その扉をたたく音 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087445862

作品紹介・あらすじ

本屋大賞受賞『そして、バトンは渡された』著者の新たな代表作!音楽と人が生み出す、たしかな希望の物語。29歳、無職。ミュージシャンへの夢を捨てきれないまま、怠惰な日々を送っていた宮路は、ある日、利用者向けの余興に訪れた老人ホームで、神がかったサックスの演奏を耳にする。音色の主は、ホームの介護士・渡部だった。「神様」に出会った興奮に突き動かされた宮路はホームに通い始め、やがて入居者とも親しくなっていく――。人生の行き止まりで立ちすくんでいる青年と、人生の最終コーナーに差し掛かった大人たちが奏でる感動長編。【著者略歴】瀬尾まいこ1974年大阪府生まれ。2001年「卵の緒」で坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、翌年、同作を表題作とする単行本でデビュー。05年『幸福な食卓』で吉川英治文学新人賞、08年『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞、13年咲くやこの花賞、19年『そして、バトンは渡された』で本屋大賞を受賞。『君が夏を走らせる』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』など著者多数。

感想・レビュー・書評

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  • 『君が夏を走らせる』を思い出した。
    とても優しくて温かいお話・・・なのはいいんだけど。
    大学卒業してから29歳まで無職でバイトもしてないなんて、ちょっと「ぼんくら」期間長すぎない?そこがずっと引っかかってしまった。お父さんもよく待てたなぁ。

    やっと前に進めたし、何とか就職先見つかるといいな。

  •  なんと、本作に登場する介護士でサックスを吹く渡部くんは、『あと少し、もう少し』の中で寄せ集めの駅伝メンバー(当時中学生)、第4章(4区)の語り手だったんですね。忘れてました‥。

     本作は、まだ若いのに、人生に行き詰まり立ち竦む青年と、人生の最終盤に差しかかった老人たちが醸し出す、温かい感情の交流と成長物語でした。
     主人公は宮路、29歳で無職。実家から月20万円の仕送りを得て、ギター片手に音楽の夢を追い続けています。こんなへらへらの〝ぼんくら〟宮路が、老人ホームで演奏し、渡部くんの天才的なサックス演奏・様々なお年寄りたちと出会います。

     本作の一番の読みどころは、宮路がボランティアで通う老人ホームの渡部くん、入居者と関わることで少しずつ変容し、大事なことに気付いていく構成と描写の巧みさだと思います。
     瀬尾さんは、相変わらず個性の書き分けが上手く、優しいけれども甘やかし過ぎず、読み手に一歩踏み出す勇気を与えてくれます。
     
     本作は、青少年読書感想文全国コンクールの(高校の部)課題図書だったそうですね。大人はもちろんですが、多くの若い方に読んでほしいと思います。進路で悩んだり、将来仕事で悩んだりした時、ふと立ち止まって思い起こしてほしい一冊です。

    • aoi-soraさん
      本とコさん、こんにちは^⁠_⁠^
       ↑
      (私も呼んでみたかった♪馴れ馴れしくスミマセン)

      渡部くん、覚えてます。
      おばあちゃんの美味しそう...
      本とコさん、こんにちは^⁠_⁠^
       ↑
      (私も呼んでみたかった♪馴れ馴れしくスミマセン)

      渡部くん、覚えてます。
      おばあちゃんの美味しそうなお弁当を持ってくる子ですよね?
      なんか嬉しい。
      サックス続けてるんですね!
      私も読んでみたいと思いました。
      2023/12/16
    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      aoi-soraさん、こんばんは!
      コメントありがとうございます♪
      安定の瀬尾まいこさんでしたー(^^)
      続編とは言わないのでしょうが、他作...
      aoi-soraさん、こんばんは!
      コメントありがとうございます♪
      安定の瀬尾まいこさんでしたー(^^)
      続編とは言わないのでしょうが、他作品の人物をさり気なく再登場させるあたり、瀬尾さん、にくいですね。
      2023/12/16
  • ☆4

    「あと少し、もう少し」に登場した渡部くんが、とっても素敵な大人に成長しておりました!
    作中にたくさんの曲が登場するので、音楽が好きな方はそちらも楽しむことが出来るかと思います。
    サクッと読める作品なのですが、読後はとても前向きな気持ちになることが出来、さすが瀬尾まいこさんの作品!だと思えました(*´˘`*)

