- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087443455
作品紹介・あらすじ
母が認知症を発症。母と息子の生活は一変し……。独身者の介護体験を赤裸々に綴り反響を呼んだノンフィクションがついに文庫化!
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
アルツハイマー性認知症だった義母のことを理解したくて読み始めた。認知症って、本当に「病」なんだな。脳トレをしていようが水泳をしていようが、この病に侵されてしまうと、理由もわからないまま発症してしまう。著者の知的で活動的だったお母様がそうであったように。世間では認知症のことを、脳を使うのを怠った人がボケてしまう症状のような捉え方をしている人も多く、これは認知症患者の家族を傷つける。認知症を病と見て対処法を考えるのは、私にとっては救いになる考え方だった。
科学ジャーナリストである松浦さんの書き方は非常に誠実で、何が起きたか? そのときの捉え方と問題点はどこにあったか? どうすればよかったのかを一つひとつ説明してくれている。
この本を読んだ数年後、今度は実母に認知症症状がで始めたが、松浦さんのすすめに従い地域包括支援センターにあらかじめ繋がっていたので、スムーズに行政の支援を受けることができた。この本には本当に感謝している。 -
自分も親の介護が必要になるのかもなぁと思っていた時に、目に入った本。この本は、物書きの50代男性筆者とその母親の介護の記録であると同時に、特に男性が読んでおくべき、心の準備の為にも必要な本だと思った。
特に、介護のストレスはじわじわとキツくなっていく事で、自身の管理もままならなくなるほどになってしまう恐れがあると言う事、介護のシステムは国として準備されており、使った方がいい事。ヘルパーさんたちに助けて貰うのを躊躇しない事など。親が歳をとるという子供であれば避けて通ることのない現実に対して、自助だけで済ますのでは無く、公助、共助を使って良いんだよという事を覚えておく。
この本では母親が認知症になってしまった事で通販を注文した事を忘れてしまう… そして父親をガンで無くす前に体験した代替療法に意味なしと警鐘を鳴らしている。そして、良かれと思って代替療法のたしになるような物を送ってくる善意の人たちにむけて「同情するなら金をくれ」とw 介護には金がかかる現実、経験してみないと分からないだけに役にたつ。
「予防医学のパラドックス」なんかも、なるほどと思えるし、社会の分断にも警鐘を鳴らしており読み応えがあった。
筆者は、松浦晋也氏、科学系のノンフィクション・ライターという事で、この本の中で書かれる筆者の意見の中に科学的見地も含まれていると思われる。
この本は40代以上の男性が読んでおくべき本の一つだと思う。時代が進めば、もう少し便利な世の中になっているのか、逆なのか、良くなっていると信じて読んで欲しい。また、いくら世の中が前に進んでも、全部を丸投げ出来るものでは決して無いという事も肝に銘じておきたい。
-
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/784352 -
認知症の親を介護する現実。小説の世界は作られたお話なんだと現実の話を読むと思う。親にオムツを履いてもらう大変さ、朝になると勝手口前に放置されたオムツの臭さや洗濯機で洗ってしまう失敗談。人が老いていくとはこういうことなのか。介護を甘くみていたと反省する。これからの日本のことも考える一冊。
-
介護に向けての基礎知識や心構えがわかる本。
札幌市の図書館。 -
親が70歳超えたら読んでおかないといけない本。自分はもまさにこの本の過程にいて、今読めてよかったとつくづく思う。「はやぶさ」などロケット、航空宇宙のサイエンスライターが介護の体験を書いてくれたからこそ、自分の目にとまって読むことができた。感謝しかない。
-
壮絶な介護奮闘記。うちもこれからなるかもという視点で読むと認知症の症状は参考になった。今はこれほどひどくないが、いつ悪化するかわからないので覚悟ができた。ただ、筆者は最初ひとりでかかえこもうとしていたが、高齢者と一緒に住んでいながら介護の仕方についてあまりにも無知だったのではないかと思える。筆者が経験して困ったあげくに強調している、公的サービスなどを利用して、介護者がなるべく無理をしないようにするというのは、少し情報を集めればいろんなところで既に言われていることだ。高齢者は新しいことが苦手というのも私は常識かと思っていたが、本人に相談もせずに洗濯機を買い替えたりしている。
とはいえ筆者はよくがんばった。昼食の献立など立派なものだ。ヘルパーさん他周りのプロもさすが。人手不足のことが書いてあったが、福祉業界の平均賃金が上がるといいと常々思っている。
同じ著者による同じタイトルの本「グループホーム編」がある。これも読んでみたいと思った。