岳飛伝 13 蒼波の章 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.93
  • (7)
  • (25)
  • (10)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 202
感想 : 13
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087456592

作品紹介・あらすじ

岳飛は南宋軍の侵攻を退け、秦容軍と連携しての北上を模索。水軍の李俊は、南宋水軍へ放棄した沙門島の奪回に成功。金国の海陵王は大軍で子午山を挑発したため、史進の逆鱗に触れ──。(解説/小山進)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「一度だけ、申し上げておきます、総帥。大きな戦いの前ですし」
    戦死するかもしれないので、言っておくということだった。秦容は、黙って次の言葉を待った。
    「俺はここへ来て、よかったよかったと思っています。できるだけ、心を動かすまいとしてきましたが、人が生産をして生きていくことが、これほど素晴らしいと、ここへ来なければわからなかったでしょう」
    恒翔が、ちょっと笑顔を見せ、腰を上げた。
    秦容も、立ちあがった。
    「礼を言う、恒翔。この地で、森を拓き、土を耕しながら、自分はここでなにをしているのだ、と何度も考えた。これでよかったのかと。いま、おまえはこれでよかった、と言ってくれたような気がする」(227p)


    戦いが少なくなって、面白く無くなった。と感じている読者は多いと思う。けれども、町つくり、国つくりを戦いだとするならば、岳飛伝は、大きな戦いの連続であり、間違いなく岳飛ではなく、秦容がこの作品の主人公だった。楊令が始めた国つくりを、長いことかけて、梁山泊の若者や岳飛たちが、反芻して作り上げていった。岳飛伝とは、そういう物語である。


    替天行道も盡忠報国も、「民のための国をつくる」その一点で、結局は同じだった、と秦容と岳飛が話し合う場面がある。


    大きな戦いの前に、この大河物語のテーマがさりげなく示される。


    2017年11月読了

  • 長く付き合ってきたキャラだからなのか
    このシリーズの中で久しぶりに(というか初めてかもしれないけど)笑った。あと数巻…

  • 李俊が飛んだ!
    前巻ではよぼよぼのじーさん風であったのに、李俊はまだまだ現役なんだ!
    「死ぬことは男だけの仕事ではない」と言って沙門島で死んでいった孫二嬢の仇はうったが、その手につかむことのできないものがあった…。
    それでも李俊、生き続けてくれよ、と思う。

    そして御年67歳の史進は誰よりも早く疾走する。
    子午山に手を出すものは、死ぬよりも恐ろしい目に遭わせてくれようぞ。

    今巻はじーさん二人に持って行かれたな。

    ところで、カバー裏のあらすじだけど、燕青のエピソードは前巻のもの。
    こういうミス以前もあったけど、編集者はちゃんと読んでないのかな。

  • さ、岳飛と秦容が南宋にけんかを売りに行くまで。金は帝がどうしても南宋に戦争を仕掛けたいところだが、上手く負けて方々の体で敗走。 さて梁山伯と金と南宋の三つどもえのの戦いは決着が付くか。

  • レジェンド級大ベテラン達が、それぞれの闘いを繰り広げる。スタミナは無いけど、とてつも無い切味!
    恐るべきジジイ達!

  • 金主が親征し南宋に攻め込むも敗退した。

    梁山泊に残った長老 史進と李俊が戦で漢を魅せた。
    本巻で印象的だった話は李俊が日本に居る想い人(戦死した親友の妻)にやっとの思いで会いに行ったのに、李俊が日本に着いた10日前に彼女が亡くなっていたというもの。切ない。

  • 感想は最終巻にて。

  • 史進、恐ろしいよ~~(((( ;゚д゚)))アワワワワ
    彼を怒らしてはならない。
    岳飛・秦容連合軍も順調。
    さて、南宋はどう動くのか。

  • 戦が、すごいんじゃぁ。

  • 金の南進で南宋軍との激突が迫る中、沙門島を陥落させた李俊は十三湊へと向かいますが、ひそかに愛していた瓊英はすでにこの世を去っていました。
    梁山泊第一世代の別れと死が、いたたまれない哀しみをひきおこしていきます。

全13件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ(全五十一巻)で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

北方謙三の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×