きのうのオレンジ (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
4.23
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本棚登録 : 1047
感想 : 83
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087445565

作品紹介・あらすじ

「弱音を吐かない人は、いつだってひとりで闘っている」がん宣告を受けた<彼>と、彼を支える<家族>の物語。心揺さぶられる感動長編。笹本遼賀、33歳。都内のレストランで働きながら、人並みに、真面目に生きてきた。だが、胃の不調で受けた検査は予想外の結果――がんだった。どうして自分が? 絶望に襲われた時、弟の恭平から荷物が届く。それは遼賀が15歳の頃、故郷の山で遭難した時に履いていたオレンジ色の登山靴で……。「おれはまだ生きたい」懸命に前を向く遼賀と、彼を支える家族を通して誠実に“生”と向き合った傑作長編。【著者略歴】藤岡陽子(ふじおか・ようこ)1971年京都府生まれ。同志社大学文学部卒業。報知新聞社を経て、タンザニア・ダルエスサラーム大学留学。慈恵看護専門学校卒業。2006年「結い言」が、宮本輝氏選考の北日本文学賞の選奨を受ける。09年『いつまでも白い羽根』でデビュー。著書に『手のひらの音符』『晴れたらいいね』『おしょりん』『満天のゴール』『跳べ、暁!』『金の角持つ子供たち』などがある。現在は、京都の脳外科クリニックに勤めている。

感想・レビュー・書評

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  • こちらもフォロワーさんの感想を読んで、Amazonですぐにポチった一冊。
    こういう小説に出会えるから、本当にフォロワーさんの感想ってありがたい(^^)

    うるうる(ToT)
    感動。。。
    なんだろうな、悪い人が居ないんだよな。
    みんな温かい。
    主人公の遼賀の人となりも愛せるし、弟の恭平も、看護師の矢田泉も、バイトの高那も、本当に登場人物、全員が素敵。


    藤岡陽子先生の作品は超読みやすいからか、心に響いてくる。
    ガンガンくる。
    何度か号泣しそうになる自分を、ドウドウと抑えつつ読み進めた。


    岡山出身、東京のレストランで店長をしていた笹本遼賀が胃に違和感を覚え、バイトにも心配され検査を受けることに。
    悪性腫瘍、、、癌だった。

    検査を受けた病院で、高校時代の同級生と出会う。
    遼賀には双子と誤解されていた弟が居た。
    皆は双子だと認識していたが、実は母の双子の妹が産んだ従兄弟だった。
    15歳の頃、弟と父と冬山を登山した時、遭難したことがあった。
    その時、弟が履いていたオレンジ色のブーツを弟が送ってくる。

    すっごく悲しいのに、人が皆んな温かくて、じぃーーーーーんときた。
    最後の最後まで温かくて、読んで良かった。
    素敵な小説でした。

    • bmakiさん
      マメムさん

      本のご紹介ありがとうございます(*^▽^*)
      早速Amazonでポチってみました。
      読み終わったらまた感想書きますねo...
      マメムさん

      本のご紹介ありがとうございます(*^▽^*)
      早速Amazonでポチってみました。
      読み終わったらまた感想書きますねo(^▽^)o
      2024/01/08
    • マメムさん
      bmakiさん、お返事ありがとうございます。

      いつも素早いポチッとですね♪
      今回のオススメは好みが分かれるかも知れませんが、感想を楽しみに...
      bmakiさん、お返事ありがとうございます。

      いつも素早いポチッとですね♪
      今回のオススメは好みが分かれるかも知れませんが、感想を楽しみにしています^_^
      2024/01/08
    • bmakiさん
      マメムさん

      大抵夜は酔っ払って気持ちが大きいので、ポチポチやりがちです( ̄▽ ̄)

      でもいいのです。素敵な本に出会えるのならケチケ...
      マメムさん

      大抵夜は酔っ払って気持ちが大きいので、ポチポチやりがちです( ̄▽ ̄)

      でもいいのです。素敵な本に出会えるのならケチケチしていられません(*^▽^*)

      マメムさんのおかげで、体育館や水族館にも出会えましたし、また素敵な作品に出会えることを楽しみにしております∩^ω^∩
      2024/01/08
  • 私も30代前半に人生初の入院と手術を経験しました。だからこそ本作に共感を抱いたのでしょうね。

    本作『きのうのオレンジ』のあらすじと感想になります。

    33歳の若さでガンを患った遼賀(りょうが)は、この報せを誰に伝えようかと電話先の相手を探すが見当たらない。いわゆる「地味で目立たない良い人」であった遼賀は悩み抜いた末、双子と度々間違われる同い年の弟、恭平に声を繋ぐ。

    過去に2人は雪山で父とはぐれて遭難し、死を覚悟した恭平の濡れた登山靴に自らのオレンジ色の登山靴と希望を与える。遼賀はそんな想いやり溢れる子であった。そんな遼賀がどうして…。

    本作は闘病生活を綴る作品でありながら、恭平や母親、同級生で担当看護師の矢田や職場同僚の高那と、様々な人の視点から見た遼賀と自分が語られ、その一つ一つに涙が零れました。

