HELLO WORLD (集英社文庫)

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感想 : 93
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087458862

感想・レビュー・書評

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  • 展開が2転3転しワクワクが止まらない作品でした。本書の冒頭はよくある展開のように思えましたが、中盤以降の展開は全く予想できないものでした。
     大きな謎解き要素もありましたが、小さな伏線もたくさんあり楽しめました。個人的に好きなシーンとして主人公とヒロインの会話で好きな小説について教えあい、主人公はSF、ヒロインは冒険小説が好きと語ります。そして本書はその二つの要素を兼ね備えたものになっているという粋な計らいがとられていました。
    以下ネタバレ含みます。
     
     
     私が本書の中で一番好きなシーンは何事も自分では決められない主人公が苦難を乗り越えた先に「僕」がやりたいことが決められます。しかし、その「僕」がやりたいことは「俺」の指示だったというやりとりはシンプルでありながら奥深いものに感じました。
     やはり本作の醍醐味は2人の自分の掛け合いだと思います。未来の自分を先生と呼び、先生は過去の劣っている自分が成長し、先生である今の自分を超えていくそんな熱い展開を披露してもらいとても嬉しく思っています。

  • 青春恋愛SF小説。
    主人公の男子高校生の前に突然現れた未来の自分。彼は、恋人が事故死したという過去の記録を書き換えるのが目的だという。
    そんなことを言われても、主人公はこれから恋人になる女の子とまだ話すらしたことがない。

    前半は、高校生活の中で彼女と少しずつ距離を縮めていく様子がもう、青春だ。未来の自分の指示通りだとしても、気持ちはちゃんと動いていく。
    優柔不断すぎる主人公の変化もよかった。

    過去を変えるのではなく、記録を書き換える。その先はどうなるか。
    後半のSFらしい展開が面白い。
    京都駅の場面は映像で観てみたいなと思った。

  • 直実が変わっていく大人になっていく様と、作品の構造、両方がとても作り込まれてるから読み進められた。

    私の頭では理解するのに時間がかかったけれど、ゆっくり咀嚼していくと面白さに気づけた、はず。
    読者に委ねられた部分を想像していくのは楽しい。
    この世界観、理解できると本当に面白い!

    ヒロインってもっとキラキラして描かれるものだと思っていたので、直実から見た瑠璃の個性がすごく新鮮。
    瑠璃の堅物さが好き。
    きっとそれは直実もそうなんだと思う。

    読んで良かったです!

  • バビロン三部作を読み、野崎まどさんの作品の魅力に取り憑かれ、片っ端から読もうと決めました。そして、読み始めたのが本作品です。世に送り出されたタイミングもバビロン直後の作品だったと今知りました。(ウィキペディア情報)
    バビロンのトーンと180度違うものでしたが、大好きな作品の一つになりました。本作品は映画にもなっているようですね。Amazonプライムで見れそうなので、この後鑑賞したいと思います。
    映画で言うと「マトリックス」、小説では「リング」シリーズの世界観ですね。メタ認知をとらえることができた主人公が、身を削ってたどり着く未来に幸あれ。しばらくして、また読みたくなる作品になりました。
    とはいえ、読んでいない読みたい作品が数多あり、再読するタイミングを作れるのか甚だ疑問です。
    楽しいひとときを過ごせました。

  • 【ゴールデンウィークの4時間の春】


    初めての感動は私を襲わなかったけど、野崎まどだなぁってそう思った。

  • 人は、自分がいる次元よりも高次元の世界を、認識することができない。
    だから、アルタラ内の記録世界の人間は、記録世界と現実世界を区別することができない。それを使った、入れ子構造の物語。
    確かに、ナオミは、よく考えるとヤバいやり方で一行瑠璃を取り戻そうとしている。それに対して、エピローグの一行瑠璃は、もっと現実的で穏やかに堅書直美を取り戻そうとしていたように見える。
    彼女は何も知らないはずなのに、という箇所を、少しの引っ掛かりを感じつつもスルーしてしまったけれど、つまり、そういうことだったのだ。
    映画は見ていないけれども、この物語は映画の方が分かりやすかったのだろうか? どうだろうか。
    正直、一読しただけでは、よく理解できていない部分もあると思う。
    現実世界では、明日のことは分からない。アルタラの記録世界においても、千古教授が自動修復システムを停止させたことによって、現実世界と同じように、先が読めなくなる。これがつまり、パラレルワールドの「開闢」ということであり、決められなかった直美が決められるようになる世界の始まり、ということなのだろう。明日のことが分からないということは、どんな自分にでも変わっていける可能性があるということで。そういう意味で、これはまさに青春小説だった。

  • 原作とあるが、映画のノベライズ的な位置付け?
    錦高校を観るために映画は観に行くかな
    錦高校は聖地になるのか?
    タイムリープではなく、記録と現実というのは新しい。
    エピローグがなかったら☆3つだった。

  • お手軽に読める日本版マトリックス。
    インセプションの要素も入っていた感じかな?

    個人的には主観が入れ替わるところが分かりにくく、クライマックスの展開で少し混乱した。
    サクッと楽しく読めました

  • 映画を見たあとに、内容の細かい所を理解したいと思い読みました。読んだ後に見た映画はより一層面白かったです。この物語の特徴はどんでん返しだと思います。すこし腑に落ちない所もありましたが、ヒロインはやっぱり可愛いです。

  • 青春恋愛SF。映画化作品。映画未視聴。
    よくある設定ではあるが、著者の本がそれだけで終わるわけもなく。
    シンプルに、登場人物がとても好印象。
    主人公のような優しい人でありたいし、一行さんのような真っ直ぐな人になりたい。
    登場人物に素直に感情移入できて、クライマックスだけでなく、中盤から感動。
    更に一捻りあるエピローグも好き。
    アクションシーンだけはあまり好きではないが、全体的には大満足。

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著者プロフィール

【野崎まど(のざき・まど)】
2009年『[映] アムリタ』で、「メディアワークス文庫賞」の最初の受賞者となりデビュー。 2013年に刊行された『know』(早川書房)は第34回日本SF大賞や、大学読書人大賞にノミネートされた。2017年テレビアニメーション『正解するカド』でシリーズ構成と脚本を、また2019年公開の劇場アニメーション『HELLO WORLD』でも脚本を務める。講談社タイガより刊行されている「バビロン」シリーズ(2020年現在、シリーズ3巻まで刊行中)は、2019年よりアニメが放送された。文芸界要注目の作家。

「2023年 『タイタン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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