寄席品川清洲亭 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087456837

作品紹介・あらすじ

幕末の品川宿。大工の棟梁・秀八の寄席「清州亭」をめぐる人情たっぷり、笑いたっぷりの物語。さて、無事に杮落しができるのか!? 落語好きにはたまらない時代小説シリーズスタート!(解説/末國善己)

感想・レビュー・書評

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  • 大工の棟梁の秀八が、江戸四宿のひとつ品川宿で己が普請した建物で寄席を席亭(経営者)として、大工と席亭との2足の草鞋を履いて活躍する人情物語です。

    秀八35才が普請した寄席を「清洲亭」と名付けて、始めようとしたら将軍様がお亡くなりになった。江戸は、歌舞伎音曲は停止になった。寄席を普請した材木代の未払いが20両残っているので、本業の大工をと思ったら、こちらも派手なことを慎むとして工事がない。出だしに躓いた清洲亭は、これからどうなるのか。

    奥山景布子(きょうこ 1966年11月7日生)さんの本を読むのは初めてです。

    【読後】
    秀八は、品川宿の女郎屋「島崎楼」の女郎如月(きさらぎ)と、心中した寄席の大看板・御伽家(おとぎや)桃太郎師匠の息子で噺家の九尾亭木霊(こだま)を清洲亭で引き取りますが。木霊が、いくつもの大騒動を起こして笑わせたり、呆れられたりと大変です。物語は、展開が早く、泣いたり、笑ったりと楽しく。音読していてつい膝を叩きすぎで顔をしかめています。
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    【音読】
    2022年9月24日から30日まで、音読で奥山景布子さんの「寄席品川清洲亭」を大活字本で読みました。この大活字本の底本は、2017年12月に集英社文庫から発行された「寄席品川清洲亭」です。本の登録は、集英社文庫で行います。埼玉福祉会発行の大活字本は、上下巻の2冊からなっています。
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    寄席品川清洲亭シリーズの1作目
    2022.05埼玉福祉会発行。字の大きさは…大活字。
    2022.09.24~30音読で読了。★★★★☆
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  • 時は黒船来航の頃、品川宿で落語好きが高じ寄席の開業を思い立った大工の棟梁・秀八。いざ席亭になると、あれやこれやとトラブル続出。笑いあり涙ありの人情時代小説。
    宇江佐真理さんが亡くなり、新たな時代小説ものを探して出会ったのがこの作品。ちょうど「落語 THE MOVIE」にもはまっていたので、奇跡のような出会いとなった。テンポよくキャラクターも親しみやすい。次作が楽しみ。

  • 大工の親方が棟梁を開く物語。
    素人が始めるだけあって、次々とトラブルが起こるのですが、秀八の人柄と落語への想いに加えて、しっかり者の奥さんや周囲の人の粋なサポートによって何とか乗り越えて行くところが時代物らしい。
    個性溢れる噺家や芸人の書き分けも魅力の一つで、続きを読むのか楽しみです。
    コロナが収束して寄席に行ける日が待ち遠しくなりました。

  •  幕末は江戸、品川宿。
     大工の棟梁が寄席を開き、身内や芸人らが騒動を繰り広げる、人情系時代小説。
     黒船来航後の江戸の町が舞台ではあるが、騒然とした世情不安は、あからさまには反映されない。
     それでも、町の雰囲気や種々の商いに少しずつ影響が出始める中、新興の寄席が四苦八苦しながらも、開業・操業に奮闘する過程が温かく描かれる。
     喧嘩っ早いが、腕と人の好い若き主人公と、しっかり者の恋女房、そして、癖と個性の際立つ芸人たち。
     各々の人物像がきちんと立てられ、小さな寄席が切り盛りされる様子が活写される。
     シリーズ物の序盤ということで、少しのしがらみや余韻を残したまま〆るのも快い。

  • 落語好きが高じて寄席を開業した、大工の棟梁・秀八が主人公。
    「清州亭」と名付けられた、そこに関わる人々の悲喜こもごもが、人情味たっぷりに描かれています。
    読んだ後、寄席に行ってみたくなりますね。
    今後も続くとの事で、どのような展開になるのか楽しみです。

  • 幕末を舞台に寄席の開業を目指す大工の棟梁とその奥さんの人情話・・・でしょうか。
    なんかやけにいろんな物事が片付いてない気がしたんですがアマゾンの内容説明みたら「シリーズスタート!」ということでこれ続くんですね。
    でもそれにしても一つ一つの事件というか伏線めいたものがやたらあっさりだなあ、と。つまらないわけじゃないんですが「薄い」という印象。こんなことがありましたそしたらこんなことになりました、みたいに次々にさっさと進行していってるような。

    ただ「寄席を開業」というのは考えたこともなかったので、こういう手順だとか苦労があるんだなあ・・・というのは興味深かったです。

  • 秀八の、落語や芸への愛が伝わってきます。落語家たちの師弟関係も厳しいけれど美しいですね。寄席を見守る町の人たちの賑わいも楽しい。
    充実したお話だったのですが終わりかたには少し拍子抜け?これで終わりなの?あの人はどうなったのだろう?と思い…。でも解説を読むと、シリーズものだとか今後の展開が楽しみだとか書いてあるので、続くのでしょうかね。
    また読める日が来るのを待つことにします。

  • 寄席が好きで寄席の席亭になりたい大工の棟梁のお話し。

  • 面白そうなシリーズものを見つけると嬉しい。

  • 落語については素人に毛が生えた程度の知識しかなく、江戸末期の寄席が実際どのように行われていたかは知らないが、ネットも何もない時代に噺家を呼んで寄席を開くというのはこんな感じなのだろうな、というのが少し楽しかった。
    話自体はそこまで新規性は無いが、落語とうまくかみ合わせており、詳しい人ならもっと楽しめたのだろう。それこそ自分も数年前までは幇間とかも知らなかったしな

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著者プロフィール

1966年愛知県生まれ。名古屋大学大学院国文学研究科博士課程修了。文学博士<br>2007年第87回オール讀物新人賞を受賞してデビュー<br>2018年『葵の残葉』(文藝春秋)が第37回新田次郎文学賞と第8回本屋が選ぶ時代小説大 賞を受賞

「2023年 『元の黙阿弥』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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