    特に遼賀が矢田に対して自分の苦しさを「わかるなんて言ってほしくない」と辛く当たる言葉に、矢田が返した言葉に乗せた想いは著者の藤岡陽子さんが最も伝えたいメッセージだと胸深く刺さりました。

    小川糸さんの『ライオンのおやつ』に似た闘病生活を語る作品ですが、読了して振り返った私の本には多くの付箋が頭を出しています。本当に素晴らしい作品でした。

    #マックで泣いた夏の読書感想文

    • samoyedさん
      はじめまして、samoyedと申します。
      最後の「マックで泣いた夏の読書感想文」、わかります。私が読んだのは冬ですが、泣ける本でした。家で読...
      はじめまして、samoyedと申します。
      最後の「マックで泣いた夏の読書感想文」、わかります。私が読んだのは冬ですが、泣ける本でした。家で読んでいて、良かったと思うくらい、鼻がヤバかったです。辛いお話でしたが、心はなんとなく、ほんわかしてます。
      この気持ちをお伝えしたくて、コメントを致しました。
      2024/02/04
    • マメムさん
      samoyedさん、コメントありがとうございます。
      作品に雪山が出てくることから、今が読み時かもしれませんね。思いやりに溢れた良い作品でした...
      samoyedさん、コメントありがとうございます。
      作品に雪山が出てくることから、今が読み時かもしれませんね。思いやりに溢れた良い作品でした^_^
      2024/02/05
  • 癌宣告を受けた青年の闘病の物語。
    登場人物はみな良い人ばかり。
    生ききることを感じる物語でした。

    都内のレストランの店長の遼賀。胃の不調から検査をうけた結果、癌。
    その病院で偶然再会した高校の同級生の矢田。
    遼賀は弟の恭平と連絡をとります。
    そして、遼平から届いた荷物は、オレンジ色の登山靴。

    遼平と恭平は15歳の時に、雪山で遭難し、死にかけた過去を持ちます。その時の登山靴。
    この経験が、この後の闘病でたびたび思い出されます。

    そんな遼平の闘病とそれを支える恭平、矢田、母親、そして良い味出しているレストランのバイトの高那。

    恭平と遼平の関係。
    手術、辛い抗ガン治療、治験。

    そして、以前に遭難した山に再び挑みます。
    そこで過去の遭難時に書いた手紙には熱いものがこみ上げます。

    生ききること。
    みんなにありがとうを伝えたい。

    温かく優しい気持ちになれる物語でした。
    お勧め。

  •  冒頭からいきなり、主人公の遼賀・33歳が癌を宣告され、物語が始まります。
     病や死に対しては無防備な年代ですが、単なる闘病もの、重い話、感動ものと片付けられない遼賀の生き様、その清廉さに心洗われる思いがしました。とてもいい話でした。

     誰の人生にも起こり得る想定外な病は理不尽ですが、現実を受け入れ前に進む覚悟を決めた遼賀。彼の、人に対しても自分の人生に対しても誠実に生きる姿は、読み手の魂を揺さぶります。

     遼賀の同級生で看護師の泉、同僚でアルバイトの高那、弟の恭平、母や祖母など、遼賀の闘病を支える人たちの過去も明かされながら、それぞれが自分や仕事との向き合い方を見直し、遼賀との絆を深めていきます。

     遼賀もメンタルが強固なわけでもなく、悩み、落ち込み、狼狽えます。しかし、周囲と共に生かし生かされていることに気付き、(諦めの境地ではなく)優しさ・目標を取り戻していきます。
     そんな遼賀の姿を追ううちに、もしかしたら自分も厳しい状況下で、変われるのかなと思えました。読み手だけでなく、登場人物皆が明日への希望をもらえた気がします。

     登山靴、実家や店舗に植えられた蜜柑、夕陽に染まる故郷の山‥、それらが放つ暖色のオレンジが、印象的な愛あふれる物語でした。

    • Manideさん
      「本とコ」なんですね、覚えておきます(^^)

      そうですよね〜
      本はいいですよね。
      いろんな感情を持つことができることが、私は好きです。

      ...
      「本とコ」なんですね、覚えておきます(^^)

