歪んでしまったとして。それくらいの影響力を持っていたシーンであることは、よく分かる。
どれも、どこか突き抜けたお話なのだけど、その突き抜けた姿に、共感があったことが嬉しい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
色々抱えている10代の子たちのお話。登場人物が少しずつリンクしていて、短編集だけどゆるいつながりを感じます。
不安感や、性別に対する違和感、家族との関係、恋愛…。ままならない状況でもがいている子たちにちょっとだけ希望の光がさすような物語。読んでいて心がヒリヒリして時々泣きそうになっちゃった。
最後の話が特に好き。最年少10歳の男の子のお話で優しいお兄ちゃんや同級生のぐるぐる(心の闇みたいなものかな)に気づいちゃう。この子も優しい子で…
繊細で敏感で危うくて優しい、思春期特有の感覚がつまった一冊。 -
青春て感じがした
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背ラベル:913.6-コ
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思春期の頃の悩みが気持ち良く描かれている。短編に出てくる人同士が少しずつ絡み合いながら。個人的には、もう少しそれぞれの物語が影響し合うのかと思っていたので、そこは少し残念。登場人物としては出てくるが、それぞれの物語となっていた。
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「誰かのこと好きになると、ちゃんと女になりたくなるんだって気づいた」
「いまのおれは、男でも女でも、林以外の人は好きにならないよ」
ストーリーテラーもよかったし、なにより最後の「僕とじょうぎとぐるぐると」がめちゃくちゃ好きなやつでした -
一人でも大丈夫。皆一人なんだから。と、現役の高校生に読んでもらいたいです。同調圧力の強いこの日本で、一人一人が自立していく過程で助けになる著書だと思います。
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登場人物がリンクしている、こういう短編集が好き
最後の話が一番いいかな
ちょっと軽い