- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087454345
作品紹介・あらすじ
中3の卓郎のクラスに現れた教育実習生。彼女が数年前まで卓郎の父の歯科医院に通っていた「おねえちゃん」だと気付き、喜ぶ卓郎だが…。中学生のリアルな悩みと秘密を描く青春小説。(解説/吉田伸子)
感想・レビュー・書評
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大人の事情を配慮出来るようになってくる中学生という微妙な年齢。良くも悪くも短期間で自分を変えることが出来てしまう多感な時期。
嘘が多過ぎて収拾つかないよ、もっと上手くやれ。そう思ってしまったけど、純粋培養の良い奴が横道に反れて振り切れていくのは恐ろしかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
おもしろくねー!
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中2の男子学生の主人公、恋愛、友情の不器用な振る舞い。 嫌われたくない、別れたくないと重ねる嘘。 読んでいて、「ああ、中学生の時はこんなんだったよな」と思うが、話には入って行けない感。
しかししかし、中盤から「著者の書きたかったとこはここだったか!」と思う箇所が分かると、グイグイ引き込まれていった。著者の他の作品を読んでも感じたことだが、「中学の時にこの本を読んでいればもっと楽にと言うか、不必要な力を抑えて生きれたのかなぁ」と思う。
【心に残る】
心に芯がある中学生なんて気持ち悪い。言うことややることがいい加減のフニャフニャな精神でいいの
生き急がないで。自分探しなんて不毛よ。時期が訪れれば、自分だけの自分が勝手に備わっているものなんだから -
『娯楽』★★★★☆ 8
【詩情】★★★★☆ 12
【整合】★★★☆☆ 9
『意外』★★☆☆☆ 4
「人物」★★☆☆☆ 2
「可読」★★★☆☆ 3
「作家」★★★★☆ 4
【尖鋭】★★★★☆ 12
『奥行』★★★★☆ 8
『印象』★★☆☆☆ 4
《総合》66 C -
後味が悪い。
タイトルのように「勉強になったね」と軽く済ませることはできない。
登場人物たちは「中学生らしさ」をとことん突き詰めたような人ばかり。
虎の威を借るばかりで自己が確立せず、嘘をついたり「何でもするから」とすぐに自分を差し出す卓郎。
自己愛を拗らせてしまったユーカ。
長年の母親による束縛から抜け出した瞬間、暴走を始めるヨッシー。
その設定はいいのだが、彼らは互いに傷つけあうばかりで前に進まない。
薫子はいつもの芯のあるヒロインポジションにいるようだが、私はあまり共感できなかった。
暗い過去があって、自分のプライドを保とうと必死で、それでも他人を気遣おうとしている。
でもそれは一面に過ぎない。
彼女はある種の高潔さを求めているようで、そのためなら他人を欺いたり傷つけたりすることを厭わない。
私にとってそれは醜い。
彼女の持つ価値観も、その境遇を考えると仕方ないのかもしれないと思いつつも、すんなり受け入れるのは難しい。
薫子の思考に沿って川島さんが話した「薫子の体は薫子のもの。薫子が好きに使っていい」とか。
恋人や家族、友人知人が彼女の体を心配するのはいけないことなんだろうか。
教師になる夢のために、睡眠を削って夜中に働いて息抜きもないまま4年間過ごすのは大変だから風俗で働く、というのもそう。
どこかで諦めなければいけない夢はあるし、奨学金とか他の手段はなかったのかというのは、当事者じゃないから言えることだろうか。
世の中には、本当にやむにやまれずその仕事をしている人もいるのだろう。
でもどんなに美化したって、人前で自慢できる仕事じゃないと思う。
薫子にはもっと純粋に高潔であってほしかったという願望とともに、薫子が自らを貶めて自傷行為に及んでいるような気がして憐みの感情がわいてきた。
卓郎も卓郎で、薫子こそが物語をひっかきまわしている中心人物なのに、彼女に惹かれる気持ちがよくわからない。
私が読みたい白川三兎はこれではない。
苦境でも強くある物語が読みたかった。
それでも、クセが強い人物ばかりなのにシーンごとにピタリと焦点が定まっていて、あまりとっちらかった印象を受けないのはさすが。
中学生が読めば登場人物を見て醜いと感じ、自己を振り返るきっかけになるかもしれない。 -
「私はここにいる。それは私がわかっている。私が存在しないことには何も存在しない。私の存在が全ての始まりだ。元凶であり、希望の源なんだ」
「みんな本音を心にしまいがちだけど、外へ吐き出すべきなんだ。相手の心を踏み躙ったり、人間関係がぎくしゃくしたりしても、長い目で見れば真実しか残らない。上っ面のことは淘汰されちゃうんだよ」
『本音を隠せば隠すほどにやましさが大きくなる。嘘をついても得られるのは真っ黒な感情だけだ。このままだと俺は嘘の塊になる。そして数多の嘘と一緒に俺自身も淘汰されるのだろう。』
「中途半端にできる人よりも全然できない人の方が愛される。そして未熟だった人が進歩した時は、甚だしく過大評価される。だから最初の一週間の拙さは故意だったの」
『瞬く間に人生の可能性が広がった。数時間後に何が起こるかなんて誰にもわからない。自分がどこにいても不思議じゃない。どこへでも行けるし、なんでもできる。不自由を存分に楽しめばいい。もうやたらめったらに怖がらない。恐れるな。立ち向かわなくちゃ何も始まらない。自分の人生を切り開けるのは自分だけなんだ。』
『一生忘れない。死ぬまで大切にする。久々に混じりっけのない愛を感じた。心に血が通ったような感覚。ちょっとだけ本物の涙が出ちゃったよ。』
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ビターだし決して各々が良い青春を送っている訳ではないのに、ちゃんと成長していく姿がある気がする。
ちょっと現実味がないけど、
これからは、こういう現実味のない子供たちが
増えていくのかな。 -
0006
カバーの少年に惹かれて買った。中学生のアホさとか悩みがかわいいと思ってたら、闇が深かった…。でも読後は爽やかな青春小説だった。
カバーデザイン 鈴木久美
写真 小野啓