  • 再読本。
    29歳の無職でミュージシャンへの夢を追い求めている宮路(主人公)が、老人ホームで出会った介護士の素晴らしいサックス演奏に触発され、人生の転機を迎える感動的な長編小説。
    この作品は、他作品 『あと少しもう少し』に登場したあるキャラクターが再び登場するスピンオフ小説となっている。(※ 前作の知識がなくても安心して楽しむことができます)
    特に、 宮路と入居者のツンデレばあさんとの交流がストーリー を彩り、彼女の厳しさに隠された理由が明らかにされると感動が押し寄せる。
    抗えない現実の厳しさや、人の温かさに触れる内容であり、読み進めるうちにどうしようもない切なさや人々の優しさが心に広がり、いつのまにか涙が溢れていた。
    宮路の成長や周囲との絆、そして音楽が人生にもたらす奇跡が描かれた 心揺さぶる作品。

  • 無職の売れないミュージシャンがひょんなことから老人ホームに出入りするようになるお話
    仕事も音楽もどんな小さなことでも、相手のためを思うことが大切。自分満足、自己中心じゃ相手にはなかなか伝わらない。凄くいいお話でした。
    何よりもあの駅伝でクールにしてても本当は熱かった4区渡部くん!「あと少しもう少し」のスピンオフと気づき嬉しかったです。残りの4名のお話にも期待しちゃいます

  • 読もう読もうと思いつつ、美しすぎるストーリーよりもちょっと汚い部分が入ったものを欲していてなかなか気分が乗らず積読していたが、やっとこさ読了。
    やはり思った通り瀬尾さんの作品は優しすぎるし、温かすぎる!笑
    でも読み始めたら軽快なストーリーにサクサクとページが進み、気づいたら読了。読み終わったら充足感アリ。

    ◆あらすじ
    ミュージシャンの夢を諦めきれず、無職で怠惰な生活を送っていた29歳の宮路が、余興の為に訪れた老人ホームで、渡部君のサックスに魅了され、共に音楽をやろうと老人ホームに通い詰める中で老人ホームの入居者たちとも絆を深めていく。

    ◆感想
    心の瞳は中学の合唱コンクールで歌った曲。
    懐かしさに加えて、この作品のストーリーとともに歌詞を改めて読むと、当時よりもこの曲の良さを感じることができた。

    水木さんが宮路に宛てた最後の手紙が素敵だった。読んでいて宮路が人の為に尽くせるやつだということは感じていたけれど、水木さんも、それをちゃんと見ていたんだなということがわかる内容でとても良かった。

    庄司さんがボケてしまったり水木さんが亡くなったり、悲しいくだりがあるが、彼らのけして憎めないキャラクターと、宮路の真っ直ぐさ、渡部君の筋の通った姿勢も相まって、不思議と暗い気持ちにはならなかった。これは、『そしてバトンは渡された』の時と同じような間隔。

  • いた天才が、の起こりでいた天才がの結末、あっという間に2時間投了でした。本屋大賞恐るべし、どんな展開になっても外さないインコースにアウトコースに自在に出し入れする桑田真澄や。無職を堂々と主人公にしてるし、おちゃらけだけじゃないから、渡部が自分を1人で告別式に行かせるんですかという仕事でも職業柄でもやっぱり死別はキツいんだ。水木さんの絶望感と 宮路との出会いで生きる希望を持つこと最後は粗相して物忘れして自分から入院選んだけど、あー宮路じゃないけど切ないです。無職=顔に現れているストレスないとか上手だね、東京ブギウギもタイムリー なバッティングも良い桑田真澄や ふっ

  • あー
    とてもよいお話でした。
    主人公の宮路は、高校の頃からギターを始め
    音楽で成功するという夢を持ったまま
    迷走中の29歳 無職…
    自分でもわかっているけれど、何がしたいのか、
    わからない。

    ひょんなことから老人ホームの「そよかぜ荘」に
    関わるようになり、そこで職員でとても上手に
    サックスが弾ける渡部くんと仲良くなり
    ホームの水木さんというおばあちゃんにかまってもらい、
    とても素直で、まっすぐな宮路は、一歩一歩
    成長していくお話です。

    長い人生、夢を見てそこに向かってがんばる時間はとても大切です。
    でも、長く夢見ていることが足かせになり
    迷走して、何になりたいのかどうしたいのか
    わからなくなることもあるのが現実です。

    宮路は、素敵な人たちに恵まれて
    明日の一歩を踏み出す勇気や気持ちをもらい
    新しい自分になろうとする姿が清々しく
    温かい気持ちになりました。

  • 宮路くんも、渡部くんもはじめは嫌な感じのキャラだと思ったが、読み進めていくうちに好感度が上がって行った感じ。サラッと楽しく読めた。

  • 読んでよかった。こんな風に誰かに動かされたり誰かを動かすキッカケになるような人になれたらよいなぁ…難しいけど。

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著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年『卵の緒』で「坊っちゃん文学賞大賞」を受賞。翌年、単行本『卵の緒』で作家デビューする。05年『幸福な食卓』で「吉川英治文学新人賞」、08年『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」、19年『そして、バトンは渡された』で「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』等がある。

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