義時 運命の輪 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087443226

作品紹介・あらすじ

権力者の死、仲間の叛乱、数々の権謀術数、そして、叶わぬ憧れと恋。北条義時の半生を静謐な熱を込めた筆致で描く歴史小説。

感想・レビュー・書評

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  • 大河ドラマ関連の作品を読んでいくシリーズで、今回はズバリ主役の北条義時。
    タイトルの『運命の輪』はそのまま、不思議な現象として義時の前に現れる。運命の輪を押して良かったのかどうか…。

    義時はこれまでのイメージ通り、小者感全開。
    強烈な個性の政子、冷徹な頼朝、息子より後妻の牧の方に影響されっぱなしの時政の影に隠れている。
    本当は北条家の統領になりたいし、頼朝の右腕になりたい。そのために何としても手柄を立てたいと焦るが、なかなか機会は来ない。
    姫の前との結婚も頼朝からの下げ渡しで直後に生まれた息子・朝時は頼朝の子だった。
    何とも情けない義時だが、頼朝の死後、次第に頼朝を見倣って冷徹さを見せていく。

    政子も従来のイメージに沿った描き方だった。
    表向きは慈愛心があり、頼朝が作った政治の形を継承しようとする健気さを見せるが、その実すべて自分の印象操作と権力のためであり、それを邪魔する者は息子だろうが孫だろうが容赦しない。そんな姉を上手く楯に使う義時がますます小者に見えてくる。

    時政に至ってはただ牧の方の言いなりという感じで、これまた不快だった。
    伊豆に帰される時はだけは、義時に喝采だった。

    意外なのは義時の妹で全成の妻・阿波局。夢のお告げを占える力があり、権力欲いっぱい。ドラマの方はどう展開するだろうか。

    とにかく頼りになるのが中原広元(ドラマでは大江)。高齢になって職を辞してもまだアドバイザーとして義時は側に置いている。都のことと鎌倉とを知り尽くしているのだから無理はないが。

    弟・時房と息子・泰時はそつがない感じ。時房は都に行って苦労しても任務は果たすし、泰時は義時の意を汲んで物事を進めていく。

    ドラマでラスボスになるという三浦義村は確かにキーマン。彼が北条方に付くのか否かで状況が変わりそうな場面がいくつもあった。こちらもどうなるのか楽しみ。

    二代将軍・頼家も三代将軍・実朝も将軍の器ではなかったなという印象。二人ともお気に入りの者ばかりを侍らせて、殺されなければ鎌倉は瓦解したかも知れない。ただ実朝はもし頼家がまともな政治家として鎌倉を運営し長生きしていたら、将軍にならずに済んで好きな文化の道に生きられたかも知れないし、文化人として名を残したかも知れないと思うと可哀想にも思える。

    全体的に義時の人生のあらすじを読んだ感じで淡白だった印象。
    コンプレックスと野望を必死に隠して政子を楯にのしあがった人生だった。
    北条家も頼朝家も共感出来る人がいないので楽しい読書とは言いがたい。

  • 来年の大河ドラマを新刊文庫で予習 澤田瞳子が薦める3冊|好書好日
    https://book.asahi.com/article/14486573

    義時 運命の輪/奥山 景布子 | 集英社の本 公式
    https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?isbn=978-4-08-744322-6

    でも大河ドラマは見ないだろうなぁ、、、

  • 北条義時。源頼朝、北条政子、北条時政など、鎌倉の中枢からは、遠かった義時が、どうして権力を持つことになったのか。
    義時を中心として展開、非常にわかりやすく進んでいく。

  • 行動より気持ちを重点に置いているからなのか生活感があまり感じられないのと重要な出来事だけを抜粋しているので大河ドラマを観ていないと面白く読めないような気がする。

  • 一気に読みました。
    今の大河とちょうど時代がリンクしているので、予習、復習にちょうどいいです。
    それにしても義時、田舎侍だったのに、最後は次代の天皇を決める立場になるなんて!
    人生ってわからないですね。
    このブラック義時好きです。大河よりもさらに黒いです。

  • 大河ドラマのネタバレ的なお話でした。義時視点の小説では一番長いのかな。短編では読んだ事がありますが、義時の人物像はほぼ同じ感じでした。
    野心を表立って出さず、上手く立ち回って権力を掴む。結局最後までそんな感じで、親子兄弟間でも権力闘争したり腹の探り合いで怖い時代だなと思いました。

  • 大河ドラマの影響で北条義時の半生を書いたこの小説を読みました。
    鎌倉時代って裏切りと讒言ばかりで、まわりの人たち誰も信用できない世界で大変だと感じた。戦国時代の小説の方がやっぱおもしろいですね。

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著者プロフィール

1966年愛知県生まれ。名古屋大学大学院国文学研究科博士課程修了。文学博士<br>2007年第87回オール讀物新人賞を受賞してデビュー<br>2018年『葵の残葉』(文藝春秋)が第37回新田次郎文学賞と第8回本屋が選ぶ時代小説大 賞を受賞

「2023年 『元の黙阿弥』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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