      そうですよね〜
      本はいいですよね。
      いろんな感情を持つことができることが、私は好きです。

      哀しみはそんなに味わいたくはないですが…
      2023/11/08
    • ゆーき本さん
      遼賀が遭難した山で両親宛に書いた手紙がもうダメでした(泣)わたしだったら遼賀のように強く生きられないなぁと遼賀の姿に胸を打たれました。
      遼賀が遭難した山で両親宛に書いた手紙がもうダメでした(泣)わたしだったら遼賀のように強く生きられないなぁと遼賀の姿に胸を打たれました。
      2023/11/19
    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      ゆーき本さん、コメントありがとうございます!
      全くタイプは別ですが、ある意味では『山の教場』?
      本から教えられること多いです‥。
      ゆーき本さん、コメントありがとうございます!
      全くタイプは別ですが、ある意味では『山の教場』?
      本から教えられること多いです‥。
      2023/11/19
  • 胃がん告知・転移・独り身・と手札が揃えば、物語の結末はある程度想像出来てしまいます。しかしながら読み始めるや、主人公のこれまでの人生の歩み方、これからの運命の受け入れ方、周りの人達の覚悟等全てに於いて真摯でかつ澄み切った文章で愛おしいまでに描かれていて、いつの間にか読了していました。
    巻末の解説に記載がありましたが、著者は看護師として働いているとの事。そうしたエビデンスが物語に幅や奥行きを持たせ、主人公や主人公を支える家族達一人一人を主役として丁寧に描いています。
    凪良先生の最新作みたいに良い本について語ろうとすると言葉が次から次へと溢れてしまい感想にまとめるのが難しいですね。

  • 今は都下のイタリアンレストラン店長を務める笹本遼賀33歳の体調不調をアルバイト男子が心配してくれ、やっと受診したところ思いもしない癌に罹患していた場面から始まる。

    彼が15歳の時に故郷岡山で父と双生児?の弟の3人で冬山登山した折りに兄弟で遭難して救助された経験があり、この事が物語の重要なポイントになっている。

    闘病暮らしの遼賀に寄り添う弟や母親、受診先で偶然出会った看護師の矢田泉、職場で彼を慕うバイトの高那などなどとのやりとりが彼の心境を穏やかになだらかに導いてくれるのがとても温かくて良い♪

    不意に訪れる不幸にどのように向き合うかは本人の生き方考え方が大きな影響を及ぼすのだろうけれど、この主人公のような境地になれたら理想的だろうな と思えるストーリーです。

    涙無くしては読めないけど、さすがに高い評価の多い作品、納得の読み応えでした♪

  • 主人公が癌を告知されてから亡くなるまでに自身を振り返りその心情が真っ直ぐに伝わってきます。
    どう生きたいかは病気になってからも本人の意思があります。
    今までの人生がなんだったのか自分の存在はどのようなものだったのか、意味を探します。
    最終的には誰を愛して誰に愛されていたのか、誰に愛を伝えたいのかではないかなと、私は思っています。

  • 胃がんと診断され、手術を受けることとなった、遼賀。
    その病院で、岡山の高校の同級生と再会し……。

    あたたかく、泣けた。

    家族を形作る過去を交えながら、物語は進む。

    仲がよく、はたから見ると理想的な家族。
    でもそれは、彼らがそうあろうと心掛けたから。

    誰もが相手を思いやり、やさしいあたたかさに満ちている。
    特に遼賀のやさしさには、ぐっとくるものがあった。

  • 胃がんである事がわかった33歳の笹本遼賀。一人苦しむ中で思い出したのは15歳の時に弟と雪山で遭難した時の事。

    家族、同級生の視点で語られる中で、家族の秘密、遼賀の人となりがわかっていく。どの人も優しくて、心情が痛いほど刺さる。家族の絆、遼賀と矢田のやり取りは強く印象に残る。互いを思いやる心、本音を吐き出せる相手がいる事は大きいなと思う。
    そして遼賀自身が地に足をつけて生きてきた人。彼の生き様に涙が溢れて止まらない。遼賀のように生きたいと強く思う。

    誠実に生きる事を教えてくれた大切な本。一人でも多く触れてほしい。

    • マメムさん
      初コメです。
      今の季節に読むのが良い、温かい1冊ですよね。
      初コメです。
      今の季節に読むのが良い、温かい1冊ですよね。
      2024/01/09
    • みんとあめさん
      マメムさん、そうですね。
      吹雪や厳しい寒さの経験あるので、雪山のシーンはより感じるものがありました。
      今年はじめに読めて良かったです。
      マメムさん、そうですね。
      吹雪や厳しい寒さの経験あるので、雪山のシーンはより感じるものがありました。
      今年はじめに読めて良かったです。
      2024/01/09
  • 友人からのプレゼント
    彼女からこういうハートフルな本がドンと届きます

    ただ、「病魔」「癌」の内容は辛すぎて……

    『弱音を吐かない人は、いつだってひとりで闘っている』
    これは刺さりますよね

    闘病を支えるのは本人の意思と家族の支え
    ドンピシャの本でした

    藤岡陽子さん、いいですねえ

    ≪ まだ生きる そっと手にする 登山靴 ≫

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著者プロフィール

藤岡 陽子(ふじおか ようこ)
1971年、京都市生まれの小説家。同志社大学文学部卒業後、報知新聞社にスポーツ記者としての勤務を経て、タンザニア・ダルエスサラーム大学に留学。帰国後に塾講師や法律事務所勤務をしつつ、大阪文学学校に通い、小説を書き始める。この時期、慈恵看護専門学校を卒業し、看護師資格も取得している。
2006年「結い言」で第40回北日本文学賞選奨を受賞。2009年『いつまでも白い羽根』でデビュー。看護学校を舞台にした代表作、『いつまでも白い羽根』は2018年にテレビドラマ化された。

藤岡陽子の作品

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