小説フランス革命 13 サン・キュロットの暴走 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087452617

作品紹介・あらすじ

ルイ16世の処刑後も出口の見えない不況に荒れる民衆。革命戦争では対フランス大同盟が築かれ、国内ではヴァンデ県での革命反対の蜂起を皮切りに内乱が拡大。内憂外患のフランスの行方は。(解説/東えりか)

感想・レビュー・書評

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  • 大勢のくそったれのお話し

  • 毎日出版文化賞特別賞
    著者:佐藤賢一(1968-、鶴岡市、小説家)
    解説:東えりか(千葉県、書評家)

  • エベールが登場したので冒頭から下品になりましたw表現もロラン夫人が嫌がる展開にw(11巻の『八月の蜂起』あたりから急速に血なまぐさくなってきた。

  • 国王処刑のあたりからフランス革命はフェーズが変わってくる。もともと、漢字の革命とは天命即ち政体を改めることであるが、

  • まさしくフランス革命は暴走の時代へと入ってきた。そして殺し合いの時代へ。

  • 国王を処刑したことによる対外戦争でのフランス包囲網と内乱。そのため不況はとどまるところを知らず、困窮するパリの庶民。無為無策の議会。
    民意を行政に反映させるため行動を起こす、パリの民衆が熱い。
    パリの庶民が、落ち着いて暮らせる様になるのはいつか?
    緊迫を増すパリ。
    民主主義の原点を知り、民主主義について考えさせられる。

  • 八月の蜂起、九月の虐殺そして翌年一月のルイ16世処刑を経てフランスはどうなったのか?国内はパリで小麦の不足による暴動が発生。パリのサン・キュロットたち労働者、貧民の議会への直接的な圧力は自由経済を信奉する議会主流派ジロンド派を揺るがす。左派ジャコバン派と橋渡しを務めたダントンと袂を分かち敵対、仲間だったデムーリュエ将軍のベルギー戦線での敗戦。さらにジャコバン派の議会召喚に反抗して将軍がクーデター未遂を起こすとその関与を疑われる。地方はもともと保守的で王の処刑にも反対が多かった。突出するパリへの反感から王統派が反乱を起こし西部は大混乱。南部でも穏当なジロンド派が支持される。外交は一時の勝利とベルギー、ニース、アビニョンの併合など革命の輸出に沸くが、ルイ16世処刑に危機感を覚えたイギリスが戦線布告、対フランス大同盟を築き上げる。パリでの劣勢を挽回する為、ジロンド派はジャコバン派の論客マラを罠に嵌め告訴する。しかしマラはパリのサン・キュロットたちの圧倒的な同情で革命裁判所から審議中に無罪として担ぎ出され、ジロンド派は敗北をする。ジロンド派の女王ロラン夫人は議会の地方移転を提案するが、ジロンド派の男たちは中道派が出したジャコバン派の妥協案である12人委員会設置の提案に乗る。
    この巻には民主主義の弱点が露わに描かれている。ロラン夫人が嫌悪した無教養で近視眼的にしか行動しない人々の政治参加。直接的暴力にさらされた時の司法家や政治家の弱さ。国家滅亡の危機の中でなお団結出来ず政争を繰り返す議会。結論を出せない中で議会は革命裁判所、革命委員会、派遣委員会を設置して権限を与え機能的に運営しようとする。だがこの時は政争でろくに機能しないが、のちに次々と反対勢力を粛清する権限を持つ恐怖政治のシステムがこの時に出来上がっていたことに留意すべき。

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著者プロフィール

佐藤賢一
1968年山形県鶴岡市生まれ。93年「ジャガーになった男」で第6回小説すばる新人賞を受賞。98年東北大学大学院文学研究科を満期単位取得し、作家業に専念。99年『王妃の離婚』(集英社)で第121回直木賞を、14年『小説フランス革命』(集英社/全12巻)で第68回毎日出版文化賞特別賞を、2020年『ナポレオン』(集英社/全3巻)で第24回司馬遼太郎賞を受賞。他の著書に『カエサルを撃て』『剣闘士スパルタクス』『ハンニバル戦争』のローマ三部作、モハメド・アリの生涯を描いた『ファイト』(以上、中央公論新社)、『傭兵ピエール』『カルチェ・ラタン』(集英社)、『二人のガスコン』『ジャンヌ・ダルクまたはロメ』『黒王妃』(講談社)、『黒い悪魔』『褐色の文豪』『象牙色の賢者』『ラ・ミッション』(文藝春秋)、『カポネ』『ペリー』(角川書店)、『女信長』(新潮社)、『かの名はポンパドール』(世界文化社)などがある。

「2023年 『チャンバラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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