- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087442472
作品紹介・あらすじ
武器となる読書術、読むべき書を呈示する、知的実践の書。
〈「読書は格闘技」という考え方に立つと、「良書」の定義も変わってくる。
普通、良書というと、書いてあることが正しいものであり、正しい考え方であると思われる。
しかしながら、書いてあることに賛成できなくても、それが批判するに値するほど、一つの立場として主張、根拠が伴っていれば、それは良書と言える。
私は筋金入りの資本主義者であるが、そうした立場からしてもマルクスは読むに値する「良書」と言えるのだ〉
心をつかむ、組織論、グローバリゼーション、時間管理術、どこに住むか、才能、マーケティング、未来、正義、国語教育の文学等々、今を生き抜くために知っておくべきテーマについて、立場の異なる「良書」を能動的に読み、自らの考えを新たに形成していく。
格闘技としての読書体験を通じた、実践的な力が身に付く読書術とは何か。各テーマにおける必読の推奨ブックリストも収録。
【著者略歴】
瀧本哲史(たきもと てつふみ)
京都大学産官学連携本部イノベーション・マネジメント・サイエンス研究部門客員准教授。エンジェル投資家。東京大学法学部卒業。マッキンゼー・アンド・カンパニーでコンサルティング業に従事したのち独立。著書に『武器としての決断思考』『僕は君たちに武器を配りたい』(「ビジネス書大賞」受賞作)『武器としての交渉思考』『君に友だちはいらない』『戦略がすべて』など。
感想・レビュー・書評
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インプットだけで終わらせず、アウトプットすることが大切とよく聞くが、具体的な方法が分からず、読書法について書かれた本を探している中で出会った一冊。いきなり骨太な本を選んでしまったと読み始めてすぐに気づいた。
多読により自分で考える力を失っていくとするショウペンハウエルの読書批判に対し、読書を格闘技とすることで自分の考えを作る知的プロセスにしようという。
格闘技というスタイルをより分かりやすくするためか、各トピックに対し2冊の本を取り上げ、対比させる。結論が一緒でもアプローチが異なる本だったり、想定読者層が異なる本だったり、対戦カードもさまざま。ジャンルや年代も広がりがあって、薄い本ではあるものの、著者の読書量を十分窺い知ることができる。
自分の読書がどれほど受動的なものであったか気付かされた。内容が時代遅れだと切り捨てるのではなく、どこが古く、どこが新しいかを考えるための素材として格闘すべきという態度には、骨までしゃぶり尽くす勢いで読書していただろうかと反省。
そもそも目的を持った読書をしてきていなかったので、まずは筆者のようにその本を読んで何を明らかにしたいかを事前に意識することから始め、自分の考えを深めていきたい。
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読書とは単に知識を仕入れることだけではなく、自分なりに解釈して常に批判的な視点を持ち続けること。瀧本さんはそのような読書との向き合い方を「読書は格闘技」と表現した。
読書への姿勢とは別に驚いた点が2点。一つに瀧本さんの読書量が半端ない。学者としての側面もあるから当然と言えば当然なのかもしれないが、学術書だけでなく、小説、ビジネス書などいろんなカテゴリをカバーしている。
もう一つは、読書のアウトプット。1冊の本から得られるものを無駄なく吸収して自分のものにしている。だからこそ的確な批判的思考ができるんだろう。
quote:
必ずしも読書で得た経験が明日からすぐに役立つ必要はないとも私は考えている。といのも、読書が「世界という書物を直接読破」する旅で、最も役立つ瞬間というのは、何らか課題にぶつかったときに、「そういえば、大分昔に読んだ本にこんなことが書いてあったな」という、偶然に、一見無関係なことが頭の中で繋がったときだったりするからだ。 -
ついつい自分の興味関心のある(賛同しがちな)内容の本を手に取ってしまいそうになるが、扱っているテーマが同じであれば、正反対の(批判したくなる)内容の本も比較して読む事の重要性を痛感。ただし、論理や根拠が重要なので、それらがデタラメな単なるダメ本は除外するのは当然なのだが、その見極めは難しい。レビューサイトである程度は事前確認できるが、実際読んでみないとわからないし。
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読書への興味を奮起する内容かと思って読んだが、本の紹介だった。
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瀧本哲史さんの読書論。内容を読みながら、フランシス・ベーコンの影響を垣間見ることができる。コンセプトの抽出に才能がある。見習うべきは、概念の抽出の思考。
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著者の本解説が面白い。なかなか難しくわからない部分も多々あったが、わかる部分その著者の言い回しが面白くその本を読みたくなった。そんな解説ができるのは、読書を単なる受動的に読むのではなく、反証して、自分の考えを作っていく知的プロセスを常に行っているからだと思う。
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とても分かりやすく、面白い1冊でした。「疑いの目」でもう一度読んでみたいです。気になる本が増えます。
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書いてあることを鵜呑みにせず、自分で咀嚼して、時には反論もしながら(=格闘)読書すべし!という本。
書籍紹介もあり気になる本が幾つか見つかった。
個人的には11章山月記の感想が強く印象に残っている。